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S3第5話【ドリームキャッチャー・ディジタル・リコン】#10

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「オオオオオオオ!」ドリームキャッチャーはコヒバリAの顔面を壁に押しつけ、再び引きずり、叩きつける。「オオオオオオオオ!」「AAAAARGH……!」コヒバリBがその背後で嘴を高く上げたのち、土色のジュー・ウェアを着たドリームキャッチャーの巨岩めいた背に突き刺した。

「ウワーッ!」ザックが頭を押さえ、悲鳴をあげた。坑道を進むニンジャスレイヤー達のニューロンに、ドリームキャッチャーの視界がフラッシュバックした。「しっかりつかまってください!」コトブキが案じた。映像は谷の者達のニューロンに等しく去来した。坑道の外で待つA-1も、当然それを見ていた。

 彼らリコナーは村を囲む谷の向こう側へ出て、崖沿いのおぼつかぬ道の踊り場めいた場所に集まっていた。その数は随分と少なくなっていた。ナインもそこにいた。彼女はその場でラップトップUNIXを開き、己の主の無事を毅然と信じていた。「友よ。我が友よ」A-1は涙を溢れさせた。「我らは無事だ!」

「オオオオオオ……!」KRAAAASH……! ドリームキャッチャーはコヒバリAの後頭部を崖に押し付け、そのまま摩り下ろすように叩き下ろした。コヒバリAはもがき、激しくばたつく。コヒバリBは嘴を背筋から引き抜き、二度目の刺突を行うべく、再び身を逸らした。

『友よ。我らは無事だ。この谷を離れ……そして営みを続ける。私とお前が起こしてきたデータストリームの風は絶える事がない。だから……』「オオオオオ……」ドリームキャッチャーはゆっくりと振り返った。KRAAAASH……! その足元にコヒバリAが倒れ込んだ。『だから、思うままに戦ってくれ!』

「AAAAARGH……!」コヒバリBは頭上、空高くに紫の火を吐いた。DOOOOM……DOOOOOM……ドリームキャッチャーは地響きを立て、湖の水面を狂わせながら踏み込み、振り上げた拳を、コヒバリBの頭部に叩きつけた。KRAAASH……!「AAARGH……!」コヒバリBは仰向けに転倒した。大地が裂け、亀裂が重なる。

「ボウオオオン!」ドリームキャッチャーは吼えた。マウントを取り、クマめいた腕を振るって、幾度も殴りつけた。KRAAAASH……! KRAAAAASH……!「AAARGH……! AAAAAAARGH!」DOOOOM! コヒバリはドリームキャッチャーの顔面に紫の炎を浴びせる! ドリームキャッチャーは怯む……だが、殴り続ける!

 紫の炎が止んだ。火を吐ききったコヒバリは、炉を再び満たさねばならない。だがドリームキャッチャーはそれを待ちはしなかった。KRAAASH……! 叩きつける頭突き! KRAAASH……! さらなる頭突き!「AAAARGH……!」コヒバリは痙攣! ドリームキャッチャーは胸部に手をこじ入れ、装甲を剥がしにかかる!


◆◆◆


「エエイッ!」「アッ……! アッ……!」ジョウゴ親王は情動に任せてコショウの尻を二度叩いた。コショウは達し、泡を吹いて失神した。親王は歯噛みして振り返り、黒曜石を睨んだ。その表情は思惑通り動かぬイクサへの苛立ちか。否。それは凄惨な笑みであった。「滾るわ……オオケモノめ……!」

 ジョウゴ親王は黒曜石の前に両膝をつくと、両手の人差し指と中指をこめかみに当て、燃えるような目を見開いた。親王の瞳は今やカゲムシャ・ジツ行使に伴い紫の光をグルグルと燃やしていた。剥き出した歯がガチガチと音を立てた。「……イヤーッ!」


◆◆◆


 KRAAAASH! ドリームキャッチャーはコヒバリの胸板を剥がし、ひしゃげた装甲を放り捨てた。DOOOM……DOOOOOM……巨大な青銅が岩崖に突き刺さる。オオケモノは謎めいた炉に喰らいつき、完膚なきまでに破壊した。……その後ろの空を、監視カイトがキリモミ回転しながら横切っていった。

「アバババッ! アバババーッ!」監視カイトを背負ったヒケシ・ゲニンは水晶交信珠を胸に抱き、出血する目を飛び出さんばかりに見開いて滑空する。交信珠は異常な紫に発光し、哀れなゲニンを完全に掌握していた。滑空する先には、震えながら身を起こそうとするコヒバリAの巨影があった。

