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2:コアルール(2023/05/08更新)

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ここには「ニンジャスレイヤーTRPG」の根本的なゲームメカニズムが解説されています。これを全部覚える必要はありません。まずはざっと流し読みをして、どこにどんなことが書いてあるのかだけ覚えておき、いつでも参照できるようにしておけば大丈夫です。

具体的なルールの運用方法は、チュートリアルのソロアドベンチャーやサンプルキャンペイグンなどで、実例とともに解説されています。

細則と例外について:コアルールの細則はここに収録されていますが、全てがカバーされているわけではありません。ニンジャスレイヤーTRPGでは、ルールの無数の組み合わせやプレイヤーの自由な発想によって、様々な例外処理が起こり得ます。

ルールに書いていないことが起こったら:このゲームでは、ルールの完全に正確な運用よりも、マスターを含めたプレイグループの全員が楽しいひと時を過ごせることを何よりも優先します。このゲームでは、ルールに定められていない状況に出くわした場合や、細かすぎてどこに書いてあるかすぐに見つけられない場合も多々あります。そのような時は、進行役であるニンジャマスターが可能な限り不公平のない即席ルールを作って、ゲームの進行を優先してください。間違いを恐れたりする必要はありませんし、それを責める人もいません。手助けが必要ならば、プレイグループの全員が代案などを出しても構いません。奥ゆかしく協力してゲームをテンポよく進めること、可能な限りそのゲームに参加した全員が楽しめることが、何よりも大切です。完璧なルールの運用のためだけに、あまりにも多くの時間と誰かの楽しみを著しく損なってしまうことに注意してください。ルールはあくまでも、楽しいゲームを円滑的に行うためにあります。


“このゲームで最も重要なのは、ルールやデータそのものではないこのゲームで最も重要なのは、プレイヤー1人1人の想像力とアイディア、互いの立場やスタイルの違いを尊重するラブとリスペクトの精神、そして可能な限りプレイグループの全員が楽しめるように協力する姿勢だ。”

 - メインデザイナー フィリップ・N・モーゼズ


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2-1:ゲームの進行

ゲームは以下のサイクルの繰り返しで進行する。

「ダンゴウ」→「シナリオ」→「評価」→「余暇」→「ダンゴウ」→「シナリオ」→「評価」→「余暇」→「ダンゴウ」……

「ダンゴウ」では、ラオモト・カンや上位のニンジャよって命令が下され、これから挑む「シナリオ」のブリーフィングが行われる。シナリオをクリアすると、その達成度により「評価」が決定する。続く「余暇」では、【万札】を費やしてキャラクターの成長や強化を解決したり、NPCとの親密度を向上させたりする。

このゲームの核となる「シナリオ」パートは、「戦闘シーケンス」と「探索シーケンス」の2つの状態を行き来することによって進行する。

「探索シーケンス」→「戦闘シーケンス」→「探索シーケンス」→「戦闘シーケンス」→「探索シーケンス」→「戦闘シーケンス」……

「戦闘シーケンス」はターン制で進行し、各ターンごとに巡ってくるキャラクターごとの「手番」を解決する。ターン内の各キャラクターの手番は、「イニシアチブ値」(略称「機先」)の高い順に処理される。

「ターン開始フェイズ」「各キャラの手番」→「ターン終了フェイズ」「ターン開始フェイズ」「各キャラの手番」→「ターン終了フェイズ」……

1つの「手番」は以下のような「4フェイズ」に分かれている。「瞬時行動」に分類される行動は、各フェイズに最大で1回まで行える。「瞬時行動」はそのフェイズ中のどこで行ってもよいが、特例が明記されていない限り、通常の1行動(例えば「移動」の途中や「連続攻撃」の最中など)に割り込ませることはできない。

◆1手番の流れ(上から下へ)

手番開始フェイズ(手番開始時)

 手番開始時の各種宣言を行う(装備切り替え、集中など)
移動フェイズ
 「移動スタイル」を使いたければ1個宣言する
 「移動」を行える
攻撃フェイズ
 
 「戦闘スタイル」/「射撃スタイル」を使いたければ1個宣言する
 「攻撃/射撃/その他の行動」を行える
手番終了フェイズ(手番終了時)
次のキャラの手番へ!

各フェイズで、君は自分のニンジャを移動させたり、殺人カラテパンチを繰り出したり、スリケンを投げさせたりできる。これらの行動が成功か失敗かをダイスで決めるのが判定


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君はニンジャだ。だからカラテパンチを繰り出すことには必ず成功する。しかしそれが目の前の敵に致命傷を与えたかどうかはまた別問題だ。


2-2:判定

ダイスを握るべき時が来た! 成功するかどうか不明なアクションの結果をダイスによって決めるのが、判定である。

これには例えば「攻撃判定」「回避判定」「交渉判定」「知識判定」などがあり、どの能力値と結びついているかが決まっている。またそれぞれの判定には、内容に応じて難易度(出目の目標値)が決まっている。ルールに判定難易度が特に書かれていない場合、それは全てNORMALである。

判定時には、対応する能力値に等しい個数のD6を握り、それを振ること。判定は出目が大きければ大きいほど良く、振ったD6の中に難易度以上の出目があれば、その判定は成功となる(出目を合計するわけではない)。

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難易度修正:ルールに「難易度+1」「難易度−1」などと書かれていた場合、早見表を見て上(+の場合)や下(−の場合)に目標値を変更する。

複数の修正値:
「最も値の大きいものを使う」「累積しない」などの例外が書かれていない限り、1つの判定に対して複数種の修正値が存在する場合、それらは全て合算される。

ルールに定められていない判定を行う場合、あるいは特殊な状況下での判定を行う場合、使用する能力値と難易度はマスターが指定する。例えば「【カラテ】値で判定を行う。難易度はULTRA-HARDだ」などである。これは『カラテ判定:U-HARD』などと省略されることもある。


【】による出目の指定:ルールによっては【6,6】などで追加効果が発生する場合がある。これは「振ったダイスの中に出目6が2個以上あった場合」を意味し、それより良い出目、つまり「出目6が3つ以上あった」場合なども条件を満たせる。同様に【6,5】の場合、「振ったダイスの中に出目6が1個以上、出目5が1個以上あった場合」を意味し、「出目5が無く、6が2個以上あった」場合などでも条件を満たせる。

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プレイ例1:ボブの作ったニンジャは、ソウカイヤの敵対暗黒メガコーポ「オナタカミ社」が開発している新兵器について調べるよう命じられた。オナタカミ社はガードが硬いため、そのパーツを生産している下請け企業から情報を抜きたいとボブは考えた。マスターはこれに対し「【ニューロン】値で難易度:HARD」の判定を行うよう伝えた。ボブのニンジャは【ニューロン】2なので、ダイスを2個振り、出目は「5,2」だった。難易度HARDの成功には、出目5以上のダイスが必要なので、ボブのニンジャはこの判定に成功したことになる。もし出目が「4,3」だったら、判定は失敗していた(出目を合計するわけではないため)。

プレイ例2:ボブの作ったニンジャは、機密情報を盗み出すため、零細企業の電算機室へ忍び込もうとしている。廊下には赤外線の警報装置が多数仕掛けられており、これを巧みにかわして進まねばならない。そこでマスターは『ワザマエ判定:NORMAL』を行うようボブに伝えた。ボブのニンジャの【ワザマエ】は3なので、ダイスを3個振る。出目は「3,3,1」だった。難易度はNORMALなので、出目4以上が1個でもあれば成功だったが、ボブのニンジャはこの判定で失敗してしまった。警報装置が作動する!

