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【インシネレイト・ザ・ゴースト・アゲイン】#2

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「ソンケイってのはよ」

 目を伏せてソース・ソバを荒々しくかきこむダラヤマの顔は無表情で、その所作には独特のゼンめいたものが備わっていた。

「手っ取り早く掴んで、そなわるもんじゃねえんだ。ボンサイに水をやれば花が咲くッてんなら、誰も有難がりやしねえんだよ。お前はそれをわかってねンだよな」

「でもだって、総理大臣暗殺したドゴジマ・ゼイモンはスゲエじゃねえですか。総理大臣殺してメチャクチャヤクザとしてレベルアップしたわけッスよね? だったら、今だったらカタナの社長とか、オムラの社長とか殺せばいいじゃないッスか。マジ殺してえよ。そういう機会こねえかなあ!」

「バカが……そりゃどこまで行ってもテッポダマじゃねえか。テッポダマが飛び出すチャカを握ってる手は誰の手だ……それこそがソンケイの源ってもんだ……」

「なんかオニイサンの言葉はマジ含蓄あって、すげえ唸らされるッス!」

 インシネレイトは瞬きした。向いに座るのはダラヤマではなくクスバだった。説教していたのはダラヤマではなくインシネレイトだった。クスバは満面の笑みを浮かべ、欠けた歯を見せていた。

「ウルッセ!」「グワーッ!」

 インシネレイトはクスバの頭を叩いた。

「……まあ今のは、俺が昔に言われた事だよ」

「マジッスか!? オニイサンが教えられた話が俺に……? それって凄いッスよ! ッつう事は……俺もオニイサン・ヒストリーに足を踏み入れてるッて事じゃないッスか!」

「馬鹿野郎! 俺が言いてえのはよォ……言葉の意味をちゃんとわかってんのかッて話だよ。当時の俺はクソガキで、俺のオニイサンが何言ってるのか理解しちゃいなかった。今はわかる」

 そして再びソース・ソバを啜る。

「俺はな……わかンだよ。お前わかンのか?」

「ハイ! わかりません!」

「バカが。黙って食えや!」

 インシネレイトはクスバの頭を叩いた。そういえばソース・ソバはダラヤマの好物だった。こんなような薄汚い店で、ダラヤマはインシネレイトを睨み、罵りながらソバに喰らいついていたものだ。時が経ち、席の位置は当時と逆になった。カミザで説教する側はインシネレイト、それをクスバが聴いている……。

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