【デス・フロム・アバブ・UCA】#5
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ネザーキョウ、ホンノウジ・テンプル城! 天守閣! タイクーンの間!
アグラ姿勢にカラテを漲らせ、第四寵姫ミズマルに酌をさせる恐るべきアケチ・ニンジャの影は水晶球の放つ光によって壁に巨大なブッダデーモンめいて投じられていた!「サケだ!」居丈高に差し出される酒盃はオダ・ニンジャの髑髏!
ミズマルは長いまつ毛を伏せ、いかなる感情もあらわにしない。だがアケチ・ニンジャは彼女の畏怖や恐怖や情欲や悲哀や自暴自棄の感情を敏感に感じ取ることができた。ミズマルの人形めいて動かぬ表情の奥、わずかに揺らめく感情に、彼はいじらしさを感じ、それを看破できる己に酔い、愛するのだ。
注がれるサケは七色に輝く。少しでも酌の角度を誤れば風味が損なわれる美酒であった。「よいぞ」アケチは四本の腕の一つでミズマルの髪を撫でながら、オダ・ニンジャの髑髏の盃を口に運んだ。六肢に滋養と酔いが染み渡る。腕の二本はオダ・ニンジャのものだ。「グヌハハハ……喜んでおるか? オダよ!」
水晶球にはサケの肴が映し出されていた。惰弱なる文明都市バンクーバー!ノブスマ・ストームボーンのセンシ達が峻厳なるアルプスを越え、今まさにニンジャの暴威を見せつけんとす。先陣をきるのはアケチ自らカイデンさせた男、マイトイカラスだ!「見せてみよ! 真のカラテを! グヌハハハハハハハ!」
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