プレイ例3:警報装置が鳴り、12連続夜勤明けの警備員が駆けつけた。ここで警備員を殺すと侵入は絶望的になるので、ボブは何とかして言いくるめたいとニンジャマスターに伝えた。マスターは「『交渉判定:U-HARD』でそれを行なってもよいが、失敗すると先制攻撃を受けてしまう」ことを伝えた。ボブは納得し、【ニューロン】2で『交渉判定』を行った。出目はなんと「6,1」。言いくるめは成功し、夜勤明けの警備員はどこかに行った。


即応ダイス

即応ダイスとは、シナリオ本編内で起こる『回避判定』以外のあらゆる判定に追加できる特殊なダイスだ(例えば『連続側転判定』『交渉判定』『攻撃判定』など)。即応ダイスに最大値は存在しないが、一度使用すると、シナリオ終了まで回復しない。

使用したい即応ダイス数を判定前に宣言し、残数を減らすこと。シナリオ中いつでも、また1つの判定に対して何個でも、即応ダイスを使用できる。なお、即応ダイスを使わずに重要な判定で失敗した時(あるいはクリティカルに届かなかった時)などに、マスターは「まだ即応ダイスが残っていること」を思い出させ、特別に即応ダイスによる振り足しを認めてもよい。

プレイ例:エミリーは新たなニンジャを作成し、その初期装備アイテムは「オーガニック・スシ」となった。エミリーのニンジャは5個の即応ダイスを持ってスタートする。エミリーのニンジャは【ワザマエ】が低いので、絶対に失敗したくないボス戦での『連続側転判定』や『射撃判定』などのためにこれを温存しておこうと考えていたが、その前に、重要なNPCハッカーの「タキ」を誘惑する場面が訪れた。エミリーは即応ダイスを2個消費し、この『交渉判定』のダイスを+2個することに決めた。

シナリオ開始時に、キャラクターは所持している武器の数に応じて即応ダイスを獲得する。何も武器を持たない初期作成ニンジャの「即応ダイス」数は5個だ。1個の『即応ダイス』は、その判定で振れるダイス数を1個だけ増やす。1度に複数消費することもできる。

初期アイテムとして「カタナ」や「ウイルス入りフロッピー」を獲得した場合、これらは武器扱いのため、即応ダイスは1個減る。またシナリオ中に武器を拾うと、その消費スロット分だけ即応ダイスが失われてしまう。その他、即応ダイス数の詳細は「3:装備と能力のルール」を参照。

具体的に何を持っているのか?:即応ダイスの描写は自由だ。単純に「状況判断力がすごかった」だけでもいいし、キャラの個性に関わるようなアイテム名に読み替えたり、例えば交渉など特殊な判定に使用して成功した時は「交渉に役立つ何かを、たまたま懐に持っていた」など、自由に読み替えても構わない。


緊急回避ダイス

防具やスキルなどから獲得できる、特殊な回避ダイス。初期値は0。キャラクターシート上、通常の回避ダイスとは別の数値として管理する。マスターが特別に認めた場合を除き、シナリオ中に増加することはない。そのキャラクターが持てる緊急回避ダイス数に最大値は存在しない。

緊急回避ダイスは、自分の『回避判定』時にのみ使用できる。使用したい緊急回避ダイス数を『回避判定』前に宣言し、残数を減らすこと。シナリオ中いつでも、また同時に何個でも、緊急回避ダイスを『回避判定』の振り足しに使用できるが、一度使うとシナリオ終了まで回復しない。

現在の回避ダイスが0個の時や、『回避ダイスダメージ』によって現在値がマイナスになっている時でも、緊急回避ダイスは使用できる。また緊急回避ダイスは、『回避ダイスダメージ』による影響を受けない。

プレイ例:ボブのニンジャはシナリオクリア後に腕部防具である「伝統的ニンジャブレーサー」を購入し装備した。彼は次のシナリオで、緊急回避ダイス2個を持ってゲームスタートできる。次のシナリオが始まり、最終戦闘でボブはクローンヤクザによる致命的な一斉射撃を受けた! 直前に敵ニンジャからの攻撃を回避するため、ボブは回避ダイスを使い果たしてしまっている。ボブは咄嗟にブレーサーで守りを固めることにし、緊急回避ダイス2個を全て使い切ることにした。ボブのニンジャは2個のダイスで『回避判定』を行い、どうにか爆発四散をまぬがれた。


対抗判定

『対抗判定』と書いてある場合、2人以上が同時にその判定を行い、より多い成功数を出した者が判定の勝者となり、そのルールに書かれた何らかの効果を起こせる。成功数の差によってダメージを受ける場合もある。

超高難易度の成功数比較:UH2以上の難易度で成功数の比較が必要な場合、まず最低限必要とされる個数の出目6をワンセットで1成功と数え、追加の出目6は全て成功数+1としてカウントする。例えば難易度UH3の判定で、出目が「6,6,6,6,6,6」だった場合、成功数は4としてカウントされる。これが難易度UH2ならば、成功数は5。難易度UHならば成功数は6となる。

抵抗判定

『抵抗判定』とは、キャラクターが毒や精神攻撃の影響に耐えられたかどうかを調べる判定だ。自発的行動でも受動的行動でもないため、そのキャラが「あらゆる行動が不能」な状態であっても判定される。通常の判定と同様、1回『抵抗判定』の機会が来るたびに、1回だけ『抵抗判定』を試みる。

プレイ例4:結局のところボブはUNIXのハッキングに失敗し、苦労のわりに成果ゼロでソウカイヤ本部に帰った。ここで上司のソニックブームに容赦無く詰められ、ボブの中で突如パンク的な精神が湧き上がった。ボブは「自分のニンジャは突然キレてソニックブームに殴りかかります」と宣言した。マップに配置して戦闘処理を行うと面倒なので、マスターは「【カラテ】値で『対抗判定:NORMAL』を行う」ことを告げた。【カラテ】12のソニックブームは8成功、【カラテ】3のボブのニンジャは1成功しかできず、ボブのニンジャは差分の7ダメージを受けて叩きのめされ、その場で気絶した。

探索時と戦闘時の判定の違い

『連続側転』を含むほとんどの判定は、「探索時」には自動成功する(つまりダイスを振らなくてよい)。しかし「雪山で巨大なクレバスに遭遇し、これを跳躍して飛び越えられるかどうかはニンジャでも不明だ」などの重要な場面では、たとえ敵がいなくとも判定を行うべきだろう。探索時の判定はあくまでも「それを行うとゲームがより楽しくなる」場合にのみ限定し、可能な限り減らすのがいい。