「AAARGH……!」コヒバリAは姿勢をゆっくりと変え、胸部をカイトに向けた。胸部装甲がカンノンじみて開き、紫の炎の炉が出現した。「親王殿下……バンザーイ!」ヒケシは絶叫した。交信珠を抱えたまま、彼はカイトごと、紫の炉に呑み込まれた。装甲が再び閉じた。「GRRRR……」コヒバリが震えた。

「……」ドリームキャッチャーはコヒバリBの残骸を蹴散らし、起き上がった。肩越しに見据えるもう一体のコヒバリは激しく震えながら身を反らし、雄叫びを上げた。「ケケェーン……!」背中に翼めいて畳まれていた部位が展開した。それは異形の腕だった。『退治てくれよう、オオケモノよ』

「ガンバレ……ガンバレ……!」A-1は地面にうずくまり、もはや祈るように、ドリームキャッチャーとの交信を継続していた。そこへ洞穴から走り出たのは、コトブキとニンジャスレイヤーそれぞれのバイクだった。ナインが駆け寄り、ニンジャスレイヤーが差し出すサブジュゲイターを支えた。

「CEO!」「……これで人員の全てですか」霞む目で、CEOはリコナー達を見渡した。「……少なくとも、これで今回の投資は無駄にはならず……」「CEOッ! CEOッ!」ナインはサブジュゲイターを抱きしめ、嗚咽した。ニンジャスレイヤーは空を見上げた。「……クソッ」

 コトブキはニンジャスレイヤーの視線を追った。カイト部隊。抜け目なくも逃走経路を読み、差し向けてきた別働隊。カイトのニンジャ達は一人一人が強襲兵とおぼしきセンシを抱えていた。カイトはニンジャスレイヤー達の頭上の空を縦横に飛行し、崖道をめがけ、正確に投げ落としていった。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 ニンジャスレイヤーは身構えた。コトブキは絶望的に両手サブマシンガンを構えた。サブジュゲイターは満身創痍。即ち、戦闘要員はニンジャとウキヨ一人ずつ。向かってくるセンシのアイサツが轟く。「ドーモ。ピリジャーです」「フライングインヴェイジョンです」「ロバーです」「ナローパスです」

 谷間に点在する岩棚に着地したニンジャ達に、ニンジャスレイヤーはアイサツを返す。「……ドーモ。ニンジャスレイヤーです」彼だけだ。「ハ。赤黒ニンジャの相手は適当にやっとけ」ピリジャーは他の者に言った。「防護服のアホどもを根絶やしにする。全員狩れ。それが先決だ」「応」「ヒヒ……」

「4人か」ニンジャスレイヤーは無感情に呟いた。コトブキは彼を一瞥し、覚悟を決めた。だが、それでは終わらなかった。BOOOOM……白煙の尾を引いて、さらなる飛翔体が空を横切ったのだ。リコナー達のみならず、ネザーキョウのセンシ達もそれを見上げた。

「素晴らしい……」サブジュゲイターはナインの膝の上で呟き、目を閉じた。傍らの地面に置かれたUNIXの画面には通信応答のメッセージが表示されたままだった。「……イヤーッ!」飛翔体は異様なマントじみた巨大な翼を開いて空中制御した。

 それはニンジャだ! ビッグニンジャじみて身長5メートル! だが実際その身体はひどく痩せており、手足は異様に長い。象牙質のフルメンポの下は、果たして人間なのだろうか。その4本の昆虫めいた腕に抱えられていた2人のニンジャと、背中にしがみついていた更に1人のニンジャが回転跳躍した。「「「イヤーッ!」」」

「何ッ!」「これは!」ピリジャー達がカラテ警戒する中、別の岩棚に立て続けに着地した彼らはアイサツを繰り出したのだ!「ドーモ。イミディエットです」「ヴァイルモールです」「エメラルドです」飛翔するニンジャはその後ろに回転着地し、アイサツを付け加えた。「フェアチャイルドです」

「……これで、8」ニンジャスレイヤーがジゴクめいて言った。ナインがすぐに告げた。「待ってください。彼らは我が社のニンジャ達です! 救援要請を受けて、この地に」「では……助けなのですか?」コトブキが恐る恐る尋ねると、ナインは力強く頷いた。「ハイ。我が社の株価にかけて」

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