プレシーズン4【キタノ・アンダーグラウンド】分割版 #5
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「スッゾオラー……」武装スーツに赤い熱を帯びたクローンヤクザ達は、小刻みに震え始めた。やがて彼らがかざした両掌には、赤い火明かりが宿っていた。これがブリムストーンのリモートカトン・ジツ……カスタムクローンヤクザに埋め込まれた特殊増幅器を通して、カトンを付与する恐るべき力だ。
「畜生、次は何だコラ!?」「立ち退きしないと思う!」破れ窓のテーブル・バリケードの奥から、住人の中年男性達が吼えた。ブリムストーンは腕組みしてそのさまを眺めた。そして爪先をトントンと踏みしめ、カウントした。「3、2、1、ゴー」「「ザッケンナコラー!」」KA-DOOOOM!
ナムサン! クローンヤクザ達が一斉に手を前に突き出し、ピザタキをめがけ火球を射出! 容易くテーブルバリケードは吹き飛ばされ、爆炎に中の市民が呑まれた! 焼殺!「アバーッ!」「アバババーッ!」ナムアミダブツ!「スッゾオラー!」クローンヤクザは左右展開しながらカトンを投じ続ける!
「ハイヤーッ!」「グワーッ!」身を乗り出したウキヨがレンガを投げつけ、クローンヤクザの頭を割った。コトブキである。エンチャントされたカトンが傷口から吹き出し、クローンヤクザは燃えながら倒れる。しかし一人倒れればそれをカバーし二人が走り込む!「ハイヤーッ!」「グワーッ!」一人倒され、二人が侵入!
「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」店内で狼藉が発生し、コトブキはそちらを振り返るが……「皆さん……!」「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」「ハ……ハイヤーッ!」ウキヨは対応せざるを得ない! 更なるクローンヤクザが突入! KA-DOOOM! DOOOM! ヤクザはカトンを帯びて店内で容赦なく攻撃!
「ウキヨか。妙な店もあるものだ」ブリムストーンは悠然と見守りながら呟いた。「第二陣、攻撃開始。更地にしても構わん」「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」後陣のヤクザが手に生み出した火球をキタノスクエアビルめがけ放物線を描いて投擲する。BOOM! KA-BOOM! 店内でスプリンクラー作動!
「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」BLAMN!「グワーッ!」クローンヤクザが銃撃を頭に受け、火を発して倒れた。二階窓から猟銃で射撃したタキであった。緊迫した表情に希望が浮かぶ。だが、BLAM! BLAMN! 続く射撃が当たることはなかった。無論、彼は銃撃の訓練は受けていないのだ。
BLAMN! 隣の窓から老いたスシ屋が顔をのぞかせ、ブリムストーンを撃った。ブリムストーンは飛来した猟銃の弾丸を指先でつまんで止めた。銃弾を熱圧縮して溶かすと、彼は手首のサイバネ穴から流れ出た可燃ゲルを両手で握り込んだ。恐るべきニンジャ握力が作り出したナパームスリケンを、投げた。
KRA-TOOOOOM! ナパームスリケンが炸裂し、ピザタキの二階が爆炎に呑まれた。「アバババーッ!」直撃したスシ屋は黒く焦げて弾け跳び、そしてタキは内側で炸裂した爆発に弾かれるかたちで空中に放り出された。怒りに燃えるコトブキがクローンヤクザを薙ぎ倒し、ブリムストーンに向かってくる。
「ハイヤーッ!」「フン」「ハイヤーッ!」「フン」ブリムストーンは繰り出される回し蹴りを左手でいなし、続く掌打を、その左手を下ろして逸らすと、そのまま腕を掴み、ねじりあげて、地面に叩きつけた。「ンアーッ!」ブリムストーンは落下してくるタキに向き直り、膝を曲げ……「イヤーッ!」
「イヤーッ!」……ブリムストーンの断頭トビゲリは空を切った。空中でタキは異様な動きをした。彼の身体は斜め上に跳ね上がった。ワイヤーめいたものが彼の首に絡みつき、凄まじい勢いで引き寄せたのだ。「イヤーッ!」ブリムストーンは「北野マージョン」のネオン看板を蹴り、跳んだ。
「イヤーッ!」ブリムストーンがトライアングル・リープした先では、隣接する雑居ビルの屋上から飛び降りた赤黒のニンジャが……ニンジャスレイヤーが、タキを抱えている。「イヤーッ!」カラテが衝突した。二者は流星じみた勢いで地面に着地した。
「イヤーッ!」振り向きながら、ニンジャスレイヤーは複数のスリケンを投じた。赤黒い火の軌跡を伴うスリケンが、後陣でカトン攻撃を行うクローンヤクザの頭に次々に突き刺さった。「グワーッ!」「グワーッ!」「グワーッ!」「ニンジャスレイヤー=サン!」コトブキが走ってきた。
「イヤーッ!」ブリムストーンが至近を通過するコトブキに狙いを定め、ヤリめいたサイドキックを繰り出す!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは赤黒く燃える残像を残した。KRAASH! ニンジャスレイヤーはブリムストーンの蹴りを肩で受けた。「コトブキ! タキを!」ニンジャスレイヤーは叫んだ。
既にニンジャスレイヤーはタキを空中に放り投げていた。ぐったりと気絶したタキが落ちてくる。コトブキは折れていないほうの腕でタキを受け止め、倒れ込んだ。彼女は振り返り、ニンジャスレイヤーの背中を見た。蹴りを肩で受けながら、ニンジャスレイヤーはブリムストーンを睨んだ。「……何をしている」
「ヨージンボ? この哀れなビルの関係者か?」「何を……」ニンジャスレイヤーはブリムストーンの顎を掴んだ。「している……」「グ……!」ブリムストーンは目を血走らせた。ニンジャスレイヤーは彼の首を瞬時にへし折りにかかった。ブリムストーンはニンジャスレイヤーに掌を当てた。「イヤーッ!」
KA-DOOOOM! カトンが炸裂し、二者は互いに弾き飛ばされた。地面にバーンナウト痕を作りながら、ニンジャスレイヤーはコトブキの目の前まで滑ってきた。コトブキは呻いた。ニンジャスレイヤーはコトブキを一瞥し、ブリムストーンを見た。そしてアイサツした。「……ドーモ。ニンジャスレイヤーです」
「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。ブリムストーンです」考えを巡らせながら、ブリムストーンはアイサツを返した。彼はニンジャスレイヤーのカラテをはかった。「俺のナパーム・カトンを耐えたニンジャはそれほど多くはない。それに、妙な名前だ。ニンジャを殺す? 面白い」「貴様はカタナか」
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