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S4第1話【ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】分割版 #4

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 酷い破壊は、ヤクモ・スクランブル交差点だった。フクロウは空を滑り、立ち昇る灰色の煙の方向を目指した。ビルの屋上で向かい合う二人のニンジャの影を、フクロウは遠く見定めた。フクロウがよく知る赤黒の影、ニンジャスレイヤーと、対岸のビルで向かい合う、襤褸をまとったニンジャとを。

 あの破壊を引き起こしたのが対峙する二人のニンジャである事は論を待たない。フクロウは数度羽ばたいて速度を高め、その現場へ更に近づこうとする。

 ……ピイイイイ! 刺すような笛の音がフクロウを襲う。フクロウは飛翔のバランスを崩し、数度のキリモミ回転を経て、マンション屋上に着地した。

「チイッ……」フクロウはコヨーテに変じ、コンクリートの上をゴロゴロと転がった。膝をついて顔を上げた時、既にフィルギアは人間の姿をとっている。警戒する彼の表情は、目の前に立っている平安ナオシ姿の男を見た瞬間、驚愕一色となった。「……な……!」「よしたがいい」男は笛を下ろした。

 悲しげに伏せていた男の目には白目がなく、夏に見上げる夜の銀河じみた深い青色をしていた。「既にストラグル・オブ・カリュドーンは火蓋を切った。イクサに立ち入る者あらば、他の狩人達の餌食となること、避けがたいものですよ……」「……お前は……!」フィルギアの声は少し震えていた。

「貴方は」笛の男は息を吐き、アイサツしようとした。フィルギアは被せるようにアイサツを先んじた。「ドーモ。フィルギアです」「……フィルギア? この地にて、さような名を名乗り……」男は言葉を切り、吟味するように、今のフィルギアの装いを、アトモスフィアを確認した。「さような出で立ちを」

「お前が何故」「ならば私も奥ゆかしく名乗りましょう。そうですね……」彼は少し考えた。「……では、シナリイにしましょう。ドーモ、フィルギア=サン。シナリイです」シナリイと名乗ったニンジャはじっとフィルギアに視線を注ぐ。「人の世に交わるという貴方の矜持ですか」「……時代ってやつだ」

「息災の御様子、まずは、よかったことだ」シナリイは言った。そして少し表情を曇らせ、灰色の午後の街を見渡した。「貪婪の都ネオサイタマ。なんとも、私には向かぬ場所です」「だろうな」フィルギアはじりじりとしていた。「そこを退いてくれ」「かつての友の命の徒に散るさまは酷なもの」

 シナリイの物腰は柔らかかったが、フィルギアを阻む様子は断固としていた。フィルギアは眉根を寄せた。「……カリュドーンと言ったか」「然り。執り行いしは、ダークカラテエンパイアのセト。獣に定められしは、ニンジャスレイヤーです」「……」フィルギアは青褪めた。「何故だ」「さて……」

 シナリイは答えず、続けた。「儀式は始まった。狩人達が承認を行い、獣がその承認を受けました。ゆえに、立ち入れば余の狩人からの排除を受けるさだめ。言うなれば、そうですね、犬死にです、フィルギア=サン」彼は目を閉じ、唇を歪めて笑った。「貴方はカラテの達者なニンジャではなかった筈」

「ほうっておけよ」フィルギアは憮然とした。「お前はニンジャスレイヤー=サンの敵か。……ダークカラテエンパイアのセト……その使い走りか?」「さて、貴方の目からは、どのように見えていますか」シナリイのアルカイックな笑みが謎めいた。

「かつてのよしみです。幾つかお話を」シナリイは目を開いた。白目のない夜の瞳がフィルギアを見据えた。そしてフィルギアの髪に触れようとした。フィルギアは反射的に後ずさった。シナリイの肩越し……ビルを隔てて睨み合った二人のニンジャが、同時に相手へ襲いかかった。


◆◆◆


「「イヤーッ!」」ニンジャスレイヤーはコンヴァージの肩に踵を落とした。一方コンヴァージはニンジャスレイヤーの首を掴みにかかった。赤黒い火花を伴う衝撃波が放射状に拡がり、「タケノ戸」と書かれた広告看板が圧し曲がった。二者はフリップジャンプでそれぞれのビルに着地し……再び跳んだ!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」空中で二者は連続カラテを打ち合わせた。衝撃の拮抗によって、彼らは実際、宙に留まって打撃を応酬した。コンヴァージの腕をニンジャスレイヤーは躱し、掴み、投げ飛ばした!「イヤーッ!」KRAAAASH!「タケノ戸」が粉砕!

「ハ!」コンヴァージは分解する広告看板を取り込んだ。鉄の柱が捻れ、火花を発しながら彼の身体と結びついた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。コンヴァージは足元を砕きながらダッシュし、ニンジャスレイヤーにバッファロー殺戮鉄道じみたショルダータックルをかけた!

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