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これは「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のためのプレイガイド記事です。ニュービーのボブは、放課後にニンジャスレイヤーTRPGを遊ぼうとしています。ボブはTRPGの経験がないし、ニンジャスレイヤーのこともあまり知りません。君もボブと一緒に、ゲームルールや背景に少しずつ慣れていこう！

今回の重点解説セクション：
　🔰１：キャラ作成ルール
　　９−３：組織内の立ち位置や性格
　　１０−４：D66生い立ち表と特殊な生い立ちの例

登場人物紹介

マスターのジョン：ボブの学校にいたニンジャヘッズ。初版時代からケビンとエミリーに頼まれて「ニンジャスレイヤーTRPG」のマスター役をやっている。ジョンはボブが新しく入部してくれたことを嬉しく思っているよ。またジョンは４人の中で一番バランスのよい知識と奥ゆかしさを持っている。

ボブ：最近「ニンジャスレイヤーTRPG」の存在を知ってハマったばかりのニュービーニンジャヘッズ。TRPG経験ゼロ。原作の知識もまだ少ないが、ニンジャが大好きな気持ちでストレートなゲームにのぞむぞ。ボブは邪悪なニンジャ行為にも興味があるけど、プレイヤー本人の善性が邪魔をしてしまい、なかなかDKKがたまらないんだ。最近はヤモトやニンジャスレイヤーと敵対するのではなく、できれば仲良くなりたいと思っている。ボブ、いつまでも優しい気持ちを忘れないでね！

ケビン：ボブの学校にいたニンジャヘッズ。ケビンも「ニンジャスレイヤーTRPG」が大好きで、特にキャラビルド関連とデータに詳しい。背景やロールプレイはあまり気にしない。ケビンはいつもノートパソコンを持ち歩いていて、何種類ものキャラビルドをシミュレートしていたり、ジツとスキルのコンボを考えたり、ダイスの出目の確率計算に明け暮れているんだ。時折ルール背景を意図的に無視した無茶なバグ技を考案し、マスターにそのつどダメ出しされているぞ。

エミリー：ボブの学校にいたニンジャヘッズ。エミリーは文学的な読書家で、ニンジャスレイヤーの既存エピソードを全て読破しており、サイバーパンク全般も愛好している。TRPGもある程度詳しいが、データや強さよりも、キャラの背景を考えたり、みんなで楽しく即興のストーリーを考えたりすることの方が好きだ。エミリーは人類に対して失望しており、自分のニンジャも早くサイバネティクスで全身を改造して人間性を捨て去り、戦闘機械化したいと考えている。ジツ無しの戦闘特化キャラを作ることが多い。

ボブの学校：どこにでもある一般的な学校だ。放課後の部活だから高校と思われがちだけど、もしかするとボブがそう思い込んでいるだけでここは大学や会社なのかもしれないし、オンラインのVR集会場なのかもしれない。「ニンジャスレイヤーTRPG」はニンジャやサイバーパンクが好きな気持ちさえあれば、年齢や住んでいる場所を問わず、どこでも、誰とでも、一緒にゲームを楽しむことができるんだ！

これまでのあらすじ

初ゲームに参加するため、ニンジャのPC（プレイヤーキャラクター）を作成しようとしたボブは、2037年におけるニンジャの真実を知って驚いた。

ボブ：ある日、突然、ニンジャになるだって……？　ワッツ！？　シライ・リュウとかミヤギ・リュウとか、そういう道場に入門して、過酷なカラテトレーニングを積んでからニンジャになるんじゃないの！？

ニンジャマスターのジョン（以下NM）：この世界では、一般市民がある日突然ニンジャになってしまうものなんだ。これはニンジャソウル憑依現象とか、アンセレクテッド・レザレクション現象と呼ばれているけど、君のキャラクターはそんな細かい正式名称とか原理は知らない。突然ニンジャになった。それだけだ。過去の時代に生きたニンジャのソウルが、長い時を超えて、一般市民である君のキャラに憑依したんだ。

ボブ：なんてことだ……。普通のニンジャは、もう絶滅しちゃったの？

NM：修行を積んでニンジャになった者は「リアルニンジャ」と呼ばれ、もうこの時代にはほとんど生まれていない。伝説的な存在なんだ。ニンジャたちですら、リアルニンジャなんてもう生き残っていないか、絶滅したものと考えている。だからリアルニンジャのことは忘れていい。君のニンジャは、ニンジャソウル憑依者だ。この世界で一般的に「ニンジャ」といえば「ニンジャソウル憑依者」のことなんだ。

