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S3第7話【ナラク・ウィズイン】#10(分割版)

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◇関連エピソード:「ギア・ウィッチクラフト」

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 ケオスそのものと化したゴマ・バトルグラウンドの中央、ギンカク・オベリスクを囲む隆起地盤の上に立つのは、いつしかニンジャスレイヤーとザンマ・ニンジャ2人きりとなっていた。コルヴェットの姿はなく、ジョウゴ親王も見当たらず、ヘラルドは意識を失い、倒れて動かない。

 ジゴクそのもののように赤黒く煮えていたギンカク・オベリスクは、先程までとは打って変わって、再びその外殻は元通りに閉じ合わされ、凛とした静けさを取り戻していた。今、かのオベリスクは鈍色の表面を呼吸するように明滅させていた。そのリズムはニンジャスレイヤーの息遣いと同期していた。

「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ」ニンジャスレイヤーはヌンチャク・ワークを継続する。身体の周囲をヌンチャクが乱れ舞うと、黒炎が空気を切り裂き、闘志が身を焼き、いっぽうでニューロンのゼンは深まっていった。彼の中でトモエめいたバランスが生まれ、力が血中を激しく流れていた。

 ニンジャスレイヤーがヌンチャクを用いたのは、アラスカ、シトカ……仇敵サツガイとのイクサにおいて、彼はヌンチャクを腕の中に呑み込み、己の全てを燃やすカラテを以て決着をつけた。ナラクですらもマスラダの死を懸念したほどの力の行使。結果、彼はひとたび燃え尽き、ナラクの力を失った。

 それから長い旅を経て、今再び、マスラダはナラクの力と繋がった。そして再び、彼の腕の中から掌へ、ヌンチャクは戻ってきた……。(((マスラダ。今回はあのような愚かをするでないぞ))) ナラクが言った。(当然だ)マスラダは答え、ザンマ・ニンジャを見据える。

 一方、ザンマは腰を落とし、抉れるほど大地を踏みしめ、ザンマブリンガーを背負い、恐るべき密度のカラテを練り上げる。「この世にソガなし。平城京なし」ザンマは抑揚のない声を発した。「だがニンジャスレイヤーあり。ザンマの獲物あり。退治てくれよう」「……」ヌンチャクワークが……止まった!

 KA-BOOM! 両者の踏み込みの音が爆発じみた轟音を発すると、一瞬後、彼らはギンカクの正面で、互いの得物を打ち合わせていた! 振り下ろされたザンマブリンガーを、ニンジャスレイヤーは燃える鎖で受けた。「イヤーッ!」鎖は燃えながら上へ跳ね返り、魔剣を打ち返した!

 まともに受け止めていれば、そのままニンジャスレイヤーは恐るべきザンマの膂力をもって深く下へ抑え込まれ、イクサのイニシアチブを握られてしまうところだったろう。そうなれば白刃取りの時と同じだ。しかし瞬間的な力の解放によってニンジャスレイヤーは巧みに切り返したのだ!「イヤーッ!」

 ザンマは上へ暴れた刃の重みを利用してカラテ奥義サマーソルトキックを繰り出す! ニンジャスレイヤーは残像を伴うほどの速度で横へスライドし、額を断ち割る致命の蹴りを回避した。横からヌンチャクで殴りつける!「イヤーッ!」「ヌウーッ!」SMASH! ザンマはクロス腕ガードで吹き飛び、着地!

「ザンマ!」ザンマ・ニンジャは後ろへ滑りながらザンマブリンガーを投擲! ダイシュリケンめいて高速回転しながら襲い来る大剣! ニンジャスレイヤーは追撃を諦め、横へ身を翻すが……「イヤーッ!」ザンマ・ニンジャは勢いをつけて回転跳躍! ザンマブリンガーを踏んだ!「イヤーッ!」

 高速回転飛来した大剣の遠心力を乗せたザンマ・ニンジャの飛び蹴りが、意識を超える速度でニンジャスレイヤーを襲う!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは天地逆さに吹き飛び、逆立ちするように手をついて跳ね、かろうじて足場を残した。「ザンマ!」ザンマは大剣を引き寄せ、掴み、走り来る!

「スウーッ! フウーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクを腰の横で構え、腰を落とした。イアイじみた構えのもとに、ザンマが至る!「イヤーッ!」タツマキじみた横斬撃!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはヌンチャクを振り抜く!「イヤーッ!」返す刀が襲い来る!「イヤーッ!」それも弾く!

「イヤーッ!」更に襲いくるザンマブリンガー! ニンジャスレイヤーは回転しながら身を沈め、躱す! そこへ襲い来るケリ・キック!「イヤーッ!」ヌンチャクで打ち返す! 大剣斬撃の後に繰り出される当身カラテこそザンマの恐ろしさだ。ニンジャスレイヤーはここまでの立ち合いでそれを理解していた!

