【アイアン・アトラス・イントロダクション!】
” 舞台は西暦2048年、危険なサイバー都市「ネオサイタマ」の歓楽街。だがこの物語に登場するのは、妻子の復讐のために戦う孤独なサヴァイヴァーでも、暗黒メガコーポの重役を暗殺するために奔走するエージェントでもない。暗黒の日々を刹那的に生きる、愚かで等身大の英雄たちだ。そして彼らは、ときどき悩んだりもする。 ”
- ブラッドレー・ボンド
" なんてすごい! 完全に並外れた想像力! ”
- キンメリア・トゥデイ
” 暗黒メガコーポはすぐに「責任を負え」と言ってくる。自分たちがしでかした事に対しては何もせず、ただ、おまえの未来に大量の責任と罪悪感だけを押し付けてくる。知ったことか。おまえの手に負える範囲より先の責任を負うことの無意味さを、アイアン・アトラスは教えてくれる。 ”
- 逆噴射聡一郎
◆登場人物紹介◆
コミタ・アクモ
無軌道大学生。気弱で、ケンカが弱く、誘惑にも弱い。歓楽街でいつもやっかいごとに巻き込まれ、アイアンアトラスに遭遇する。
アイアンアトラス
ネオサイタマ繁華街の夜に現れる神出鬼没のニンジャ。パチンコや競馬が趣味で、力が強く、辛抱しない。
チュリ
ガールズバーで働く女。アイアンアトラス同様、コミタと縁がある。
タランテラ
ツチグモ・ギャングのリーダーで、ニンジャ。残虐で容赦なきカタナ・カラテの使い手。
◆あらすじ◆
コミタ・アクモは平凡な無軌道大学生。人生の展望も目的も持てず、焦燥感ばかり募らせながら、ただ無為にコンパとアルバイト暮らしに明け暮れていた。ある日、盛り場で無惨なボッタクリ被害に遭いかけた彼の目の前に現れたのは、彼と同様、客として店に来ていた謎のニンジャ、アイアンアトラスであった! アイアンアトラスはすさまじいニンジャの暴力でチンピラをぶちのめし、詐欺請求をうやむやに回避する!
「頭いいナ! お前、スッゲエじゃん! お前のあだ名、UNIXマンだな!」気弱なコミタと、彼を一方的に気に入ったアイアンアトラスの、波瀾万丈ネオサイタマ・ナイトライフが火蓋を切った!
◆用語説明◆
ネオサイタマ:近未来日本。国家体制は崩壊。最新技術のメッカ。
ニンジャ:強い奴ら。数は少ない。ある日突然ニンジャになる。
暗黒メガコーポ:巨大企業群。実質的に世界を支配。頻繁に抗争。
ソウカイ・シンジケート:ネオサイタマの裏社会を支配する組織。
月:地球の衛星。2038年に割れた。特に大きな影響はなかった。
サイバネ:身体拡張ユニット。旧式の軍用払い下げ品が大量流通。
IRC:最先端のSNSツール。テキストだけでなく通話もできる。
ネオサイタマ、トリヨシミツ・ストリート11PM。下水配管工から湧き出すスモークが足首の高さに立ち込める。「電話王子様」「チャツコのお店」「大きい人専門店」……ネオン看板の蛍光色は残響じみてスモークを薄く彩り、空を縦横に横切る電線ケーブルはパチパチと音を立てて火花をアスファルトに落とす。
トリヨシミツは磁気嵐消滅後のネオサイタマで伸長した地域のひとつだ。ネオサイタマ南東部の損壊や企業戦争によって商売が立ち行かなくなったもの達が自然と集まり、中立緩衝区域に極彩色の歓楽街が生み出された。
ここではメガコーポの目は届きにくく、ちょっと油断すればカツアゲマンに襲われ、陰に引き摺り込まれて金品の強奪にあう。そういった暴力行為を未然に防ぎたいならば、ソウカイ・シンジケートのケツモチ・トークンを購入することだ。ケツモチ・トークンを使えばソウカイヤの治安ヤクザが現れ、敵をやっつけてくれる。トークンは回数制で、2回使用すると再度のチャージが必要となる。だが、いかんせん値段が高く、カツアゲマンの半分はソウカイヤの末端構成員で、マッチポンプをやっているという、まことしやかな話もある。
「十人十色! 十人十色!」
ライムグリーンの自走マネキネコは左腕を激しく動かしてマネキ・サインをしながら、8の字を描いてストリートを練り動く。狭い路地裏ではモヒカン・ヘアの側面に「悪人」の文字をペイントしたカツアゲマンが気弱なサラリマンを壁に押し付け、財布を奪い取る。桃色の格子戸の奥ではオイランが微笑み、ネオン扇子をゆっくりと振っていた
「安い、安い、実際安い」「自由なら何でもある! あなたはここで何をする?」「ムカつく奴をノックアウトだ!」広告音声にメランコリックな街頭BGMが混じる。「ヒートリー、コマキー……タネー……ミスージノー、イトニー……」あるいはホロ・オスモウのオハヤシ音声。「イヨオー! ノコッタ!」あるいは市民に注意を促す自治会警告音声。「街頭キャッチマンに気をつけてください。あなたのIDや素子が狙われています。トリヨシミツ商店会の腕章が無い人間! 今すぐキャッチやめなさい。射殺される事もありますよ!」
ここは不夜城ネオサイタマ・トリヨシミツ。0時以前など、いわば朝のようなもの。ネオン誘蛾灯に誘われるホタルめいて、流行りの発光アクセサリを身につけた市民が集まり、次の飲み屋の一軒、ホットなオイランランド、深夜イベントのクールな地下クラブを求めて、東へ西へ歩き過ぎる。
月破砕、国家消滅から約10年。先端サイバネティクス・テクノロジーの坩堝たるネオサイタマは、世界中の暗黒メガコーポの進出地と化し、ヤクザ、傭兵、ニンジャがシノギを削る都市と化していた。自由と混沌の時代。市民は日々たくましく、享楽的に生きていた。
◆現在読めるエピソード◆
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ニューヒーロー出現! コミタとアイアンアトラスの出会い! ボッタクリ・バーにカラテの嵐が吹き荒れる!
ドンツクドンツクブンブブーン。ストトントコトコトントトーン。ペペペンペロペペー。サイバークラブ「無限大です」に襲撃を駆けるツチグモギャング。客として遊びに来ていたコミタは危機にさらされる!
ツチグモギャングのタランテラが張り巡らせた蜘蛛糸じみた罠! アイアンアトラスとのユウジョウに危機が訪れる。そのときコミタがとった選択は!?
トミクジに沸くネオサイタマ! 2億円の当選は誰の手に!? そしてコミタに降ってわいた幸運の顛末は……?
ニューイヤーを待ちわびるネオサイタマに「オモチ・ナイト」の噂が駆け巡る。オモチ食べ放題のダンス・イベント……そんな桃源郷が果たして存在するのか?
ニューヒーロー、アイアンアトラスの長編エピソード! アスタロスという恐るべきニンジャのプリズン出所を機に、フーディーギャング達の秩序が崩れようとしていた。アイアンアトラスは激しい抗争に巻き込まれてゆくのか!?
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