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S4第3話【マスター・オブ・パペッツ】#5

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「エ? 何?」「コクッテンノ?」ラジオ体操をしていたトイコとヨウナシがこれを目撃。体操を中断し、互いにしがみつき、動揺しながら見守った。コトブキはマークスリーを見た。マークスリーは顔を赤らめた。「お話とは、なんでしょうか」「……決闘に臨むのは、僕と決まりました」「なんですって?」

「殺し合いになるでしょう。その前に、僕は」マークスリーは苦しげに己の胸を掴んだ。「……貴女に、秘めたる気持ちを、伝えに来たのです」「「アー!」」トイコとヨウナシが嬉しそうに悲鳴を上げた。マークスリーはそちらを睨み、美しき敵意によって二人を黙らせた。二人は腰をぬかして座り込んだ。

「ここには邪魔が多すぎる。来てくれませんか」マークスリーは公園の人々を冷たく見渡した後、丘になった場所の石トリイを示した。コトブキは僅かな時間、逡巡した。相手はニンジャスレイヤーが警戒を促した「狩人」だ。今ここにニンジャスレイヤーは居ないが、緊急連絡手段を残していった。呼べばすぐにここへ来る。

 しかしコトブキは目の前のマークスリーに対し、まだ測りかねているところがあった。彼女には自我があり、ニンジャスレイヤーの言葉通りに動くオイランドロイドではないのだ。襲いくる狩人、そしてカリュドーンの儀式に対し、まだ彼女自身が見定めきれていない事が沢山あるのだった。

 人質事件の折、マークスリーは自ら助力を買って出、実際助けてくれた。本来であれば、彼がコトブキに手を貸す義理など何処にもなかったのだ。それをマークスリーは騎士道精神じみた理屈によって動いたのである。狩人とは、邪悪な神話ニンジャの代理戦士であると聞く。彼ら自身が意に沿わぬ行動を押しつけられている可能性も!

 もしその捻れを看破することができれば、カリュドーンの儀式そのものにダメージを与え、ニンジャスレイヤーを助けられるかもしれない。だが無論その一方で、マークスリーの助太刀行動それ自体が、ニンジャスレイヤーと繋がりのあるピザタキに取り入る為の欺瞞的工作である可能性も充分にあった。

 コンヴァージと凄まじき死闘を繰り広げ、爆発四散させるに至った発端の出来事について、ニンジャスレイヤー自身は多くを語らない。だがあのとき彼には尋常ではない負傷があった。伝えられた七人の狩人と、既にただならぬ何かがあったのだ。その経緯について思い巡らすだけで、彼女の電子的鼓動は乱れるのだ。

 マークスリーはコトブキに対して敵意を向けていない。少なくとも、その眼差し、仕草、全体のアトモスフィアは彼女に対する害意を伝えてこない。彼女の洞察力をすら超えて、よほど手練手管に長けた存在であれば、実際お手上げではある。だが彼女はリスクを冒そうと決意していた……!

(ニンジャスレイヤー=サンはいつもボロボロになっている。私にも覚悟がある。むしろ、この身体は修理すれば治るのだ!)コトブキが己にキアイを入れ直し終えた時、既に二人は石のトリイをくぐり、やや丘がちになった公園のはずれのポイントに到達していた。乾いた風がバンブー植え込みを揺らした。

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