ハイヌーン・ニンジャ・ノーマッド(後編)
【承前】
「あッ」と叫び、斬り掛かったはずの足軽の首が高く飛んだ。切断面から血が噴き上がり、残った体は帯を引かれた芸者のように回転し、刀を構えたまま後ろに倒れて大八車の上に転がった。醜く荒っぽい切断面だった。
直後、数十の叫びと怒号が大通りを満たした。キルジマのニンジャ聴力は、その奥で塗り潰されるユフコの悲鳴を確かに捉えていた。歯軋りし、キルジマの額と脛から血が滴り落ちた。
ここから先は
10,071字
/
3画像
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?