第1回逆噴射小説大賞:二次選考通過作品まとめ

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【CORONAは誰の手に】第1回逆噴射小説大賞:一次選考&二次選考結果の発表です!

【CORONAは誰の手に】第1回逆噴射小説大賞:一次選考&二次選考結果の発表です!

お待たせしました! CORONAとドリトスを手にするため、約1900もの作品が集まった第1回「逆噴射小説大賞」の一次選考、および二次選考が、ここに終了いたしました。改めて、たくさんのご参加(投稿+スキ+紹介)、本当にありがとうございました!  逆噴射聡一郎先生によれば、今回のパルプ小説大賞設立の理由は「毎日がプラクティス・・・・そのための場・・・・イクォール・・・MEXICO・・・・」とのこと。創作の分野において生き残り続けるには、プロもアマも関係なく、毎日プラクティスを続

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街角フロートマーダー

街角フロートマーダー

『さて、そんなこんなでもうお別れのお時間がやってきました』 ナイフは殺風景な部屋の中に入り込む街灯で幽かに輝き、蛍の如く尾を引きホルダーへ収まる。逆側に拳銃。傍目にはだらしなくレシートで肥えた財布を仕舞っているようにも見えるが、実態は無造作な二種類の死。 『秋も深まってこの時間から外が真っ暗。運転中の方もそうじゃない人も気を付けて』 ケーブルから抜いたスマホをスワイプし、標的を確認。ある区画で貧困層へ薬を捌く"西"から流れてきた小悪党。 『そんじゃ!今日もお相手はDJ

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デス・オブ・オブライエン

デス・オブ・オブライエン

「その血のために誰も涙を流さない悪人の魂」  闇夜の柳の木の下で、悪魔は言った。 「再び君が娘と会うには、そんな魂が必要だ」  悪魔は、最初に会ったときは黒犬、その次は黒髪の女、そして今は痩せた男の姿でオブライエンの前にいる。 「本当にその...魂、があれば、ソフィアは蘇るんだな?」  オブライエンは悪魔の目をじっと見た。姿は違えど、その燃えるような赤い瞳は常に同じだ。 「君が己の手で殺した魂。それも一人や二人じゃ足りない」  悪魔は手を差し出した。骨めいて白く

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花の都とヴァン・ヴィノ

花の都とヴァン・ヴィノ

「何をしているのです」  男はそう訊いてくる。肚を括ってる、と答えたいができない――喉がロクに動かない、周りの景色や背と尻を預けた木と同じようにカラカラ。  フードを脱ぎ覗き込んでくる男の顔、その向こうで空が白み始めてる。ああ、肚というのはまだしもカッコつけた表現で、諦めをつけてたってのがより正確。俺は死ぬ。流れ流れて根無し草のまま、胃も頭も空にして、じき昼の熱気だけに満たされるこの荒野で。木が墓標代わりになるだけありがたいと思「うッ」  せっかくの墓標が離れていく――何かが

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R.E.T.R.O.=/Q

R.E.T.R.O.=/Q

《街》にダイヴするとき、決まって全身全霊を総毛立つような感覚が駆け抜ける。 自我を除く全情報が書き換えられ、私達は指定座標に出現する。 私は耐刃レザーのボディスーツ、パートナーのエドはへんな騎士鎧の姿だ。 「なあオリー、本当にこんな場所に適合者がいると思うか?」 エドの機嫌が悪い。 「さあね、おやっさんが言うのだから確かでしょうよ」 《街》。それは無限に続く巨大な一本の通廊の形をした閉鎖系世界だ。そこに共通した上下の概念はなく、本人にとっての接地面が下となる。 四つの壁

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灰色の百合

灰色の百合

 腐った豚肉の臭いの立ち籠めた地下の酒場の片隅で、チンピラは震えていた。その有様たるや、上海された船員よりややましというところ、つまりは人屑であった。  男は野鶏らしき女に、時々安酒を流し込みながらぶつぶつと呟いている。  「……そうだよ、オレは兄貴達――ああ、魂安らかに――とあの貨物を襲いに行ったんだ。外灘の倉庫にあのボケナスの品が運び込まれるって聞いて、手槍片手に夜上海歌いながら駆け付けた」 「それで?」  「護衛はあっという間に片付いた。オレは『灰百合』と書かれ

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「壁画祖母の帰郷」

「壁画祖母の帰郷」

「ジュンちゃん、わたしはもうこういうのは受け付けなくてねえ。食べてくれないかい?」 そう申し訳なさそうにもやし炒めの貴重なお肉を分けてくれた祖母。我が家は貧しく皆ひもじい思いをしていたというのに……。 そんな祖母は目に見えて痩せていった。寝たきりの布団の膨らみがどんどん薄くなり表情もフラットに近づいていく。 祖母の最期を察した私は一人で泣く時間が増えた。かわいそうな祖母、誰よりも優しかった祖母。思い出が走馬灯となって駆け巡る。 そして祖母は完全に平面化した。

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ヴィツェゴニァ語殺言語事件

ヴィツェゴニァ語殺言語事件

 俺の名前はヴィツェゴニァ語という。『俺』を読み書き出来る最後の人間ハルイ=ゴナ=ミソクが凶弾に倒れたことで、死にゆく運命にある哀れな消滅危機言語だ。  言っておくが、ヴィツェゴニァ語を喋る人間はハルイ以外に存在しない。数年前にハルイの祖母が死んでからは正真正銘の唯一無二だ。誰にも通じない言語を脳味噌に入れてるってどんな気分なんだろうな? まあ、誰しもが物置の隅にスケートボードを寝かしていることを考えれば、ハルイの気持ちも分かるだろうか。  誰も知らない言語っていうのは死ぬし

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『無機物マン』

『無機物マン』

「グギャァァメルシィィ!」  巨大な洗濯バサミに頭部を挟まれた、これまた巨大なフランス人形の苦痛の声がマジソン・スクエア・ガーデンのリングに響き渡った。 いや、正確には巨大な洗濯バサミには屈強な成人男性の手足がついている。  そう、洗濯バサミ人間だ。  その洗濯バサミ人間が同体格、おそらくは190cm超ほどもあろう金髪碧眼でロココ革命アントワネットみたいなドレスを纏ったフランス人形人間の頭部をひしゃげるほどの力で挟み潰そうとしているのである。  西暦20XX年、「人間同士で

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ザンダレル王国崩壊記

ザンダレル王国崩壊記

「ここに封筒が二枚ある」 一目見て、解った事が二つ。 この女はクズだ。とびきりの。 そして美人だ。とびっきりの。 「青い方には五万、白い方には十万ゾル入ってる。どちらかあげる、っていわれたら、どうする?」 指差す。白。 「だよね。でも」 青い封筒をふり、女は笑う。その口端は、引き絞られた弓に似ている。 「こっちの封筒。実はコレは何故か毎朝五万ゾル入ってる不思議な封筒だとしたら。どっちを選ぶ?」 「寝言が趣味なら酒場に行け。ご同輩が幾らでもいる」 女は肩をすくめる

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