ボブ：オーケイ、わかったよ。ところで「ニンジャソウルが憑依する」って言うけど、それって人格とか記憶も上書きされちゃうの？　つまりその、僕の自我が、過去の時代のニンジャのものに……？

NM：いや、心配はいらない。少しは影響を受けるけれど、自我が完全に上書きされたり、乗っ取られてしまうことはないよ。よほど高位で特殊なニンジャソウルでない限り、悪霊みたいな人格や記憶は持っていないんだ。

ボブ、君は「ニンジャスレイヤー」のコミックやアニメをちょっと知ってるって言ってたけど、「ナラク・ニンジャ」や「シ・ニンジャ」のことは知っているかな？　あんな風に語りかけてくるニンジャソウルなんて、まず存在しないんだ。そういうニンジャをプレイすることもできるけれど、最初は難しいからシンプルにしよう。

多くのニンジャソウルは、ある日突然降ってきて、君に超人的な身体能力や特殊能力だけを授けてくれる。

ボブ：なるほどね。つまり僕がある朝起きたら、理由もわからず突然ニンジャになっていた……そんな感じでいいんだね？

NM：それでいい。瀕死の状況でニンジャソウルが憑依したり、瀕死になって初めて力が覚醒するケースも多いけれどね。人間として「これはもう死んだな」っていう時に、劇的にニンジャの力が目覚めることが多いんだ。

ボブ：そうか、ニンジャソウルが憑依したけれど、ものすごいピンチになるまでその力が眠っているってこともあるわけだね。

NM：その通り。ここで大事なのは、ニンジャになって超人的な力を手に入れたけど、君のキャラの精神は、まだほとんど一般市民だった頃のまま変わっていないっていうことだ。一瞬でものすごい力を得たのに対して、精神面は追いついていない……だから、君にもニンジャの心の動きを想像しやすいし、等身大のロールプレイもやりやすいといえる。君のニンジャがどう振る舞うかは、君の自由なんだ。

ボブ：よし、イメージが掴めたよ！　どうやれば実際にキャラを作れるの？

ランダム方式でキャラを作成する

NM：今回は時間が限られているので、ランダム方式で君のニンジャの能力値を決めよう。名前や外見などは、能力などを見てから最後に決めればいい。ボブ、まずは何も考えずにD6を振ってみてくれ。それが君のニンジャの【カラテ】値だ。そのまま【体力】の値にもなる。

ボブ：D6ってのは、ダイスを1個振るってことだよね。出目は……５だ！　ヤッタ！　これって、かなり強いんじゃない！？

NM：そうだね。君のニンジャは、鍛え上げられたスモトリよりも力が強く、打たれ強い。続けて、またダイスを1個振ろう。これが【ニューロン】値だ。そのまま【精神力】の値にもなる。

ボブ：あっ……１だ。最低値……。【ニューロン】が低いとどうなるの？　１ってかなり低いのでは？　読み書きもできない？

NM：心配はいらない。その辺を歩いているサラリマンやヨタモノは、能力値がどれも１くらいだと思えばいい。だから能力値１は、一般市民並みだ。精神攻撃を受けた時やハッキングなどで不利にはなるけれど、特別に何か問題があるわけではないよ。君のニンジャは【カラテ】が強いんだから、【ニューロン】が弱いのも、いい特徴づけさ。ではまたダイスを1個振ろう。それが【ワザマエ】値だ。

ボブ：どうか低い目が出ませんように……！　【ワザマエ】は３……よし、まあニンジャとしては普通ってところかな？

NM：そうだね。【ワザマエ】はスリケンを投げたり、銃器で射撃したり、素早く移動したい時などに使うから、君のニンジャはそうした行動をそつなくこなせるだろう。最後に【ジツ】値を決めよう。D6を振って、そこから3を引いてくれ。これが１以上……つまりD6の出目が4以上なら、君のニンジャは何らかの【ジツ】を持ってゲームスタートする。

ボブ：ジツ！　ニンジャのマジックパワーだね。もし１未満だったらどうなるの？　永遠に【ジツ】を持てないサンシタってこと？

NM：キャラ作成時に【ジツ】を持てなかったら、代わりに初期スキルという能力を持てるよ。それにゲームが進むうちに、ニンジャを成長させて後から【ジツ】に目覚めることもできるから、特に心配はいらない。

