9:マスターセクション
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9:マスターセクション

◇総合インデックス

このセクションは、ある程度ルールに慣れたニンジャマスター向けに書かれています。まずは「スターター・キャンペイグン」を一通りプレイし、キャラ作成ルールや判定ルールなどの基礎に慣れてからここを読むことをおすすめします。ここに書かれているルールを追加することで、戦闘以外にも様々なロールプレイの楽しみを提供できるようになり、PCやキャンペイグンのストーリーに奥行きが生まれてきます。



序文:初版と2版の大きな違いと謝辞

多くのRPGのルールは、遊びやすさやゲームバランスを追求するだけでなく、その根底にある世界観を的確な解像度で再現(シミュレート)するために、細心の注意を払ってチューンナップされている。そしてニンジャスレイヤーRPGは、初版も2版もかわらず「サイバーパンク世界で」「ニンジャとなって」「アクションする」ことを目的としてデザインされている。しかし初版と2版では、再現しようとしている世界観や背景に明確な違いがあることを、まずニンジャマスターの君に知っておいてほしい。ルールと世界観は結びついており、相互に影響を及ぼし合っているからだ。

初版ルールセットでは、ニンジャスレイヤー原作小説「第1部」の時系列とアトモスフィアと解像度を再現することを、特に重視して作っていた。つまりこれは「ソウカイヤ所属のサンシタニンジャとして暴力の世界に生き、ニンジャスレイヤーと戦って爆発四散する」ことを、とりわけ再現しやすくしていたといえる。もちろん、このようなアトモスフィアは2版でもそのまま(あるいはそれ以上に強烈に)再現可能だ。一方で、初版には初版だけの良さが残り続ける。僕たちが時々、小説の第1部を読み返したくなるようにね。だから初版のルールを全部消して2版に置き換えてしまったり、絶版にしたりはせず、初版もずっとネット上に残しておく予定だ。

2版ルールセットでは、こうした第1部再現要素も可能としたまま、より広い世界観や物語のアトモスフィアを再現できるものを、最初から目指している。コアルールとしては、驚くほどのシンプルさとミニマルさを保ったままでだ。その世界観はどうなるのか? 君がもし原作を知っているなら、具体的に言うと「トリロジー」と呼ばれる原作小説の「第1部」〜「第3部」、その先にある「スズメバチの黄色」などの時系列、さらには現行の最新本編連載である「AoM」の雰囲気やエッセンスまでもある程度ミックスし、より幅広いアトモスフィアや、モダンな世界観を再現可能なものにしようとしている。これによりAoS次元は、よりオープンで独立性の高い、様々な独自の物語や歴史再現やIF展開を楽しめるものとなるだろう。

なぜそうしようと思ったのか? 一つ目の理由は単純に、ゲーム的な再構築と拡張のためだ。初版は、当初の予想以上のプラグインが生まれ、様々な不整合が生まれ始めていたから、それをもとに適切なセットを選びなおし、コアルールを構築し直そうと思ったからだ(TCGとかも頻繁にやっているね)。二つ目の理由として、より多くのニンジャ、より多くの生き方を再現できるようにし、より多彩なキャンペイグンをプレイできるようにして、より多くの人に楽しんでもらいたいと思ったからだ。

そして三つ目の理由として、トリロジーからだけでなく、AoMの現行連載からニンジャスレイヤーに興味を持った人でも、違和感なくこのゲームを楽しんでもらえるようにしたいと考えたことだ(なにしろ、AoMこそが今最も敷居の低いニンジャスレイヤーへのアクセス方法だからね!)。「トリロジー」と「AoM」、どちらか片方ではなく、「どちらでも」を目指している。それが「AoS」(エイジ・オブ・ソウカイヤ)だ。

ゲームルールの執筆は実際のところ、自分たちの作品を客観的にシミュレートしたり俯瞰したりする上で、とても役に立っている。僕自身が言うのだから間違いないが、「ニンジャスレイヤーTRPG」の進化は、原作の進行とも密接な繋がりを持っている。興味のある人は、初版と2版で何がどう変わっているのかを、調べてみてほしい。それはつまりトリロジーとAoMの世界観がミックスされたものであり、原作のアトモスフィアもまた、そのように変わっているということだ。

例えば、初版で生み出されるニンジャたちは、基本的には(たぶん邪悪な)ソウカイヤクザだった。強くなるために貪欲に万札とDKKを集め、ニンジャスレイヤーと戦い、散っていった。もちろんそれ以外の生き方もできたが、どちらかというとそれは、熟練したプレイグループやマスター向けのオプションで、基本ルールブック段階でのサポートはほとんどなかった。初版にも初期作成時にテッポダマ系スキルを持たせるオプションルールがあったが、2版の初期作成ルールで得られるスキルとは、大きく趣が異なっているのがわかるだろう。初版の初期スキルはどれも、ソウカイヤクザや邪悪なサンシタニンジャのために作られている。だが2版の初期スキルはそうではない。彼らはより多彩で、ソウカイヤに留まることすらも、やがては選択肢の一つに過ぎなくなる。そうした未来が残されている。

成長ルールなどの変化にもそれは顕著だ。初版の成長速度は2版よりもはるかに遅く、様々な困難や事故がつきまとった。そうしたエッセンスはもちろん残っているが、テックに関する多くのマイナス要素は、2版では削除されている。何故なら、トリロジーからAoM前くらいまでの世界観をミックスするということは、テックレベルについてもミックスされるということだからだ。サイバネ技術やバイオ技術やネットワーク技術は、初版時代よりも普遍的で高度なものへと発展を遂げており、それもまた世界観とアトモスフィアに大きな影響を及ぼしていると言えるだろう。テックの影響は偉大なのだ。

