【スクールガール・アサシン・サイバー・マッドネス】#6
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(アバーッ!)ヤクザ事務所のショウジ戸を突き破り、下っ端ヤクザがヤクザ机に衝突して跳ね返った。机に足を乗せたまま、ギリは笑い、突入してきたリンホを見た。(昨日の今日で、嬉しいぜ。いい条件だったろ)(うるせえ。時間がねえんだよ)(ハハハハ、藪から棒か?)(アタシに手術、カマせ!)
(おいおい慌てンなよ)(慌ててンだよテメー)リンホはギリのヤクザネクタイを掴んで引き寄せる。ギリは笑ったままだ。(何をしろッて?)(あのカス闇医者使って、アップデートかけろ)(ハハッハハハ)ギリは声をあげた。(取引するッてワケ……)KRAASH! リンホはギリに頭突きを食らわせた。
001……0101……記憶断片がグリッチ・ノイズを伴い、リンホの視界に紛れる。苦痛と怒りが乱れ飛び、頭上には黄金立方体が輝く。冷たい黄金の光の下、『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』『イヤーッ!』二つの影は凄まじいカラテ応酬を繰り広げている。離人症めいて、彼女は全てを見下ろす。
010010仇001001サイバネアームの根が彼女の中を巡り、仇のロゴを垣間見せる。リンホはその意味を知らない。そして彼女は、電子コトダマ空間という概念を、オヒガンという世界を知らない。ニンジャという新たな現実を、これまで知らずに居たのと同じに。力が流れ込み、暴れ、爆発する。意志が燃える。
仇不正なアクセスにより権限侵犯が為されています。このIPアドレスはただちに管理者によって仇『ウルッセーヨ!』リンホはニューロンのざわめきを叫びで振り払った。怒り! 激しい怒りが右腕を軋ませる。関節が捻じれ、再び機能を取り戻す。リンホは手首の縄を引きちぎり、落下した。
冷たい水に足首が浸かった。井戸底に散乱する骨をバイオズワイガニ諸共に蹴散らし、リンホは近づいた。父の亡骸に。その傍らに突き立つ、父のカタナに。「待ってろよモニコ」リンホはカタナを掴んだ。「ナメンナヨ……!」
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