第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

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【CORONAは誰の手に】第1回逆噴射小説大賞:一次選考&二次選考結果の発表です!

お待たせしました! CORONAとドリトスを手にするため、約1900もの作品が集まった第1回「逆噴射小説大賞」の一次選考、および二次選考が、ここに終了いたしました。改めて、たくさんのご参加(投稿+スキ+紹介)、本当にありがとうございました!  逆噴射聡一郎先生によれば、今回のパルプ小説大賞…

街角フロートマーダー

『さて、そんなこんなでもうお別れのお時間がやってきました』 ナイフは殺風景な部屋の中に入り込む街灯で幽かに輝き、蛍の如く尾を引きホルダーへ収まる。逆側に拳銃。傍目にはだらしなくレシートで肥えた財布を仕舞っているようにも見えるが、実態は無造作な二種類の死。 『秋も深まってこの時間か…

【冒頭】モンピートン、彼のための宇宙

   まだ何もなかったが、閉じた水門のきわには意味深げに上流から流れ込んできた廃材が溜まっていた。鋼鉄加工廃棄物とプラスチックごみ、期限が切れた工業用の人工シナプスが少し。不法投棄の廃油が大量。爆弾低気圧が投げ捨てた雷が数億ボルト。まだ何もなかった。  集中豪雨の後、油膜の浮いた溜め池で羽…

二十一より先の数

 四人のばちあたりはいっせいに息を飲んだ。  なぜって、一九〇七年十月、フォート・サムナー墓地のまうえに輝く月に照らされて、いましがた、かれらがあばいた棺のなかは、からっぽだったから。 「おったまげたぜ……」  棺を見下ろす、赤ひげ男のはげたひたいに、汗が冷たくひかるのが見える。 …

遺物~虎の毛皮、鮫の牙、父の足跡~

 ドアノブに力を込めると、扉は容易く開いた。扉の向こうはアパートの他の部屋と同じ六畳一間で、椅子のほかには何もない。椅子には男が腰掛け、足を投げ出して背もたれに体重を預けていた。おそらく死んでいる。胸に生まれつき頭が入るほどの大穴が開いているという、特殊な人間でもない限り。  俺…

デス・オブ・オブライエン

「その血のために誰も涙を流さない悪人の魂」  闇夜の柳の木の下で、悪魔は言った。 「再び君が娘と会うには、そんな魂が必要だ」  悪魔は、最初に会ったときは黒犬、その次は黒髪の女、そして今は痩せた男の姿でオブライエンの前にいる。 「本当にその...魂、があれば、ソフィアは蘇るんだな?…

花の都とヴァン・ヴィノ

「何をしているのです」  男はそう訊いてくる。肚を括ってる、と答えたいができない――喉がロクに動かない、周りの景色や背と尻を預けた木と同じようにカラカラ。  フードを脱ぎ覗き込んでくる男の顔、その向こうで空が白み始めてる。ああ、肚というのはまだしもカッコつけた表現で、諦めをつけてた…

R.E.T.R.O.=/Q

《街》にダイヴするとき、決まって全身全霊を総毛立つような感覚が駆け抜ける。 自我を除く全情報が書き換えられ、私達は指定座標に出現する。 私は耐刃レザーのボディスーツ、パートナーのエドはへんな騎士鎧の姿だ。 「なあオリー、本当にこんな場所に適合者がいると思うか?」 エドの機嫌が悪い。…

ニーナ・ザ・ミストガン #1

陽で背中が灼ける感覚と共に、ニーナの意識が戻ってくる。ザラつく砂を口から吐き出し、ふらつきながら立ち上がると、ボケた視界がようやく定まった。 見回し、荒野――。 ――わたしのホルト! 誰もいない――。 ――見開かれた完璧な造形の瞳。 殴られた頭が痛む――。 ――連れ去られ遠ざかる姿と…

灰色の百合

 腐った豚肉の臭いの立ち籠めた地下の酒場の片隅で、チンピラは震えていた。その有様たるや、上海された船員よりややましというところ、つまりは人屑であった。  男は野鶏らしき女に、時々安酒を流し込みながらぶつぶつと呟いている。  「……そうだよ、オレは兄貴達――ああ、魂安らかに――とあ…