ボブ：よし、【ジツ】値を決めるぞ！　出目は……４！　イェー！　４−３で【ジツ】値は１だから、最初から何か【ジツ】を持ってるってことだ！　

出目：獲得するジツ

　1：カトン・ジツ：広範囲火力系
　2：ヘンゲヨーカイ・ジツ：自己強化系
　3：カラテミサイル：遠隔攻撃系
　4：ムテキ・アティチュード：防御系
　5：カナシバリ・ジツ：精神攻撃/幻惑/毒系
　6：プレイヤーは1〜5の中から好きなジツを選んでよい

ボブ：さらにD6を振って……出目は1だから、『カトン・ジツ』だ！

NM：その通り。君のニンジャは手をかざしたり振ったりするだけで爆発的な火炎を生み出し、広範囲の敵を焼き殺せるんだ。一般人だったら即死するか火傷で意識不明になるレベルの、強力な火炎だね。【ジツ】値は１だから、正式な表記法だと『☆カトン・ジツLV1』ということになる。あとは初期アイテムを決めよう。またD6を振ってくれ。

出目：名称：効果の概要

１：家族の写真：【精神力】+1、その他使い切り効果あり
２：オーガニック・スシ：【体力】3回復（使い捨て）
３：トロ粉末：【精神力】2回復（使い捨て）
４：ウイルス入りフロッピー：ハッキング判定でダイス+3個（使い捨て）
５：ZBRアドレナリン注射器：気絶状態にある仲間の蘇生（使い捨て）
６：カタナ：攻撃時に戦闘スタイルなどを選択できる（後述）

ボブ：初期アイテムの出目は６だ。

NM：君のニンジャは最初からカタナを持っている。同じくらいのサイズの他の武器に読み替えてもいい。ルールは同じだからね。

ボブ：いや、絶対カタナのままでいいよ！　だって最高にクールじゃない？　火炎の能力にカタナ……これはもう、主人公なのでは？

NM：最後に、初期サイバネを持つこともできる。戦闘用サイバネティクスのことは前回説明したよね。肉体の一部を強力な戦闘機械に置き換えるんだ。サイバネが欲しければ、このリストの中から選んでもいいよ。

サイバネ名称：効果の概要

テッコLV1：【カラテ】判定でダイス+1個、回避ダイス+1個
ヒキャクLV1：【脚力】+1、回避ダイス+1個
サイバネアイLV1：【ワザマエ】判定でダイス+2個
生体LAN端子LV1：【ニューロン】判定でダイス+2個、イニシアチブ+1
クロームハートLV1：【体力】+1、【精神力】+1
戦闘用バイオサイバネLV1*：近接攻撃時のダメージ+1、交渉難易度+1

　*バイオサイバネを選ぶ場合、初期装備アイテムと初期スキルを全て捨てること。

ボブ：うーん、片腕をサイバネ化したいな。片腕が機械化されているなんて、超クールじゃない？　きっと危険な宿命を背負ったサイボーグニンジャなんだ。ええと、腕のサイバネは……これかな？

１：テッコLV1：電子戦争時代に普及した戦闘用サイバネで、片腕の肘から先を戦闘用ガントレットアームに置換するものが一般的。各種腕部サイバネ増設の基礎にもなる。

【カラテ】のみを使用する全ての判定（『攻撃判定』『脱出判定』など）において、振れるダイスが+1個される。加えて、各ターン開始時に得られる回避ダイスが1個増える。【体力】は増加しない。

NM：そう、腕部のサイバネはこの「テッコLV1」だね。戦闘用サイバネはどれも強いけれど高価だ。初期サイバネを選ぶ場合、君は【万札】-12のローンを背負うことになる。それでもいいのかい？　最初のシナリオでローン返済ができないと、君のニンジャには死の運命が待つことになるけれど。

ボブ：ローン返済ってどのくらい難しいの？

NM：よほど致命的な失敗をしない限り、最初のシナリオで【万札】12を稼ぐのは難しいことじゃないよ。

ボブ：よし、じゃあ初期サイバネも選択するぞ！

NM：おめでとう、ボブ。これで君のニンジャが完成した。あとは名前を決めるだけだ。

ボブ：火炎使いのニンジャだから、ファイアイーターにしよう。そして燃えるような赤い髪を持っている！

NM：いいね。かなりニンジャアトモスフィアが高まってきたぞ。では、ここまでに決まった内容をメモしてみよう。これをキャラクターシートという。本式のものは別にあるけど、最初のゲームだから簡易版で十分だ。