これで行動の判定方法はわかった。君はゲームのメカニズムの半分以上を理解したことになる。では、自分の手番はいつ回ってくるのか? そこにいるクローンヤクザが君にチャカ・ガンをぶっ放してくる前に、スリケンを投げて始末することができるのか? それら全てはイニチアチブ値で決まる。

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ニンジャは二種類存在する。
機先を制したニンジャとそうではないニンジャだ。


2-3:イニシアチブと手番

イニシアチブとは、その戦闘に参加している各キャラクターの行動順のことだ。イニシアチブ値はそのキャラの持つ【ニューロン】の値に等しいが、装備や能力によって修正を受けることもある。

イニシアチブ値=現在の【ニューロン】値+各種修正(生体LANなど)

クリティカルヒットなどでニューロンが減少した場合、イニシアチブ値も減少する。これによる行動順変更は次のターンから起こる。イニシアチブ値を操作できるのは特殊なアイテムや能力だけであり、「手番を遅らせて割り込む」などの行動は基本では取れない。

戦闘シーケンスが突発的に発生し、マップ上の位置関係が決まっていない場合は、イニシアチブ値の低いキャラから順番に配置を行う。また実際に戦闘シーケンスが始まると、各ターンではイニシアチブ値の高いキャラから順に手番が回ってくる。

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イニシアチブ値の例:各ターン、エミリー、ブラックマンバ(敵ニンジャ)、ケビン、ボブ、クローンヤクザ(敵モブ)の順で手番が回ってくる。マップへの新規配置が必要な場合、逆順で(つまりクローンヤクザから上に向かって)配置を行う。

戦闘中のイニチアチブ値変化:ごく稀に、イニチアチブ値に影響をおよぼすような能力やルールも存在する。戦闘中にイニシアチブ値が変わった場合、それによって次の手番の行動順も変化することになる。

仲間同士のイニシアチブが同値だった場合:プレイヤー間で同値のキャラクターがいる場合、どちらが先に行動するか、シナリオ開始時にダイスの出目やジャンケンで決めておき、それをシナリオ終了まで維持すること。戦闘中にイニシアチブ値の変化が起こり、仲間同士でイニシアチブ同値となった場合、最初に1回だけ順番を決め、それを戦闘終了まで維持すること。

敵のイニシアチブ値が同値だった場合:敵とプレイヤー側キャラクターのイニシアチブ値が同じだった場合、プレイヤー側がつねに先に行動できる。また敵側にイニシアチブ順が同値のキャラクターが複数いた場合、マスターが毎回自由に手番の処理順を決める。

イニシアチブ値が0以下になった場合:イニシアチブ値は0以下になりうるが、行動順にイニシアチブ値0は存在しない。イニシアチブ値が0以下になった場合、そのキャラの行動順は、便宜上イニシアチブ値1とみなす。能力の発動条件にイニシアチブ値の比較がある場合は、0以下の本来の値を使う。

一騎打ち:周囲に他の敵味方が存在せず、ニンジャ同士が1対1で戦闘する場合に限り、ニンジャマスターは「2人のニンジャは一騎打ち状態にある」とみなし、両ニンジャの1ターンあたりの手番を1回ではなく2回行わせてもよい。この場合、最初の手番は本来のイニシアチブ値で、2回目の手番はその半分のイニシアチブ値で訪れる。またこの場合、『2ターン連続使用不可』の能力は『2手番連続使用不可』に読み替えられる。

プレイ例:ボブ、ケビン、エミリーが作ったニンジャの【ニューロン】値はそれぞれ1、4、4だ。イニシアチブ値が同じなので、ケビンとエミリーはシナリオ開始前にジャンケンを行い、エミリーが勝った。このゲーム中、エミリーのニンジャがより冴えていることになり、「エミリー」→「ケビン」→「ボブ」の順で各ターンの手番が回ってくることが決まった。

シナリオが進行し、3人のニンジャの前にモーターヤブが現れ、戦闘が始まった。モーターヤブの【ニューロン】は2だったので、「エミリー」→「ケビン」→「モーターヤブ」→「ボブ」の順で行動する。

戦闘は長引き、敵のクローンヤクザ6体が増援に現れた。クローンヤクザの【ニューロン】は1なのでボブと同値だが、この場合は常にプレイヤーが先手を取れるので、「エミリー」→「ケビン」→「モーターヤブ」→「ボブ」→「クローンヤクザ」の順で行動する。

これで君は、自分のキャラクターの手番がいつ回ってくるのか解った。では、手番では何ができるのだろうか? 各フェイズの内容を順番に見ていこう。



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2-4:手番開始フェイズ

君が今すぐにでも走り出して、クローンヤクザにトビゲリを決めたいという気持ちはよくわかる。だが自分の手番が回ってきたら、移動の前にまずは「手番開始フェイズ」を行い、ゼンを高めて、敵を殺すための準備を万全に整えよう。

◆「手番開始フェイズ」でできること(上から下へと順に処理する)
 ・装備の切り替えを宣言できる
 ・移動を飛ばして『集中状態』に入るかどうか宣言できる
 ・継続系の効果を受ける(もしくは効果延長を決める)

瞬時行動:このフェイズ中、いつでも瞬時行動を最大1つまで実行できる(例えばヘンゲヨーカイ・ジツやカラテ・エンハンスメントの発動など)。

処理順の決定権:例えば「継続ダメージの処理」と「継続回復の処理」など、フェイズ内で処理すべき内容が複数ある場合、つねに手番プレイヤーに順番決定権がある。

集中状態に入る

手番開始フェイズで「集中状態に入る」と宣言することで、続く「移動フェイズ」を丸ごとスキップする代わりに、続く「攻撃フェイズ」のあらゆる行動の難易度が全て−1される(『抵抗判定』や『対抗判定』、および受動的行動のための判定は例外)。

モブ敵の集中状態について:移動したモブ敵と移動していないモブ敵を覚えたり区別するのは面倒なので、普通モブ敵は一律で「集中状態なし」とする。ただし、ゲームの進行に応じてマスターはいつでも自由に状況判断し、移動しなかったモブ敵を『集中状態』に入らせてもよい。

武器を切り替える

例えば「カタナ」から「素手&スリケン」への切り替え、「二挺拳銃」から「ノダチ」への切り替えなど、武器の切り替え宣言はこの「手番開始フェイズ」で行われる。切り替え自体によるペナルティは特に存在しないが、武器の中には個別の「装備ペナルティ」を持つものがあるので注意すること。例えばカタナを装備した場合、素手よりも連続側転をやりにくくなる。

一度武器を切り替えると、次の手番までもう切り替えはできない。戦闘開始時に基本で装備している武器を指定しておきたい場合、あらかじめマスターに申告しておくこと。特に事前申告がなかった場合、戦闘が開始した直後は「素手&スリケン」を装備しているとみなされる。

『咄嗟のスリケン投擲』:カタナなどの武器を装備している状態でも、「攻撃フェイズ」中に「咄嗟のスリケン投擲」として、難易度+1で射撃を行うことができる(実際に装備している武器は切り替わらない)。ただし、このスリケン投擲時には、各種スタイルや「ワザ/ヒサツ・ワザ」の効果を一切使用できない。初めからスリケンを投げるつもりで、これらのペナルティを避けたいならば、「素手&スリケン」への切り替えを手番開始フェイズに行うこと。「常に素手&スリケン状態ともみなす」などのサイバネや能力を得ている場合、この難易度+1ペナルティは無視される。

