【ヴェルヴェット・ソニック】#4
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【ヴェルヴェット・ソニック】#4

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「ウーン、フン、フン、フゥーン……?」サロウはネオン看板「炭酸シャッキリング炭酸」の上で立ち膝姿勢、路地裏を見下ろし、こめかみを掻く。彼の髪はネオン看板よりも激しく色彩遷移。視線の先には、明るいオレンジ髪のオイランドロイドと共に移動するニンジャスレイヤー。「仲間って事……?」

『見りゃわかるでしょ、そんなの』右手に掴んだサイバーボーイの生首がカタカタと顎を鳴らし、オモイ・ニンジャの言葉を発声した。『あの獣が通信を試みた相手もいる。辿って焼いてやろうとしたけど、獣が邪魔でさァ』「なんで獣がパーティープレイしてんだよ。卑劣な奴だ」サロウは表情を曇らせる。

「しかも、あんなにカワイイな相手とさ……」サロウは左手の爪を噛んで呟き、我に返る。「違う、ダーリンとファックさせてもらった俺のほうが上だって思ってるよ。だから嫉妬しないで?」『スゴイ・バカ』オモイ・ニンジャは罵った。『ヤッちまえばいいよ。まとめてね。アンタは素敵でしょ?』

「わかってるさ。俺は、やれる奴」サロウは再びこめかみをノックし、道路を挟んだ廃ビルの中に縛り付けられたモータルの「中継機」に意識を飛ばし、さらに数区画離れた地点の屋上に縛られた「中継機」にジャンプさせた。そう、獣とオイランドロイドはサロウから離れてゆくのだ。サロウは微笑んだ。


◆◆◆


 マルノウチ・スゴイタカイビル屋上。シャチホコ・ガーゴイルの背に佇むアヴァリスは手を庇に見通していたが、「ンン? 離れていくぞ?」と呟いた。「獣の今までのやり方と違うな。獣と狩人は互いの位置がわかる筈だが?」彼はブラックティアーズを振り返った。「それともサロウめ、なにかやっているか?」

 ブラックティアーズは肩の上を浮遊するクリスタルを輝かせた。そしてアヴァリスに答えた。「互いの位置は必ず明らかにされる。それが呪術的な掟」「フン」メイヘムは鼻を鳴らした。「サロウはカラテを持たぬカスだ。回りくどいイカサマをやっても驚きはしない。"親" もその手の企みに長けている」

「つまり……」ウーガダルの表情はフードの奥で窺い知れない。低く響く声で確かめる。「……あの者は己の座標をたばかり、ニンジャスレイヤーを……誤った方向へ向かわせていると言う事か」「どうなんだ、ブラックティアーズ=サン。儀式としてそれが咎められる事は?」アヴァリスが尋ねる。

「仮定の議論に意味はない」ブラックティアーズは首を振った。「疑わしい状態だが、現時点では禁則破りの確証はない。狩りにおいて敢えて距離を置く戦術を、獣が選択しないとも限らぬ。状況を注視してゆく」

「状況を注視? 要するに、やりたい放題というわけか。面白い」アヴァリスはせせら笑った。「メイヘム=サンの言葉通り、サロウにはカラテがない。となれば、そのぐらいの工夫の余地を与えてやってもよかろうな」

「愚かな。お前は鷹揚に過ぎる」メイヘムは軽蔑的にアヴァリスを見た。「真の力を持たない狩人が不正で儀式を制したところで、私も我が主も認めはしないぞ」「くだらん勝ち負けに拘るのがお前らしい」アヴァリスは光る眼を細めた。「嫌いではないぞ。その必死さは」

「貴様……」メイヘムは敵意と共にアヴァリスに向き直った。アヴァリスは挑発的に見下ろした。「来るか? いいぞ。ジツを早く見せてみるといい……」「黙って見届けろ」ウーガダルが言った。

 アヴァリスとメイヘムは互いを見、それからウーガダルを見た。ブラックティアーズはアグラ姿勢のままであったが、ウーガダルへの同意を無言のうちに語る。ウーガダルは低く言った。「死力を尽くし、敵を上回った側が勝つ。それがイクサというものだ」

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