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S3第4話【ヨロシサン・エクスプレス】#7

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 ダガガッ! ダガガッ! ダガガッ! ダガガダガガッ! 砂塵を巻き上げ轟走するカラテ馬四頭立て戦車にニンジャカラテ騎兵が並走し、砂塵は倍の倍になる!「よいか! キャノン砲に注意せよ。惰弱文明にふさわしい屁っぴり鉄砲に過ぎぬが、当たればただでは済まぬ。貴様ら精鋭の命は値千金。命大事にせよ!」

「ハーッ!」「アリガタキシアワセ!」クワドリガの精鋭ニンジャ騎兵達は鞍の上で跪いて敬礼したのち、手綱を馬に打ち付けて加速させる。シテンノに仕える彼らはカラテの都ホンノウジで鍛えられた精兵であり、辺境地域でメイプル農民に威張り散らすばかりのサンシタとは練度が違う事を強調しておく!

「ヤア!」「ヤアーッ!」速度を上げて列車の左右に前進してゆく彼らを眺め、満足げに頷くクワドリガ。彼らとは入れ違いに、奇襲攻撃をかけた第一陣の者が速度を落とし、クワドリガの戦車に並んだ。赤いゲニンだ。即ち、ヒケシという兵種である。

 コトダマ適性が高いゲニンはヒケシの位を与えられる。禁止されたインターネットをダウジングで検知したり、お尋ね者を探し出したり、水晶球の超自然的通信網の構築に貢献する階級であった。「申し上げます! デスリモーラ=サンのニンジャソウル反応無し。死亡されたものと判断致します!」「何!」

 クワドリガは腕組み姿勢のまま衝撃を受けた。そして、メンポの奥ではらはらと涙を流した。「デスリモーラ……デスリモーラ=サンよ。貴様ほどの野伏が、こうも容易く討ち死にするとは、まこと戦場には魔が潜むもの」クワドリガ、武人であった。「だがそれは即ち、茶器回収未達成を意味する……!」

 ヒケシは目を伏せ、じっと指示を待つ。やがてクワドリガはカッと目を見開いた。「惰弱列車乗員鏖殺の方針を修正! 茶器の回収を最優先とす!」「ハーッ!」「貴様は探知の精度を研ぎ澄ませよ! ニッタ・カタツキほどのアーティファクトともなれば、必ずその所在は知れる筈! ガンバレ!」「ハーッ!」

 ヒケシは馬に拍車を入れ、法螺貝を吹きながら騎兵を追いかけていった。ブオ、ブオウー! これは先程のクワドリガの指示をモールスじみたネザーキョウ信号に置き換えたものだ。「殿……今しばらくのご辛抱でございます。必ずやニッタを殿のもとへ持参致しますぞ!」KBAM! そこへヨロシキャノン発射!

 クワドリガは目を見開き、背負っていた得物のひとつ、投げ槍を投じる!「イヤーッ!」KA-BOOOM! 槍はキャノン砲弾を貫き、命中前に爆散せしめた。爆風に突入し、空中の投げ槍を回収、何事もなく再びクワドリガは腕を組み直立する。無傷!「惰弱! 惰弱! 惰弱! 惰弱! 惰弱!」

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