プレイ例:エミリーのニンジャは敵に斬りかかるためにカタナを装備したが、『連続側転』に失敗して動けなくなり、攻撃する相手がいなくなった。ターンを無駄にしたくないので、命中する見込みは薄いが「咄嗟のスリケン投擲」を選択することにした(難易度は「連続側転」による+1と「咄嗟の投擲」による+1で、+2になってしまう)。この場合でも次の手番までカタナ装備状態は維持される。



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2-5:移動フェイズ

このフェイズで、君のニンジャはマップ上を自由に移動できる。

◆移動フェイズでできること(上から下へと順に処理する)
・「移動スタイル」を1つ宣言してもよい
  (回復アイテムを使用する場合は「移動スタイル」使用不可)
・実際の移動を行う(「1行動」を消費する)
・移動攻撃などの特殊な効果が発生した場合、それを処理する

瞬時行動:フェイズ中いつでも瞬時行動を1つまで実行できる。このフェイズで行える瞬時行動は、特殊なグレネードの使用などだ。

移動スタイルは、1フェイズにつきいずれか1個だけ使用できる。初期状態で使用できる移動スタイルは「連続側転」だけだ。成長するにつれて「特殊近接ステップ」「突撃」「タクティカル移動射撃」「飛行移動」などの様々な移動スタイルを使用できるようになる。移動フェイズ中に「1行動」を消費する回復アイテムを使用したい場合、移動スタイルは使用できない。

通常移動

何も移動スタイルを宣言しなかった場合、続く移動は「通常移動」と呼ばれ、以下のルールに従って自由にマップ上を移動できる。移動スタイルを使用した場合、以下のルールの一部だけが書き換えられる。

・最大で【脚力】に等しいマス数まで移動できる。
・ナナメ移動は不可。
・各移動フェイズあたりの移動限界は20マスまで。
・ドアや窓を通過する時に、追加の移動コストを払う必要はない。
・いかなる移動時も、同じドアを2回以上通過することはできない。
・敵や障害物が存在するマスに入ることはできない。
・味方がいるマスを通過することは可能だが、同じマス上にとどまることはできない。

探索シーケンスでの無制限移動:「探索シーケンス」でもマップ上でコマを動かして処理している場合、ターン制ではないので【脚力】を無視してよい。「向こう側のビルへと飛び渡れるか?」などの判定が必要になった時のみ【脚力】を使用すればよい。

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連続側転移動

ニンジャはしばしば連続側転や連続バック転を打ったり、壁やネオンカンバンを蹴り渡ったり、色付きの風のようになって高速移動する。こうした様々なアクロバット移動やパルクール移動を再現する能力が、「連続側転」と呼ばれる「移動スタイル」だ。

連続側転を行えば敵の攻撃を回避しやすくなったり、長距離を移動できるようになるが、その後の行動が難しくなってしまう。『連続側転』の使用を宣言した場合、移動フェイズ開始時に『ワザマエ判定:NORMAL』を行うこと。

『連続側転判定』に成功した場合、以下の効果を得る:
・直ちに『回避ダイス』を2個獲得する。
・最大で【脚力】の2倍までのマスを移動できる。
・移動開始マスと同じマスで移動を終了することはできない。
・ナナメ移動が可能。
・敵や障害物のいるマスを通過できる。
・続く攻撃フェイズでの自発的行動に難易度+1ペナルティを受ける。

『連続側転判定』に失敗した場合、以下の効果を得てしまう:
・この移動フェイズで1マスも移動できなくなる。
・次の手番まで『崩れ状態』(敵からの攻撃難易度が−1)となる。
・続く攻撃フェイズでの自発的行動に難易度+1ペナルティを受ける。

ブロックされた窓やドアの通過

最初のうちは使うことがないが、主にニンジャスレイヤーが出現した時のために、以下のルールがあることも覚えておいた方がいいだろう。

通行可能な窓」/「ドア」の前に、ボス級の敵がいる場合、そこは「ブロックされている」とみなす。「扉」/「ドア」のある面に対して敵がナナメで隣接している場合や、その敵が『拘束状態』以上の状態異常を起こしている場合は、ブロック不成立である。敵にブロックされている「窓」/「ドア」を通過するには、『連続側転判定』時に以下の出目が必要となる。

【6,6】ブロックされたドアを通過できる。
【6,6,6】ブロックされた窓/ドアを通過できる。



名称未設定2

2-6:攻撃フェイズ

これで君のニンジャは、クローンヤクザを攻撃可能な距離まで到達した。あとはカラテパンチで殺すか、スリケンで殺すか、カタナや銃弾で殺すかの違いくらいだ。それを行うのが「攻撃フェイズ」だ。

◆攻撃フェイズでできること(上から下へと順に処理する)
・「戦闘スタイル」/「射撃スタイル」を1つだけ宣言してもよい
・実際に近接攻撃/射撃/その他の行動を1つだけ行う
・敵はこれによりダメージを受けたり、回避したりする

瞬時行動:フェイズ中いつでも瞬時行動を1つまで実行できる。このフェイズで行える瞬時行動は、例えば電脳ドラッグの使用などだ。

戦闘スタイル/射撃スタイルの宣言

各手番攻撃フェイズの開始時に、そのキャラは現在使用可能な戦闘スタイル/射撃スタイルのうち、いずれか1つを宣言してもよい。例えばカタナを装備しているキャラは『●戦闘スタイル:精密攻撃』か『●戦闘スタイル:強攻撃』を選択できる。スタイルを選択せずに攻撃や射撃を行うこともできる。

戦闘スタイル/射撃スタイルを宣言した場合、続く近接攻撃や射撃でそのスタイルに応じたボーナスやペナルティを得たり、特殊な攻撃を繰り出せる。スタイルの効果は、基本的にその手番終了時まで持続するが、防御的なスタイルの場合、次の手番開始時まで持続することもある。

特例が明記されていない限り、スタイルと異なる種別の行動は取れない。例えば戦闘スタイルならば『攻撃判定』を行うもののみ、射撃スタイルならば『射撃判定』を行うもののみが対象(「射撃種別のジツ」は対象外)となり、どちらもジツやその他の行動は対象外となる。



近接攻撃

カラテやカタナで至近距離の敵を攻撃したい場合、自分と隣接状態にある敵いずれか1体をターゲットとして選び、「近接攻撃」(攻撃)を宣言すること。マップを使っている場合、タテ、ヨコ、ナナメで隣り合っている敵全てが隣接状態とみなされる。

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続いて、その攻撃が命中して敵にダメージを与えられたかどうかを決めるために、【カラテ】値で『近接攻撃判定:NORMAL』を行う(略称『攻撃判定』)。判定に成功した場合、その敵に1ダメージを与える。1ダメージは常人を気絶ないしは即死させるのに十分なダメージだ。出目に【6,6】が含まれていた場合、クリティカルヒットの『サツバツ!』が発生する(後述)。

