S4第6話【アシッド・シグナル・トランザクション】#7
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「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。モーブレイドです」薙刀のニンジャがアイサツを返した。そしてガレージ屋根のニンジャ。「ミスティカルです」そして背後のニンジャ。「バスカヴィルです」三者の全身に危険な殺気とカラテが満ちる。ザナドゥは囁いた。「俺がやってた事、何かって? 今見えた筈だ」
ザナドゥの視線を追ったニンジャスレイヤーは、ボンボリ区の方角に突き出す高いシルエットの上に静止するものを見る。赤黒のオリガミを。「……」「アンタが作ったオリガミが、クソッタレ緑の免疫になる。理由はわからねえけど、俺のジツを……アートを結びつけて、構図を作れば、影響が広がるんだ」
「何だと……?」「マジなんだって。勝手にやって悪かったけど、非常時だしよ。後でその辺はちゃんと……」「そこじゃない」ニンジャスレイヤーは敵対三者の動きの兆しに警戒しながら呟いた。「……おれのオリガミが……」「ネオサイタマの始末屋よ! 其奴は我らの獲物だ」モーブレイドが言った。
薙刀を威圧的に振り回し、切っ先をニンジャスレイヤーに向けて構え直す。「そのザナドゥとやらは、落書きにてセト神の神聖儀式を乱す神敵。セト神に楯突く行為と知れ」「そうか」ニンジャスレイヤーはぴくりと眉を動かした。「そのセト神の儀式が何なのか、貴様らは知っているのか」「何……?」
バスカヴィルはミスティカルを見た。ミスティカルは鼻を鳴らし、ニンジャスレイヤーへの集中を促した。モーブレイドの肩にカラテが漲る。「儀式の内容だと……? セト神の大いなる御意志をあれこれ詮索する事自体が度を越した僭越であり無礼と知れ! 神を疑う、それすなわち万死に値す!」「もういい」
ニンジャスレイヤーはだらりと右腕を下ろし、前傾姿勢を取った。「こいつは他人ではない。来るなら、おれに来い」「イヤーッ!」モーブレイドが薙刀で襲いかかった!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは薙刀の切っ先を下から跳ね上げ、身体をねじった。ザナドゥは危機を察知し、地面に伏せた。
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはねじりを解放し、スリケンをモーブレイドに二枚同時に投げた。モーブレイドがスリケンを弾き返す隙に、彼は背後のバスカヴィルめがけフックロープを放った!「イヤーッ!」「イヤーッ!」バスカヴィルは腕の犬の口から火球を放つ! BOOOM!
ニンジャスレイヤーは横に転がり、火球を避けた。ザナドゥの眼前で火球が危うく爆ぜた。そしてニンジャスレイヤーの放ったロープは螺旋軌道を描き、火球射出後のバスカヴィルの腕に巻き付き、先端の鈎をがっちりと食い込ませていた!「イヤーッ!」「グワーッ!?」バスカヴィルの足が地面を離れた!
ハンマー投げめいて飛ばされたバスカヴィルの先はガレージ屋根のミスティカル! ミスティカルはマバタキ・ジツで転移し、廃材の上に出現する! だがニンジャスレイヤーはミスティカルの出現地点に向かって跳んでいた!「イヤーッ!」「な……グワーッ!」空中回し蹴りが側頭部に衝突! 吹き飛ばす!
(((よいぞマスラダ! マバタキ・ジツなど所詮は小細工。飛び石めいて限られた距離を動く詐術! ニンジャ第六感と予測にて瞬時に出現地点を読み攻撃すれば即ち弱敵也! あの屋根から動ける先は知れておったわ!)))ナラクがニューロンの中で勝ち誇った。「イヤーッ!」だがモーブレイドが背後から斬りかかる!
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