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S3第8話【カレイドスコープ・オブ・ケオス】分割版 #5

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「ムギコ=サン」「うん」「オレは今から霊的な冒険の旅に出る事になると思う」「霊的な……」「オレは遺言とかねェが、とにかくゲニンの奴らにここに入ってこさせねえように気をつけてくれ。後……」『行くわよ』ナンシーがタキを引っ張る。タキはタイピングを開始した。速度だ。速度が必要だ。

 青く光るナンシーの指がキーボードを光らせる。その輝きに導かれるように、タキは加速した。淀みなく指が動く。アドレナリンが溢れ、ニューロンがスパークし、半目開きとなった彼の視界は0と1のノイズの奔流に還元されて、頭上に黄金の立方体が見え始めた。まるでエメツ吸引時の悪い夢だ。

 ゴウウ……電子風の中、彼はナンシーの後を追ってネオサイタマ電子ネットワークの空高く上昇し、格子の海を見下ろした。「スッゲエ。これが……オレか?」「貴方よ、タキ=サン」ナンシーが答えた。そのPINGのかえりは凄まじく速い。まずタキが視認したのは、この都市を囲む剣呑なノイズの霧の壁だ。

「あれが磁気嵐。10年前に失われるまで、ネオサイタマを外部から電子的・物理的に隔離していた。今は当時と似たような状況になっている……当時と言っても、私はそれ以後の解放感を楽しめていたわけではないけれど」「とにかくよォ、これのせいで外に通信が飛ばせねンだよ」「普通にはね」

「だから……オイ!?」タキは足元の状況を見咎めた。点滅する複数の存在が、ウシゴームのストリートを練り歩き、近づいてきている。「なんだ? 何かまずい……」「その感覚が大事よ。実際まずいから」街頭監視カメラのハック映像がタキの目の前に展開。ハンマーやチェーンソーを持ったゲニンが四名。

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