難易度は装備や状態によって変わる。例えば『集中状態』に入っている場合は、ここから難易度が−1され『難易度:EASY』となる。例えば直前に『連続側転』を行なっていれば、難易度が+1され『難易度:HARD』となる。また、例えばカタナは以下のような2つの戦闘スタイルを持っている。

『●戦闘スタイル:強攻撃』:全攻撃が『攻撃判定』難易度+1となり、全攻撃が『痛打+1』となる。

『●戦闘スタイル:精密攻撃』:【ワザマエ】値で『攻撃判定』を行う。『サツバツ!』は【6,6,6】、『ナムアミダブツ!』は【6,6,6,6】となる。いずれの場合も『痛打』は発生しない。

プレイ例:エミリーのニンジャは【カラテ】1、【ワザマエ】6という極端な能力値の差を持つニンジャで「カタナ」と「テッコLV1」(【カラテ】のみを用いる判定でダイス+1)を装備している。カタナで通常攻撃を行う場合、ダイス2個で『攻撃判定:NORMAL』を、『●強攻撃』を使う場合はダイス2個で『攻撃判定:HARD』に挑まなくてはいけない。しかし『●精密攻撃』を選択すれば、ダイス6個で『攻撃判定:NORMAL』を行える。

プレイ例2:エミリーのニンジャは『●精密攻撃』を選択し、ダイス6個で『攻撃判定:NORMAL』を行った。出目は「6,6,4,3,1,1」であり、クローンヤクザに1ダメージを与えることに成功した。本来は【6,6】でクリティカルヒットの『サツバツ!』が発生するが、『●精密攻撃』では【6,6,6】が必要となるので、出目6が1個足りず、今回は通常のダメージのみとなる。



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射撃とスリケン投擲

ニンジャはいつでもスリケン投擲を行える。一方で、二挺拳銃やライフルなどで戦う近代的ニンジャも存在する。スリケン投擲も、銃による射撃も、その判定はどちらも「射撃判定」と呼ばれ【ワザマエ】値を使う。射撃判定の基本難易度はNORMALだ。

自分から「視線」が通っている敵いずれか1体をターゲットに選び、射撃を宣言すること。隣接している敵は射撃のターゲットに選べない。射撃判定に成功した場合、その敵に1ダメージを与える。近接攻撃とは異なり、特殊な武器や能力を持たない限り、射撃時にクリティカルヒットは発生しない。

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視線と射程の調べ方

視線を調べる時は、自分のマスからターゲットのマスまで直線を引き、壁や障害物や敵が間に存在しなければ、視線が通っており、射撃可能とみなされる。視線が通っているか調べる上で、味方の存在は無視できる。また武器などに射程が明記されている場合、敵のマスまでの数を数え、それが射程内である必要がある。

◆視線早見表

常に視線を遮らない
・味方(臨機応変に動いてくれるため)
・開けられたドア(戦闘中は基本開きっぱなし)
視線を遮る
・壁
・障害物
・開けられていないドア
・敵


その他の行動

以下のような重要な行動や、それなりに労力や時間が必要と考えられる行動は、すべて「その他の行動」と呼ばれる。「その他の行動」を行うならば、攻撃や射撃をあきらめなくてはならない。これらの中には判定を必要とせず自動成功するものもある。

◆「その他の行動」の一例と、判定に使う能力値

・ジツの発動:【ニューロン】+【ジツ】
・鍵のかかった金庫を破壊し中身を強奪する:【カラテ】
・鍵のかかった金庫を解錠し中身を強奪する:【ワザマエ】
・鍵のかかった金庫を電子解錠し中身を強奪する:【ニューロン】
・非道トラップを物理的に解除する:【ワザマエ】
・警報装置などをハッキングで無力化する:【ニューロン】
・行動を捨て全力移動する:D3マスの追加の通常移動を行う
・ガレキや触手に拘束された仲間を救出する:【カラテ】
・気絶状態の仲間に隣接しZBRアドレナリンを使う:自動成功
・気絶状態の仲間をかついで運搬する:自動成功
・スシなど「1行動」系の回復アイテムを使用する:自動成功
・隣接する仲間や重要人物を護衛する(回避ダイス+1):自動成功

ここに書いていないものについては、ニンジャマスターが能力値や難易度などを決定する。マスターセクションには、即興で判定を行う際の指針などがガイドされている。

プレイ例:エミリーのニンジャはいつもは素手で戦っているが、暗黒メガコーポのラボに侵入した際に、重装甲の多脚戦車「シデムシ」に遭遇した。この戦闘兵器は『ダメージ軽減1』を持っており、エミリーのニンジャの素手攻撃では『サツバツ!』による『痛打』を与えないとダメージが通らない。エミリーは「周囲に何か武器に使えそうな物が落ちていないか探したい。できれば強攻撃ができそうなものを!」と宣言し、マスターは「その他の行動」として『ニューロン:HARD』で判定を行わせることにした。この判定に成功したエミリーは、運良く重レンチ工具を見つけることができた。マスターは「これはサイズ的にカタナ(標準近接武器)のルールを使用する」と告げ、また「これは即席の武器なのでこの戦闘が終わると壊れてしまうし、しかも攻撃判定の難易度は本来より+1されてしまう」と即興で決めた。このため『●強攻撃』の難易度はHARDではなくU-HARDになってしまったが、『サツバツ!』を出すよりはまだチャンスがある(出目さえ良ければ強攻撃でさらに『サツバツ!』も出せる)と考えたエミリーは、次の手番でこの重レンチによる『●強攻撃』を行うことにした。

些細な行動

話す、叫んで助けを呼ぶ、エモート表現を行うなどの行動や、ルール上特に影響を及ぼさないロールプレイは、特に判定を必要としないため、「些細な行動」として、フェイズを問わずいつでも自由に行ってよい(瞬時行動ですらない)。



2-7:手番終了フェイズ

手番の最後には「手番終了フェイズ」を行う。最初のうち、多くのニンジャはこのフェイズで特に何もすることがないので、飛ばしてかまわない。

◆手番終了フェイズでできること(上から下へと順に処理する)
 ・継続系の効果を受ける(もしくは解除されるかどうか決める)
 ・このフェイズで使用可能な能力を使用できる
 ・全ての処理が終わったら「手番終了」を宣言する

瞬時行動:
フェイズ中いつでも、瞬時行動を1つまで実行できる。例えば特殊なジツやグレネードの使用などだ。

これでひとつの手番が終わった。しかし実際の戦闘では、君のニンジャの他にもたくさんのキャタクターたちが同じマップ上に存在している。そして各キャラクターの「手番」が全て合わさって1つの「ターン」が構成されている。改めて「ターン」の流れを頭から見てみよう。



2-8:ターン開始フェイズ

各ターンの開始時には「ターン開始フェイズ」がやってくる。ターン開始フェイズに行う最も重要な処理は、全員の「回避ダイスのリセット」だ。前のターンにどれだけ使用したかにかかわらず、最大値まで回避ダイスが回復する。ターンを挟んでの回避ダイスの持ち越しはできない。またクローンヤクザなどのモブ敵は回避ダイスを持たない。