◆ファイアイーター　（種別：ニンジャ）　　DKK：０  名声：1（ソウカイヤ所属）
カラテ　　　　５　　体力　　　５
ニューロン　　１　　精神力　　１
ワザマエ　　　３　　脚力　　　３/N
ジツ　　　　　１　　万札　　　-12（ローン）

◇装備や特記事項
　・テッコLV1
　・カタナ
　・カトン・ジツLV1
　・燃えるような赤い髪

NM：作成間もないキャラの【DKK】は0、【名声】は1になる。【脚力】は【カラテ】か【ワザマエ】のどちらか高い方を２で割った数、端数がでれば切り上げだ。ファイアイーターの【カラテ】は5なので、切り上げて【脚力】は3となる。【脚力】の横には「/N」とメモしておいてくれ。ゲームの中で特殊な移動をする時にこの文字が役に立つ。あと、サイバネを初期購入したのでローンを背負い、【万札】は-12となる。

ボブ：よし、これで出来上がりかな？　思ってたより簡単だね！

NM：最後に、ゲーム中によく参照する８種類の判定ダイス数早見表、そして即応ダイスと緊急回避ダイスの数を記入しておこう。詳細はコアルール以降に解説されるので、今は使い方がわからなくても、ただ数を書いておくだけでOKだ。

攻撃/射撃/機先/電脳　　?/?/?/?
回避/精密/側転/発動　　?/?/?/?
即応ダイス：?  緊急回避ダイス：?

ボブ：これを埋めればいいわけか。数値はどうやって求めればいいの？　計算機が必要？

NM：いや、難しい計算は必要ない。それぞれの判定には、対応している能力が決まっている。下の表を見て、対応している能力値の値を書いておくだけでいい。例えばボブ、君のファイアイーターの【カラテ】は５だから、早見表の「攻撃」の値は５になるんだけど、「テッコLV1」の効果で振れるダイス数が＋１されているから、ここの値は最終的に６になる。こういった修正値を毎回計算しなくてもいいように、そして他のプレイヤーやマスターからも一目でわかるように、早見表を作るわけだ。​

◆判定ダイス早見表の数値の求め方
略称：判定名などの正式詳細：紐づいている能力値
攻撃：攻撃判定（近接攻撃判定）ダイス数：カラテ
射撃：射撃判定ダイス数：ワザマエ
機先：イニシアチブ値：ニューロン
電脳：ハッキング判定ダイス数：ニューロン
回避：回避判定用の基本ダイス数：最も高い能力値
精密：精密攻撃系スタイル使用時の攻撃判定ダイス数：ワザマエ
側転：連続側転判定ダイス数：ワザマエ
発動：ジツ発動判定ダイス数：ジツ＋ニューロン

即応ダイスと緊急回避ダイス
即応ダイスは5、緊急回避ダイスは0だ。初期アイテムとして「カタナ」「ウイルス入りフロッピー」「戦闘用バイオサイバネ」を選んでいた場合のみ、即応ダイスは4となる（これらの中から2個選んでいた場合は3になる）。

◆ファイアイーター　（種別：ニンジャ）　　DKK：０  名声：1（ソウカイヤ所属）
カラテ　　　　５　　体力　　　５
ニューロン　　１　　精神力　　１
ワザマエ　　　３　　脚力　　　３/N
ジツ　　　　　１　　万札　　　-12（ローン）

攻撃/射撃/機先/電脳　　6/3/1/1
回避/精密/側転/発動　　6/3/3/2
即応ダイス：4  緊急回避ダイス：０

◇装備や特記事項
　・テッコLV1
　・カタナ
　・カトン・ジツLV1
　・燃えるような赤い髪

ボブ：えっと、これでいいかな。対応している能力値をそのまま書けばいいんだよね。攻撃と回避はもともと５だけど、「テッコLV1」で＋１されているから、６にしたよ。あとカタナを持っているんで、即応ダイスは４。

