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S4第6話【アシッド・シグナル・トランザクション】分割版 #5

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「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは押し返し、アイサツした。「ドーモ、ゴールデンドーン=サン。ニンジャスレイヤーです」「ニンジャスレイヤーだと?」ゴールデンドーンはエレガントなカラテを構えた。「ネオサイタマの始末屋が、宇宙的神秘の殿堂たる我が社のヘッドオフィスに何の用だ?」

「知らんのか。それとも、しらばっくれているのか。あるいは知らされていないだけか」ニンジャスレイヤーは黄金立方体の頭を睨んだ。「何にせよ、おれ達はここで目的を果たす。そこで座って見ていろ。セトの犬め」「クフフ……面白い」ゴールデンドーンは両手をまっすぐに広げた。「我が主の名を口にするとは!」

「「イヤーッ!」」二者のカラテ・シャウトが重なった。ニンジャスレイヤーが踏み込むのと、ゴールデンドーンの頭の黄金立方体が光り輝き、虹色の円光が放たれるのは同時だった。ニンジャスレイヤーのチョップは空を切り、ゴールデンドーンは頭上の闇にアグラ姿勢で浮遊していた。「ジツは満ちたり!」

「ヌウッ……」ニンジャスレイヤーは警戒した。虹色の光を帯びた、ガラスめいて透明な何かが出現した。(((これはフドウ・ピラミッド・ジツ! 警戒せよマスラダ!)))ナラク・ニンジャが警告した。(((力場を形成し圧殺するジツ! 本来、かような番犬ごときがほしいままにする力ではない)))

(打開策を示せ)(((ジツ使いを殺せば万事解決!)))「イヤーッ!」ゴールデンドーンは空中アグラ姿勢のまま、伸ばした両手を奇怪に旋回させた。(((……だが敵が力場の外に身を置いておれば、通常それはかなわぬ。力場はオヌシをめがけて集束し、密度を高める。密度が高まるよりも早く、力場をカラテで破るのだ)))

「イヤーッ!」SMAAASH! ニンジャスレイヤーは迫り来る透明の壁を殴りつけた。亀裂が生じる。確かにそれは密度を増して集束する三角錐の力場なのだ。「イヤーッ!」SMAAASH! 二度目のカラテで力場は薄氷めいて砕け散り、きらめきながらパーティクルと化した。(((よいぞ。殺すべし!))) 頭上にはゴールデンドーン!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは突進し、カラテを振るった。コトブキを圧殺せんとする四角柱状の集束力場をめがけ! KRAAASH! 力場が破砕し、コトブキは怯んだ。(((おろか! 千載一遇の反撃好機であったというのに))) ナラクの叱責と共に、ニンジャスレイヤーの周囲に新たな円柱力場が出現した。

「ニンジャスレイヤー=サン!」コトブキが円柱力場に駆け寄り、ドンドンと叩いた。ニンジャスレイヤーは円柱力場を内側から殴りつけた。上から見下ろすゴールデンドーンは不気味な笑いを降らせた。「クフフフフ! 成る程、初手にて力場を破るとは侮れぬカラテの持ち主! だが、もはやオーテ・ツミだ」

「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは力場を繰り返し殴りつける。電話ボックスめいた形状の力場は殴られるたびに白化しながら、しかし壊れる事はない。そして徐々に縮小してゆく。「卑怯ですよ! 降りてきなさい」「ではお前が私の相手をするかね? 機械人形よ」「望むところ!」

「フン……そうしてやるのは容易いが、誘っておるな。ジツの集中を減ぜしめんと? 我が答えは、否!」ゴールデンドーンは誘いに乗らなかった。「まずは専らニンジャスレイヤー=サンに集中し、安全に圧殺したうえでお相手しよう。イヤーッ!」力場縮小! ニンジャスレイヤーは内側から押し返す!「イヤーッ!」

 ゴールデンドーンはアグラ姿勢でジツに力を注ぎこんだ。「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは繰り返し殴りつけた。ゴールデンドーンはジツで抗する。じわじわと障壁は縮小する。コトブキは髪留めを引きちぎるように外し、頭上のゴールデンドーンめがけ投擲した。「ハイヤーッ!」

 ウキヨの力で投げれば髪留めとて凶器。だが、ゴールデンドーンはアグラ姿勢のまま空中を横にスライドし、髪留めを難なく躱した。万事休す? 否!「イイイイヤアアーッ!」KRAAASH! その一瞬の交錯の隙をつき、ニンジャスレイヤーは障壁を破った! 逆転! 否!「イヤーッ!」新たな力場がすぐさま出現!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。だがピラミッド状の力場は密度を増しながら縮小を開始、スリケンを受け止めながら迫ってきた。「オーテ・ダブル・ツミだ!」ゴールデンドーンはジツに力を注いだ。「まとめて圧殺してしんぜよう! セト神に栄光あれ! イヤーッ!」集束加速!

 ナムサン! もはや障壁外からゴールデンドーンを邪魔できる者なし! コトブキは身構え、ニンジャスレイヤーは赤黒の眼光を燃やした。「しゃがんでいろ」「しかし……」「スウーッ……フウーッ」ニンジャスレイヤーは深く呼吸する。コトブキは緊迫した表情でとにかく頷き、しゃがんだ。障壁は迫る!

 ……その時、コトダマ空間では!

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