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銀貨の行方(後編)

承前

 奇妙な広間だった。其処彼処の壁や、書棚の脇に、砂時計の群が掛け置かれていた。グリンザールが通りすぎざまにそれらの一つを覗き込むと、其処に在るのは砂粒ではなく、何かひどく小さな、ぞわぞわとした虫めいた生き物で、それが砂時計を逆に昇ろうと試みては、滑り落ち、昇ろうとしては、滑り落ち、を繰り返しているのであった。その光景が余りに呪わしかったので、グリンザールはその一つに蹴りを入れて叩き割った。中から漏れたものは、黒く泡立って、地に吸われていった。

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