NM：今ざっとチェックしたけれど、問題ないね。おつかれさま、ボブ。これで、最初のチュートリアルシナリオに参加する準備は完璧に整った。ここまで10分もかからなかったかな？　エミリーとケビンが来るまでまだ少し時間があるから、チャでも飲んで休んでおいてくれ。

ボブ：エッ？　これで全部なの？　見た目とか家族構成とか性別とか口調とか性格とかホクロの場所とかは……？

NM：自由だ。決まっているのは、君のニンジャはソウカイ・シンジケートと呼ばれるニンジャ組織にスカウトされたばかり、という事だけだよ。どうだろう？　キャラのことを想像できるかな？

ボブ：ええと、ソウカイ・シンジケートって邪悪な奴らだよね。確かヤクザだっけ。うーん、どうしようかな……。僕の危険さの中にも優しさを併せ持つクールなニンジャが、何でそんな組織にいるんだろう？　本当はアニメで見たヤモト・コキみたいに伝説のアーチ級ニンジャソウル憑依者になって、いろいろなニンジャ組織にマークされた末に真のニンジャパワーに目覚めて恋人を失い、ネオサイタマの半分を破壊する……みたいなのを目指していたんだけど、最初はちょっと予想していたより弱いみたいだし……。どう動かしたらいいか、見当がつかないよ。

NM：そんなに難しく考える必要はないよ、ボブ。カタナを持っていて、赤い髪でカトンを使うニンジャという時点でそうとうキャラが立ってるから、それだけでも十分だ。チュートリアルの中で少しずつキャラの個性を作っていってもいいし、小説に出てきてすぐやられるサンシタニンジャみたいに、ほとんど個性がないのも気楽でいい……ケビンはそういうシンプルなキャラを作るのが好きだね。

ボブ：ちなみに、エミリーはどんな感じ？

NM：エミリーは物語やエモが大好きだから、最初から一般市民だった頃の生い立ちや性格や口癖まで細かく決めてゲームに臨むことが多いね。エミリーの場合は、瀕死の状態からニンジャソウルが憑依するまでの出来事を再現するミニセッションからゲームを始めた事すらあるんだ。ほとんど会話だけで進んだけどね。どっちのスタイルが向いていそうか、君次第だよ、ボブ。やりやすそうな方を選んでくれ。

ボブ：うーん、僕はどちらかというと、エミリーのスタイルのほうが近いかな？　僕はエミリーと気が合うんじゃないかと前から思ってたし。そこまで細かくなくてもいいんだけど、もう少しだけキャラの手がかりがほしいと思う。原作小説にあまり詳しくないから、自分で考えた背景がネオサイタマの一般的な背景から外れすぎちゃってないかどうか、少し心配だし。

NM：よし。それなら君のキャラの生い立ちや、ソウカイ・シンジケート内での立ち位置を、これから一緒に決めていこう。

ボブ：エッ、いいの？　もうすぐ皆が来てゲームが始まっちゃうよ？　背景を考えたりするのは、半日くらいかかるのでは？

NM：大丈夫、生い立ちもダイスを振ってランダムに決められるからね。

TIPSな：最初のキャラクターメイキングにどこまで手間隙をかけるべきかは、プレイヤーの性格や好みによって違う。ニンジャマスターには、そうしたプレイヤーのキャラ作りを助けてあげる役目もある。

キャラクターを肉付けする

ルールブックには、このような時のための秘密のツールがたくさん収録されている。ニンジャマスターのジョンは、マスターセクションの「キャラメイクオプション：D66生い立ち表」を使うことにした。

NM：それじゃあボブ、D66を振ってみてくれ。これは特殊なダイスロールで、66面体を振るわけじゃなく、D6を2回振るんだ。最初のD6が10の位を決めて、2回目に振ったD6が1の位を決める。