もちろん暗黒メガコーポや邪悪なニンジャ組織による非道サイバネ改造やテックの濫用はいつの時代も存在するし、君も一歩道を誤れば、路地裏の非合法戦闘サイバネ屋に入り浸って自我を希薄化させ、ただの殺戮マシーンへと成り果てるだろう。だが2版において、そうした自己破滅的でダークでノワールな世界に囚われることは、全てのニンジャに否応無く訪れる運命ではなく、あくまでプレイヤーが取る選択肢のひとつなのだ。

これはゲームが「優しくなった」とか「厳しくなった」とかそういうものではないし「初版のようなゲームはもうやらせないぞ」という意味では全くないので、どうか誤解しないでほしい。これは単に「デフォルトの状態で、より広い世界を再現できるようにした」というだけの話だ。そこで何をやるかは、これまで通り、君のプレイグループ次第だ。サツバツでノワールな世界を楽しみたいならば、オプションルールを使えば、それこそ初版より酷いものを楽しめる。2版では何かができなくなったわけではなく、よりネオサイタマの裾野が広がったのだ。この遊び場で何をするか選ぶのは、いつも君たち自身なのだ。

もちろん「何でもできる」という野放図な自由や広さは、逆に初めての人にとっては「何もできない」ことに繋がりかねないことも、よくわかっている。そこを心配している人もいるだろうね。初版の持ち味が失われるのではないかということだ。その点は何も心配いらないし、僕たちは自分たちの作品の強みがなんなのかを知っている。何か新しい遊びを始める時、最初はある程度強引に、世界観に引っ張り込んだり、それに身を任せてプレイできるほうがいいこともある。多少乱暴でも、その方がとっつきやすいし、新しい人をゲームにも誘いやすいだろう。そのような、多くの人が「ニンジャスレイヤーってこういうものでしょう?」と思う要素を、ボードゲーム的にミニマルに切り出したのがスターターキットだ。

初版をプレイしていた人ならばわかると思うが、このルールブックでは「キャラクターメイキング」「コアルール」「サンプルキャンペイグン(「ヤクザの事務所」など)」がスターターキットにあたる(ある程度ルールがこなれてエラッタが安定してきたら、また無料PDFとしても公開されるだろう)。そしてこれも、あくまで君が選択できる「ツール」の一つに過ぎない。君がゲーム慣れしたニンジャマスターならば、これからゲームに誘う初めてのプレイヤーたちのために、独自の入門ゲームや、ソウカイヤ以外での組織からのスターターキットを自作してしまえばいい。このセクションにはそのためのアドバイスが多数記されているし、いずれそのようなものも公式に公開されるかもしれない。

ではあらためて、2版の目指しているアトモスフィアについてまとめてみよう。2版において、ニンジャとなることは、裏社会に生きて暴力の連鎖に閉じ込められることを、必ずしも意味しない。君は選択と行動次第で、どのようなニンジャにも成長できる。低解像度の抑圧感(そしてそれゆえの救い)にあふれたトリロジーの「第1部」世界観だけでなく、AoM世界にも通ずるような希望や未来が、AoS2版のプレイヤーニンジャたちには最初から備わっているのだ。

もちろんAoSは、完全なAoMの世界ではないから、いきなり組織を飛び出せば困難や命の危機が待っているし、ソウカイヤは原作トリロジーよりも強大な勢力となっている。まさにエイジ・オブ・ソウカイヤだ。でもその支配に抗うために、@YCNANという謎のハッカーが君を手助けしてくれるよ。他にも色々あるが、それはぜひルールから読み取ってみてほしい。ルールを読むことで、僕たちが原作小説で描いているものを、また別な側面から、より俯瞰的に理解できるようになるから、そうした純粋な読み物としての楽しみも僕としては是非おすすめしたい。僕は小説や映画だけでなく、とても多くのRPG書籍からインスパイアを受けてきたからだ。それらの偉大なセンパイたちへの感謝を、まずここに書いておきたい。

次に、2版でこうした拡張ができるようになったのは、初版を愛し熱心にプレイしてくれた、親愛なるニンジャヘッズの皆さんのおかげだ。この場を借りて、あらためてお礼を言いたい。そもそも初版を大勢の人がプレイしたり、応援してくれなければ、3ニンジャ組織が三つ巴で戦うというAoSキャンペイグン設定の根幹は生まれなかっただろう(おぼろげには考えていたが、基本ルールブックをデザインした段階では、僕の頭にまだなかったのは確かだ)。

そして、それだけではないね。あまり知られていないけれど、原作において誰にも顧みられず苦しい戦いを続け、ニンジャスレイヤー世界を破滅から救い、AoMの時代を切り開いてくれたニンジャがいる。彼が戦うことを諦めず、三大ニンジャ組織に対して勝利を収めていなければ、AoM世界の様々な希望は生まれ得なかっただろう。だから僕は、フジキド・ケンジにも大きな感謝とスシを送りたい。ありがとう。

 メインデザイナー  フィリップ・N・モーゼズより



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◆探索シーケンスを彩る:交渉、知識、調査

ニンジャマスターは、シナリオやキャンペイグンに『交渉判定』『知識判定』『調査判定』を導入することで、戦闘以外でもキャラクターの個性を引き立てることができる。慣れないうちはこれらの要素を無視し、キャラクターシートの味付け程度にしても構わない。

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