アイアンアトラス

【アイアン・アトラス・ホットショット!】後編

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「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「アイエエエエ!」

 ネオサイタマ、ジンダ・ストリート! 明け方の路地裏で行われている暴力を取り締まる者などいない! 鉄の棒で打擲される無軌道男子大学生には何の落ち度もない。それはここ最近勢力を増しつつあるギャング集団、ブラック・カッパ・ギャングによる「インテリ狩り」の現場だった。

「も、もう許してください……」

 蹴り転がされた無軌道大学生は涙目でブラックカッパのフード・ギャング達を見上げた。歪んだショッキング・ピンクの眼鏡が痛々しい。

「おいテメェ、ナメてんじゃねえぞ。その眼鏡もだけどよォ。ケンカ売ってんのかって話でよォ」

 ギャングは財布の中身をあらためる。

「クレジット・カードがねェじゃねえかよ!」

「カ、カツアゲマン対策で、最小限のカネで遊ぶようにしてたんです……」大学生は呻いた。ギャングは蹴りを入れた。「イヤーッ!」「アイエエエエ!」「俺らがそのカツアゲマンだッコラー! テメェら大学生は街の養分なんだよ! 親のカネで無責任に遊びやがってよ! カツアゲマネー無しで遊ぶとか、ナメてんのかって聞いてんだよ!」「アイエエエエ!」ナムアミダブツ!

「ッたくよォ……オイ、だけどどうするよ。上納金このままじゃ足りねえんじゃね」「ヤバくね?」ギャングの数名が表情を曇らせた。大学生を痛めつけていたギャングが更に怒りを高め、打擲の手を強める!「そうだよテメー! 無駄足踏ませやがってよォ!」「アイエエエエエ!」

「とりあえず攫うか」「ワゴン乗せるか」「そうね」彼らは頷き合った。大学生は絶望で顔面蒼白になった。そして笑っていた。人は絶望を極めれば笑顔になってしまうのである。……だが、その時である。路地裏にエントリーしてきたのは、蜘蛛柄のフードを装った別のチームのギャング達であった。

「ア?」カッパ達は眩しそうな表情で彼らを睨んだ。「何だコラ?」

「俺らツチグモ・ギャングだよ」

 彼らは答えた。歩きながら、鉄パイプで壁をガリガリ擦った。

「最近オメェら目立ちすぎなんだよ。調子こいてンだろ、ア?」ツチグモ・ギャングは凄んだ。「ここのストリート、俺らの縄張りの隣なんだよ。テメェーらの居場所からだいぶ遠いぞコラ? その大学生のカネ、俺らに渡せコラ」

「知らねェーよ。ブラックカッパは無敵なんだよ」

 カッパは言い返した。彼らは囁き合った。

「やっちゃう?」「うぜェし、やっちゃうか」

「ボス」「……ボス!」

 ツチグモ・ギャングが脇にのくと、さらに一人、路地裏にエントリーした。凄味があった。メンポを装着し、抜き身のカタナを手にしている。……ニンジャなのだ!

「ドーモ。タランテラです。ちょっと運動付き合ってくれないかなあ」

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