D66で決定するネオサイタマ生い立ち＆マイナースキル表
（D6を２回振って、最初の出目を10の位、次の出目を１の位にする）

１１『○ジンクス』
１２『○レッサー・ソンケイ』
１３『○凶悪指名手配犯』
１４『○信心深い』
１５『○ピンハネ』
１６『○ブラインドタッチ』
２１『○錠前破り』
２２『○言いくるめ』
２３『○実家のカネ』
２４『○電子戦争退役軍人』
２５『○ガンマニア』
２６『○下劣なパパラッチ』
３１『○刀剣マニア』
３２『○ショドー十段』
３３『○元ハッカーカルト』
３４『○スモトリ崩れ』
３５『○アンタイブディズム・ブラックメタリスト』
３６『○元イタマエ』
４１『○オイランドロイド偏愛』
４２『○堕落マッポ』
４３『○キング・オブ・アーケード』
４４『○アーチ級ニンジャソウルの片鱗』
４５『○サイバーゴス』
４６『○元湾岸警備隊』
５１『○元ヒキャク・パルクール』
５２『○危険生物ハンター』
５３『○キラーマシーン教育』
５４『○テッポダマ』
５５『○異端考古学者』
５６『○サイバネ賞金稼ぎ』
６１『○ローグハッカー』
６２『○エンジニア崩れ』
６３『○放火魔』
６４『○プロテインマニア』
６５『○拷問好き』
６６『○生粋のソウカイヤクザ』

ボブ：なんだか頭のおかしそうな生い立ちばっかりだね。ネオサイタマにはこんなのしかいないの？　大丈夫かなあ……最初の出目は5……次の出目は2……。52だ！

NM：モータル（人間）時代の生い立ちは、危険生物ハンターだ。

52『○危険生物ハンター』：この者は荒野部の出身であり、
　幼い頃から危険バイオ生物の脅威にさらされて生きてきた。

「ショットガン」を初期装備してゲームを開始する。
『◉憎悪：危険生物』を持ち、「種別：危険生物」への攻撃ダイス/射撃ダイスが+1個される。

1つ選択：『◉知識：山岳地帯』
　　　　　『◉知識：旧世紀地下道網』
　　　　　『◉知識：銃器』
　　　　　『◉知識：危険生物』
　　　　　『◉知識：バイオ系メガコーポ』

ボブ：危険生物ハンター？　ワッ、どうしよう、全く予想していない生い立ちが出ちゃって、びっくりしているんだけど。

NM：ここに書かれている背景はあくまで指針だから、自由に読み替えたっていい。あまりにもイメージからかけ離れすぎているなら、もう１回振ってみてもいいけれど、どうする？

ボブ：いや、振り直しはしなくていいよ。「危険生物ハンター」っていう名前は結構気に入ったんだ。だって危険な感じがするし、クールだからね。それにショットガンを持てるんでしょ？　ショットガンはクールだよね。でも、荒野かあ……クマとかと戦ってたのかな？　うーん、あんまり田舎っぽいキャラは作りたくないんだけど……イメージわかないし……。

NM：なるほど、都市部の生まれがいいわけか。少しずつキャラが見えてきたね。ネオサイタマの地下道網にはワニが住み着いているから、その掃除屋だったのかもしれない。あとは港湾地区にも様々な危険海洋生物がいるから、サメや殺人マグロと戦っていたのかも……。

ボブ：サメ？　それだ！　実は僕、すごくサメ映画が好きなんだよ！　赤いドレッドヘアの男が、ショットガンを持ってサメと戦っていたら、それだけで超クールじゃない！？

NM：よし決まった。じゃあ君は港湾地区の生まれで、ジェットスキーに乗ってサメと戦っていた、なんてどうだろう？　片腕がサイバネ戦闘義手に置き換えられているのは、若い頃にサメに食われたからだ。この生い立ちには存在しないけれど、読み替えで『◉知識：水路港湾エリア』をあげるよ。

ボブ：ワオ、超クールだ。年齢は若い方がいいから、20前後かな。顔は結構ハンサムというか男前。でも、体のあちこちに傷跡があって……。あ、待って、今すごいイメージが浮かんだ……！　ニンジャソウルって、瀕死の状況で憑依したり、眠っている力が覚醒したりする時が多いんだよね？　こんなのはどう？　僕のキャラは、サメと戦って死にかけて、それでニンジャになった……！　サメの口の中にカトン・ジツを叩き込んで生還したんだ！

NM：素晴らしいね、ボブ。まるで小説や映画の主人公みたいに劇的な覚醒シーンだ。ではこれまでに決まったものを、全てキャラクターシートに反映してみよう。

この生い立ちに書かれた細かな追加ルールはあとで解説するから、とりあえずメモしておくだけでいいよ。本当は「初期アイテム」と「生い立ち」はどちらか片方しか選べないんだけど、これは君の最初の入門ゲームだから、特別にオーケーとする。ショットガンを持ったから、即応ダイスはさらに1個減ることに注意してくれ。