ターン開始フェイズにおける処理順の決定権は、ニンジャマスターにある。ターン開始フェイズで他にも処理すべきルールがある場合、回避ダイスの獲得を何よりも先に処理すること。

◆ターン開始フェイズにマスターがすること(上から下へ)
・各キャラクターに回避ダイスを獲得させる
・前のターンから回避ダイスを持ち越すことはできない
・継続系の効果を解決する(もしくは延長されるかどうか決める)
・全ての処理が終わったら、最初のキャタクターの手番が始まる

これが突発的に発生した戦闘であり、キャラの位置関係が決まっていないならば、イニシアチブ値の逆順で、敵味方をそれぞれの初期配置エリアに配置してから1ターン目を開始する。この配置時には装備も宣言しておくこと。


回避ダイスを得る

各ターン開始フェイズに、各ニンジャ(および回避ダイスを持つボス級の敵)は自分の【カラテ】/【ニューロン】/【ワザマエ】の中で最も高い値に等しい個数のダイスを得る。これは回避ダイスと呼ばれる。君のニンジャはこれを使って、ターン中に敵から与えられたダメージなどを無効化できる。

戦闘中に「最も高い能力値」が変化した場合、それに応じて、次のターン開始フェイズで得られる回避ダイス数も変化する。例えばヘンゲヨーカイ・ジツによって【カラテ】値が上昇し、それが最も高い能力値ならば、獲得できる回避ダイス数も上昇する。逆に、このキャラがクリティカルヒットで【カラテ】値を減少させれば、回避ダイス数も減少してしまう。

想像してみよう:回避判定成功時に実際にゲーム世界で起こっていることは様々であり、「回避」ではなく「防御」と描写した方が良いこともある。

例えば【カラテ】が最も高いならば、そのニンジャはまるで格闘ゲームのようにカラテ防御を固めて、敵の攻撃を受け止めたのかもしれない。【ニューロン】が最も高いならば、敵の動きや弾道を読み切って、平然と歩きながら銃弾を回避したのかもしれない。【ワザマエ】が最も高いならば、残像が残るほどの動きやフットワークでこれらを躱しているのかもしれない。

そして多くの場合は、最も高い能力値の種類に関係なく、これらが瞬時に、複合的に起こっている。他のあらゆる判定と同様、ゲーム世界で具体的に何が起こっているのかは、プレイヤーやマスターが自由に想像を働かせて描写して構わない。例えばボスにダメージを与えられなくても、回避ダイスを使わせることができたならば、その姿勢や防御はぐらつき始めているはずだし、例えば回避ダイスを使い切らせた時に、ボスの顔のすぐ横を攻撃が掠めたように表現すれば、自分のニンジャが戦闘やストーリーに貢献できているという実感が湧くだろう。

このゲームで最も重要なのは、出目の結果をただの無機質な数字とルール用語のやり取りにするのではなく、想像力という血肉を君のニンジャのアクションに与えてやることだ!


2-9:ターン終了フェイズ

最後のキャラクター手番が終わると、「ターン開始フェイズ」がやってくる。ここで行う最も重要な処理は、「新たなキャラの配置」である。ターン終了フェイズで他にも処理すべきルールがある場合、「新たなキャラの配置を一番最後に処理すること。

◆ターン終了フェイズでマスターがすること(上から下へ)
・継続系の効果を受ける(もしくは延長されるかどうか決める)
・このフェイズで使用可能な能力を使用できる(プレイヤーも宣言可)
・新たなキャラクターをマップ上に配置させる
・全ての処理が終わったら「ターン終了」を宣言する



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2-10:戦闘シーケンスの終了

全ての敵が倒されるか、あるいはマップ上に存在しなくなった場合、その戦闘シーケンスはプレイヤー側の勝利として終了し、マスターは以下の「後片付け」を行う。

プレイヤー側のキャラクターが全員死亡したり、逃げ出してマップ上に存在しなくなったり、『気絶状態』となっている場合は、シナリオやキャンペイグンごとの指示に従うこと。全員無慈悲に爆発四散するかもしれないし、ソウカイヤの回収班やクローンヤクザに回収されて「ミッション失敗」となるかもしれない。

◆戦闘終了時にマスターがすること
・敵ボスや重要NPCとのイベント(交渉など)があれば解決する。
・「戦闘終了時まで継続」な継続系効果を全て終了させる。
・【精神力】1以上かつ『気絶状態』のキャラクターがいれば、【体力】1、【精神力】0の状態で自動蘇生する。より有利な条件で仲間を蘇生させられるアイテムや能力があれば、その前に使用してもよい。
・戦闘が完全終了し、ドロップアイテムやトレジャーなどを漁ることができる。

万札プール

死亡した敵がドロップした【万札】は、全て自動的にプレイヤー側の「万札プール」に回収されたとみなし、いちいち拾う必要はない。「万札プール」に集められた【万札】は、シナリオ終了時に換金され山分けされる。

それがボス級の敵だった場合、もしくは特殊なアイテムをドロップする敵の場合、大量の【万札】やアイテムを含んだ死体(もしくは気絶中の体)などがトレジャーボックスとしてマス上に残り続けることもある。あるいは、気絶した体そのものが運搬可能なアイテムとみなされるシナリオもある。

戦闘シーケンス中にこれらのトレジャーを漁りたいならば、そのマス上(生きているならば隣接マス上でも可)で「その他の行動」を宣言すること。




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ここから先は真のニンジャの世界だ。

これで君は、ひととおりのターン進行を学んだことになる。つまり移動し、カラテやスリケンで敵を殺すことについてだ。しかし敵が強力だったら、君のニンジャもダメージを受けてしまうだろう。ニンジャは無敵の怪物ではない。一斉射撃をまともに食らえば、たちまち爆発四散してしまう。

しかしニンジャには、銃弾すら回避する超人的能力が備わっている。敵から与えられたダメージに対して取る防御や回避を、あわせて回避判定と呼ぶ。



2-11:ダメージの発生と回避、カウンター

自分のニンジャが何らかの理由でダメージを受けることになった場合、それに対して1回だけ「回避判定」を試みられる。基本難易度はNORMALだ。『回避判定』に成功した場合、そのダメージはゼロとなり、付属効果もいっさい発生しない。

◆回避判定の基本ルール
・回避を迫られた場合、プレイヤーは回避ダイスを使用するかどうか、使用するならば何個使用するかを選択できる。あえて使用せず、ダメージを受けてもよい。
・宣言した数だけD6を振る。これを『回避判定』と呼ぶ。基本的な回避難易度はNORMALである。
・回避に成功した場合、ダメージは発生しない。その攻撃処理は終了する。
・回避判定を行える敵はPCやボス級の敵だけであり、モブ敵は回避を行えない(モブはそもそも回避ダイスを持たない)。
・回避を行えないダメージや効果は、『回避不能』と明記されている。
・ニンジャは「まとめて全弾回避」を行える。
・回避に成功すると『カウンターカラテ』が発生する場合がある。
・『回避判定』は自発的行動ではなく受動的行動に分類される。


