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灰都ロヅメイグの夜 5:ゼウドの見る夢

承前

「喋る豚の神託亭」の太っちょ主人、ロッコの窯焼きポルツォは絶品だ。八種の秘密の香味を、竈で滴る極上の豚脂にまんべんなく溶け込ませ、種々の野菜と煮詰めて、歯応えの利いた狐色のドゥラム・ポルツォに乗せて頬張り、安上がりな天国の味を存分に味わった後は、スタウトで一気に流し去って次のポルツォへ。中毒性の高いこの儀式は、およそ銅貨の続く限り、永遠に続けることが可能だった。客の入りは上々で、どこかしら陰気に美しい風景画のごとくさえもある街路と夜の街並みに比べて、いかにも不似合いな名前を冠したこの酒場はしかし、今宵も十分に賑やかで、騒々しい活気に溢れていた。

 無論、吟遊詩人のその耳は終始、酒場で交わされる一言一句に隈無く網を張り巡らせているのだが、傍目から見ればゼウドもまた、長旅の舌寂しさを癒すために、この儀式を一心不乱に行っているように見える。その痩せぎすの体躯からは信じられぬ程の量を、彼は望むならば食せるからして、既に平らげられたポルツォの大皿が三枚、それと幾つかの小皿が彼の丸テーブルの前には積み重なっているのだ。

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