「イヤーッ!」蹴りを弾かれたザンマはニンジャスレイヤーの脳天を叩き潰す肘打ちを振り下ろす! ニンジャスレイヤーは双眸と背中から黒炎を発し、一瞬でザンマのワン・インチ距離! 畳んだヌンチャクを肩に構えて肘打ちへの盾にしながら、脇腹に拳を叩き込んだ!「イヤーッ!」「グワーッ!」

 ザンマは身体を折り曲げ、よろめいた。ニンジャスレイヤーは黒炎を発する拳を脇腹から引き抜いた。「ザンマ!」間合いを離しながら、拒絶するような横斬撃が襲い来る!(((苦し紛れ也!))) ニューロンの中でナラクが吠えた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは頭が大地につくほどの前傾姿勢で潜る!

「イヤーッ!」ザンマは斬撃の後に回し蹴りを仕込んでいた。ニンジャスレイヤーはそのカラテを事前警戒していた。レーザーポインターめいた赤黒い眼光が螺旋を描いた。彼は炎めいて跳ね、蹴り足に絡みついて、上下逆さになりながら、ザンマの顔面を蹴りで狙った!「イヤーッ!」「グワーッ!」

 ザンマは頭を傾けて肩で蹴りを受け、ニンジャスレイヤーの身体を掴もうとした。その手がすり抜けた。ニンジャスレイヤーは蹴った肩を支点に上へ身体を跳ね上げ、ザンマの頭上に高速回転ジャンプで逃れていたのだ。「スウウウ……フウウウ……!」落下しながらニンジャスレイヤーは呼吸を深める!

「ヌウウウーッ……!」ザンマ・ニンジャは見上げる瞳を激しく光らせた。後ろ手に構えられたザンマブリンガーが大地を円く抉り……「イヤーッ!」三日月じみた軌跡を描き、地対空斬撃を繰り出す「イイイイイイヤアアーッ!」ニンジャスレイヤーは落ちながら下へ激しいヌンチャク攻撃!

「イイイイイヤアアアアーッ!」ニンジャスレイヤーは落下しない! まるで重力が失せたかのように、彼はザンマの上に留まっていた。何故ならば……ナムサン……! ザンマの斬撃! ニンジャスレイヤーのヌンチャク連打!「「イイイヤアアアアーッ!」」振り上げるザンマの刃に3倍の打撃を返し拮抗!

 打ちつける雨の如きヌンチャク連打に対し、ザンマは幾度もザンマブリンガーを旋回させ続ける。淡々と……ブウン、ブウンと音を立てながら、彼は台風の中の風車がごとく、反時計回りの斬撃を繰り返すばかりなのだ。ニンジャスレイヤーの目が苦しげに明滅する。

「イイイイイ……イイイヤアアーッ!」乱打! 乱打! 乱打! 乱打! 乱打! 乱打! ザンマは回転! 回転! やがてニンジャスレイヤーは……「イヤーッ!」「グワーッ!」斜めに跳ね飛ばされた! 燃える血が放物線を描き、地面を焦がした。「ザンマ!」ザンマ・ニンジャはロケット噴射めいて落下地点へ突進!

「イヤーッ!」繰り出されるザンマブリンガー! ニンジャスレイヤーはかろうじてフリップジャンプで躱す! ザンマは二度旋回しながらそのまま前へ滑り、刃を突き刺してドリフトした。ニンジャスレイヤーは牽制のスリケンを投げ、三点で着地した。「スウーッ……! フウーッ……!」

 (((情け無し))) 鈍化した時間の中で、ナラク・ニンジャはマスラダを罵倒した。(((ギンカクの力がこれほど近い中、あの程度の打ち合いを制せぬとは! 儂に身体をよこせ。つまらぬザンマ如き容易く引き裂き、そののちこの地を草木二度と生えぬジゴクに変えてやるゆえに!)))(黙れ。もう一度やる)

 (((バカ! 左様な二度三度という考えがブザマなイクサを生むのだ!)))(いや、何度でもやる)マスラダは遮った。彼は呼吸を深めた。ギンカクの脈動を確かに感じる。ギンカクは今、彼の心臓に等しいのだ。その力を循環させる……(わかってきた)ザンマの間合いだ!「イヤーッ!」

 振り下ろされるザンマブリンガー! ニンジャスレイヤーは横に躱す! すぐ横の地面を打ち割った刃の背に、ニンジャスレイヤーはヌンチャクを打ち下ろす!「イヤーッ!」ザンマは刃を振り下ろしながら手放しており、回転踵落としを繰り出してきた!「イヤーッ!」

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