まとめて全弾回避

同種のモブ敵からのダメージ、および1フェイズ中に受けた『時間差』の種別を持たないダメージは、ニンジャならば全てまとめて1回の『回避判定』で回避できる。なお『連続攻撃』は『時間差』を持つとみなされるので、まとめて回避を行うことはできない。

『連続攻撃』を持つモブ敵、および『時間差』つきの『連射』を持つモブ敵が同時に2体以上出現することは、極めてめずらしい(面倒になるのでなるべく出現させない方がよい)。このような戦闘が発生した場合、ニンジャは同種のモブ敵複数による『連続攻撃2』や『時間差』つきの『連射2』などを、1発ごとにまとめて回避することができる(「プレイ例4」参照)。

同じイニシアチブ値で回避難易度の異なる別種のダメージ(『時間差』なし)を同時に受けた場合、回避側はその中の最も高い回避難易度で「まとめて回避」を行うか、または別々に回避を行うかを選択すること。

プレイ例1:敵ニンジャから3発のカラテミサイル弾が飛んできたり、クローンヤクザ8体から囲んで棒で殴られたり、モーターヤブ部隊のガトリングガンの銃弾が12発飛んできたとしても……君のニンジャは、それぞれに対して1回の回避で全弾を回避したことになる。逆に言うと、回避に失敗すればそれを全弾受けることになるので、回避ダイスの分配に注意しなければならない。

プレイ例2:ボブのニンジャはクローンヤクザ(【カラテ】1)8体に囲まれて棒で殴られた。マスターは判定のためにダイスを8個一気に振る。すると出目4以上のダイスは5個だった。アブナイ! これを回避しないと、ボブのニンジャは5ダメージを受けて死んでしまう! ボブは当然『回避判定』を行うことにした。『回避判定』に成功すれば、ダメージを0にできる。幸い、ボブのPCの回避ダイスは残り3個あった。ダイスの出目は「3,3,4」。出目4以上のダイスが1個あるので、『回避判定』は成功。流石はニンジャだ。ボブのPCはヤクザに囲んで殴られても、かすり傷ひとつおわなかったのだ。やがてボブは自分の力を過信し、単身、ヤクザ事務所の奥へと突き進んでいった……。

プレイ例3:ボブのニンジャに対してクローンヤクザ12体が一斉射撃を行った。マスターはダイスを12個一気に振る。出目4以上のダイスは6個だった。アブナイ! これを回避しないと、ボブのニンジャは6ダメージを受けて死んでしまうため、ボブは『回避判定』を行うことにした。『回避判定』にでも成功すればダメージは0。だが『回避判定』に失敗すれば、ダメージは6である。そしてボブのニンジャの回避ダイスは……このターンに別の『回避判定』を行っていたため、残り1個しかない。ダイスを振った結果、出目は1。ボブのニンジャは回避に失敗し、6ダメージを受けて爆発四散した。仮にこのダイス1個の出目が4以上だったならば、「まとめて全弾回避」によりダメージは0となっていたのだが……。

プレイ例4:獰猛なライオン(『連続攻撃2』)が2体出現し、エミリーのニンジャ(回避ダイス残り4個)に襲い掛かる! 2体のライオンによるそれぞれ2回の『近接攻撃判定』は全て成功した。エミリーに与えられるダメージは合計4(1ダメージ×2頭+1ダメージ×2頭)となる。これは『連続攻撃』のため『時間差』扱いだが、同時に「同種のモブ敵」によるダメージでもあるため、エミリーはこれを2ダメージx2と考え、2回の『回避判定』で「まとめて全弾回避」を試みられる。エミリーは回避ダイスを2個と2個に分割し『回避判定』を行なった。最初の判定は成功。エミリーはまとめて2ダメージを回避した。しかし続く2回目の『回避判定』には失敗。結果、ライオン2頭の猛攻によって2ダメージを受けてしまった!

弾幕発生

NM専用オプションルール。モブ敵からPCに対する『射撃判定』の結果として、「まとめて全弾回避」できるような大量の射撃ダメージが発生することになった場合、NMは『弾幕発生』を宣言し、そのダメージを以下のように変換してもよい。この宣言は、PCが『回避判定』を行うかどうか決める前に行うこと:

・ダメージを6で割り、回避難易度を+2する。
・もしくはダメージを12で割り、回避難易度を+3する。
・これらは全て1発のダメージとみなされる。
・どちらの場合も端数は切り捨てられる。
・これによる基本の回避難易度上限はUH3まで。

プレイ例1:クローンヤクザ部隊からチャカ・ガンによる一斉射撃を受け、ボブに15ダメージ(『回避:NORMAL』)が与えられることになった。ボブが『回避判定』を行うかどうか決める前に、マスターはこれを1発の「2ダメージ(『回避:UH』)」か「1ダメージ(『回避:UH2』)」に変換してもよい。

プレイ例2:クローンヤクザ部隊からショットガンによる一斉射撃を受け、ボブに20ダメージ(『回避:NORMAL』)が与えられることになった。なおボブは『あらゆる射撃に対するダメージ軽減1』を常時発動させているが、『●弾幕発生』によるダメージ変換前の段階では、何の影響もおよぼさない。よってボブが『回避判定』を行うかどうか決める前に、マスターはこれを1発の「3ダメージ(『回避:UH』)」か「1ダメージ(『回避:UH2』)」に変換してもよい。1ダメージにすると『ダメージ軽減1』で防がれてしまうため、マスターは前者を選んだ。


カウンターカラテ

ニンジャが近接攻撃への『回避判定』に成功し、かつ、この『回避判定』に成功しているダイス個数が敵の『攻撃判定』の成功数を上回っていた場合、その攻撃を繰り出してきた相手に対して、カウンターカラテによる1ダメージを即座に与えてもよい(成功数でどれだけ上回っても、カウンターカラテによるダメージは1である)。

◆カウンターカラテの重要な例外ルール
近接攻撃強化能力の対象とならず、ダメージと難易度は固定である
・カウンター強化系の特殊能力によってのみ強化できる
範囲攻撃や移動攻撃に対してはカウンターできない
・カウンターへのカウンターはできない
・敵が攻撃判定に失敗した場合は、そもそも回避判定の機会が生まれないので、カウンターカラテも発生しない。
・カウンターカラテの対象にできるのは、自分と隣接状態にある敵のみである。

カウンターカラテを受けた相手は、『回避判定』を行うことができる(『難易度:NORMAL』)。いかなる場合も、カウンターに対する再カウンターは発生しない。これが『連続攻撃』の途中だった場合、カウンターカラテを回避したかダメージを受けたかに関係なく、攻撃者側は攻撃を続行する。

カウンターカラテのダメージ種別は『近接攻撃』とみなされ、アトモスフィア上昇の影響を受けるし、カウンターカラテを受ける側も『近接攻撃』に対して使用できる各種能力を発動できる。ただし『近接攻撃』を強化するような能力の効果は、通常はカウンターカラテには適用されない。