◆ファイアイーター　（種別：ニンジャ）　　DKK：０  名声：1（ソウカイヤ所属）
カラテ　　　　５　　体力　　　５
ニューロン　　１　　精神力　　１
ワザマエ　　　３　　脚力　　　３/N
ジツ　　　　　１　　万札　　　-12（ローン）

攻撃/射撃/機先/電脳　　6/3/1/1
回避/精密/側転/発動　　6/3/3/2
即応ダイス：3  緊急回避ダイス：０

◇装備や所持品
　・▶︎テッコLV1
　・ショットガン
　・カタナ

◇ジツやスキル
　・『☆カトン・ジツLV1』
　・『●危険生物ハンター（サメ）』、『◉憎悪：危険生物』
　・『◉知識：水路港湾エリア』

◇背景や外見
　20歳前後。燃えるように赤いドレッドヘア。
　危険な男前。体にはサメと戦っていた頃の傷跡。
　片腕はかつてサメに食われ、サイバネ戦闘義手に置換した。

ボブ：バンザイ！　すごくキャラのことがイメージしやすくなったよ。僕が映画で見たサメハンターたちの振る舞いとかを真似すれば、クールでアウトローな感じも出せそうだ。しかもニンジャだなんて最高だね！　あれ……でも待てよ、そんなキャラが、なんでヤクザ組織なんかに所属してるの……？

組織内の立ち位置と性格を決める

続いてニンジャマスターのジョンは、マスターセクションの「組織内の立ち位置や性格」決定表を使うことにした。

NM：よし、それもD6でヒントを得よう。何故君のニンジャはソウカイヤにいるのか……そしてそれをどう思っているのか？

出目：概要
　1：恐怖や諦観
　2：心酔や従順
　3：違和感や外部存在
　4：全能感や野望
　5：反抗心や嫌悪　
　6：秘密や陰謀

ボブ：ええと……出目は4だ。「全能感や野望」。

4：全能感や野望：君は超人的な力を振るうことが楽しく、調子に乗っている。ニンジャとなってから未だ明確な敗北や挫折を味わっておらず、組織内で礼節を欠いた行動も見られるが、今はまだ大目に見られている。君はさらなる力を求めており、いずれ自分は幹部の座につくものと考えている。

ボブ：つまりこれって、どういうことだろう？

NM：一緒に考えていこう。君のニンジャの噂は、港湾地区をシマにしているソウカイヤクザの耳にも入った。ニンジャ組織と抗争中のソウカイヤは、いつでも戦力を増やしたいと思っており、特に君みたいな武闘派のニンジャは、喉から手がでるほど欲しいんだ。

ボブ：きっとそうだろうね。サメを殺したこともない軟弱な高校生ニンジャを引っ張ってくるより、訓練の手間も省けるだろうし。そうだ、僕のニンジャの口癖は「お前、サメを殺したことがあるのか？」にしようっと。

NM：いいね。それでソウカイヤは、君をスカウトすることにした。君は面倒なことにならないよう、普段はニンジャとしての正体を隠していたはずなのに、ある日突然、黒塗りのリムジンに乗ったクローンヤクザたちが現れ、君に交渉を持ちかけたんだ。ソウカイヤの情報網はすごいから、隠れている在野のニンジャだって見逃さない。彼らの中には、港湾地区にナワバリを持つ「アーソン」っていうカトン使いのニンジャがいたかもしれないね。

ともかく、君の素質を見抜いたソウカイヤは、暴力で脅して言うことを聞かせるんじゃなくて、いい条件を提示したり、おだてたりして、仲間に引き入れたんじゃないかな。「ゆくゆくは港湾地区一帯をお前のシマとしてくれてやる」とか、そういう景気のいい話も出たはずだ。

ボブ：まあ当然の待遇だよね。要するに僕のニンジャは、裏社会の大物になるルートに入ったってわけだ！

NM：その通りだよ、ボブ。よし、これでもうキャラクター作成は完璧だ。あとは実際に動かしていく中で肉付けしていったほうがいい。実際に動かしてみたり、他のキャラと掛け合いをしていくと、予想もしていなかった面白い設定が思いつくことがあるからね。

ほら、エミリーとケビンも来たぞ。ニンジャらしくアイサツをして、さっそくチュートリアルシナリオを始めよう！　カラテでヤクザを殺すんだ！

>>>次回へ続く