【ヨロシサン・エクスプレス】#3
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「ヤモト=サン、ネオサイタマなのか!?」皿に山盛りのアイスをよそって歩いてきたザックが、テーブルの会話を耳に挟んで驚いた。「わたし達もそうですよ」と、コトブキ。「マジかよ!」ザックは目を輝かせる。「超スゲエんだろ。サイバネ手術とかネオン看板とか。スゴイタカイビル、高いんだろ」
「高いですよ」コトブキは頷いた。「でも、わたし、自分の足で行った事がないですね」「俺も行ってみてェなあ! あと、この……このアベ一休」ザックは擦り切れたTシャツを引っ張って一同に見せた。「ネオサイタマの昔のパンクバンドなんだぜ。俺はインターネットしてたから、メチャ詳しいぜ!」
「まあ! 音楽なんですね。今度聴いてみます」「そうだよ! サガサマ=サンはネオサイタマ、どうなんだよ」「ええまあ、社用で行ったり来たり、ある程度馴染んでいますね」「なんだよ。ネオサイタマ行ったことないの、俺だけかよォ」「今いる場所を気にしろ」マスラダはカツレツにナイフを入れる。
彼はザックを見た。「このシンカンセンは東海岸、ニューヨークまで行く。どこまで行くか、どこで降りるか、決めたか。ザック」「……ええと……」少年は答えに詰まった。「俺は、クールな文明国なら、どこでも良いさ」「おれはネザーキョウに戻る。北だ」マスラダは言った。「だから、考えておけよ」「……」ザックは俯き、山盛りのアイスを食べ始めた。
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