S4第1話【ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】分割版 #3
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立ち上がったニンジャスレイヤーは炎の雫を滴らせ、「不如帰」のネオン看板を見た。……KRAAAASH! 看板は燃えながら溶け、吹き飛んだ。看板を破壊したニンジャスレイヤーは笹の包みを掴み取った。笹の中身はバッテラのスシである。ニンジャスレイヤーは叩きつけるように口中へ押し込み、咀嚼した。
「スウーッ……フウーッ」彼の足元で水溜りは煮えたぎり、やがて蒸発して消え去った。「スウーッ……フウーッ……」ニンジャスレイヤーはうつむいたまま、肩を揺らし、ジゴクの炉めいた呼吸を続けた。不意に彼は頭を上げ、首を巡らせ、一方向を凝視した。レーザーポインターじみた眼光が闇に滲んだ。
悲鳴じみて、地面に散らばった看板が最後の火花を発し、路地裏の光が消えて再び生じたとき、既にニンジャスレイヤーの姿はない。彼が睨んだ方角へ向けて、アスファルトにはちろちろと燃える火の跡が残されている。
◆◆◆
キイイン。キイイイン。コンヴァージは耳鳴りに顔をしかめた。現世にオヒガンの影が微かに重なり、交差点を行き交う人々の輪郭がぼやけた。彼の頭上の曇天にひととき、キンカク・テンプルが顔を見せた。『かくして獣は狩りの印を宿した』荘厳な声が反響し、明滅するオヒガンの地平に巨大な七つの影。
うちひとつが、コンヴァージの忌々しき主、ボロブドゥール帝国のシャン・ロア……リアルニンジャとしてムカデ・ニンジャの名を持つ。ムカデ・ニンジャを思考に乗せるだけで、彼の掌の「ロウ・ワン」の印は熱を持つ。『星辰が最初の挑戦者を決める。狩人達よ。時を待て。カリュドーンの掟は絶対也』
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