隣接する複数のモブ敵からの『近接攻撃』をまとめて全弾回避し、その成功数を上回った場合、どのモブ敵を『カウンターカラテ』の対象とするかは、自由に選択できる。

プレイ例:エミリーのニンジャはクローンヤクザ(【カラテ】1)8体に囲まれて棒で殴られた。マスターは判定のためにダイスを8個一気に振る。すると出目4以上のダイスは3個だった。これはチャンスでもある。エミリーは【ワザマエ】6で、このターンの回避ダイスはまだ6個も残っているので、全力で『回避判定』を行うことにした。ダイスの出目は「6,6,6,3,3,4」。成功数は4個だ。敵の成功数を1個上回ったので、『カウンターカラテ』が発生する! エミリーのニンジャは群がるヤクザの攻撃をハイジャンプで回避しただけでなく、そのうち1体の側頭部に鮮やかなボレーキックを叩き込んで1ダメージを与え、これを殺すことに成功した。モブ敵へのまとめて全弾回避の場合、どれに『カウンターカラテ』を与えるかはエミリーが選べるため、次のターンにドアに向かって逃げようとしていた彼女は、ドアと自分のニンジャの間にいる邪魔なクローンヤクザ1体を選んで殺すことにした。



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2-12:ダメージの解決と行動不能、死亡、爆発四散

ダメージに対して回避が行われなかった場合、そのダメージを受けたキャラクターは、直ちに自分の【体力】をダメージ分だけ失う。それがモブ敵ならば、【体力】が0以下、または【精神力】がマイナス値になった時点で戦闘不能となり、マップから取り除かれる。だがPCやボス級の敵は、よりしぶとく、より高い解像度で戦うことができる。


気絶状態

PCやボス級の敵が【体力】0となった場合、直ちに『気絶状態』となる。味方が「ZBRアドレナリン注射器」などを使用した場合のみ、『気絶状態』から蘇生できる(単なる【体力】値の回復だけでは蘇生できない)。

『気絶状態』のキャラは、死んだように倒れていることもあれば、トドメの一撃を打ち込んでくださいとでも言わんばかりに、グロッキー状態で朦朧としながら立っていることもあるが、行動不能であることに変わりはない。

『気絶状態』のキャラはまだ生きており、マップ上に残り続け、手番も回ってくる。ただし特殊な能力を持たない限り、移動や攻撃や射撃やその他の行動はできず、その場でうめいたり、命乞いをしたり、何かを味方に伝えたりするといった「些細な行動」しかできない。


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爆発四散と踏みとどまり

ニンジャの【体力】がマイナス値になった場合、直ちに爆発四散し、マップから取り除かれる。ただし、これには以下の例外がある。

ニンジャ耐久力の発露:ニンジャソウルはそう容易く死を受け入れようとはせず、精神力を振り絞ってでも肉体を生き残らせようとする。ニンジャの【体力】が-1以下になった時、【精神力】が残っているならば、それを直ちに1消費することによって、【体力】のマイナス域への減少を1食い止める。

例えば【体力】−4となるはずだったニンジャに【精神力】が5残っていたならば、直ちに【精神力】を 4消費することで爆発四散をこらえ、【体力】0の『気絶状態』にできる(【精神力】は残り1となる)。

ニンジャの【精神力】が−1以下になった場合、そのニンジャは直ちに【体力】0へと減少して『気絶状態』になるが、まだ爆発四散はしない。

それがモブ敵だった場合(および『ボス級の敵』だがニンジャではない場合)、『気絶状態』になった時点で即座にマップから取り除かれる(生きているか死んでいるかがストーリー上重要になる場合はマスターが詳細を決定し、描写してもよい)。


気絶状態からの蘇生

戦闘終了時、【精神力】1以上かつ『気絶状態』のキャラクターがいれば、【体力】1、【精神力】0の状態で自動蘇生する。より有利な条件で仲間を蘇生させられるアイテムや能力があれば、その前に使用してもよい。

戦闘終了時、【精神力】マイナス値かつ『気絶状態』のキャラクターは、自動蘇生を行えず、その場に倒れ続けている。ZBRアドレナリンなどを使用した場合のみ、【体力】1、【精神力】0の状態で自動蘇生できる。もしくは誰かに担いで運搬してもらう必要がある。


気絶状態の者に対する攻撃とカイシャク

『気絶状態』にあるボス級の敵からの【万札】や重要シナリオアイテムの回収などには1行動を要するが、全て自動的に成功する。

『気絶状態』の敵に対する攻撃は全て自動的に成功し、敵は回避を行えない。それがニンジャであり、かつ【精神力】が残っているならば、上記の『ニンジャ耐久力の発露』ルールに従って軽減を続けられる。

ニンジャは『気絶状態』の敵と隣接することで、自分の手番攻撃フェイズに『カイシャク』を宣言できる。『カイシャク』は「その他の行動」を消費するが、特に判定は必要としない。『カイシャク』を宣言した場合、その敵に対して自動的に『サツバツ!』出目6の効果が1回与えられる。

@YCNAN:「殺すつもりのなかった相手をミネウチして気絶状態に留められるか?」「自分のニンジャが爆発四散した時、暇なので代わりにクローンヤクザを動かしても良いか?」「長期のストーリー性を重視し、キャラの部位損傷や即死を発生しにくくしたい時はどうすればいいか?」……などのオプションに関しては、シナリオルール上で調整できる。「デスハイク」ルールとあわせ、これらの詳細はニンジャマスター・セクションとコアデータ・セクションに収められている。


2-13:サツバツ!

『サツバツ!』とは、ニンジャのみが発生させられるクリティカルヒットである。『近接攻撃判定』の出目に6が2個以上含まれていた場合、『サツバツ!』が発生する(『回避難易度:NORMAL』

『サツバツ!』が回避されなかった場合、攻撃側は直ちに以下のクリティカル表で内容を決定する。それがモブ敵である場合、マスターは能力値ダメージを無視し、敵を即死させても構わない(面倒なので)。内容の描写やセリフはニンジャスレイヤーを基準にしているため、適宜読み替えること。

◆サツバツ・クリティカル表

出目:結果:概要
1:痛烈な一撃:
『痛打+1』、『弾き飛ばし』
2:頭部痛打:『痛打+1』、ニューロンダメージ2、ワザマエダメージ1
3:急所破壊:『痛打+1』、ニューロンダメージ1、精神力ダメージ2
4:脚部破壊:『痛打+1』、カラテダメージ1、脚力ダメージ2
5:両腕破壊:『痛打+1』、カラテダメージ2、ワザマエダメージ2
6:心臓破壊:『即死!』もしくは『痛打+2D6』

1:「イヤーッ!」腹部に強烈な一撃が命中! 敵はくの字に折れ曲がり、ワイヤーアクションめいて吹っ飛んだ!:『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『弾き飛ばし』を与える。

2:「観念してハイクを詠め!」頭部への痛烈なカラテが命中! 眼球破壊もしくは激しい脳震盪が敵を襲う!:
『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『ニューロンダメージ2』と『ワザマエダメージ1』と『●部位損傷:頭部』を与える。

3:「苦しみ抜いて死ぬがいい!」急所や内臓を情け容赦なく破壊!:
『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『ニューロンダメージ1』と『精神力ダメージ2』と『●部位損傷:胴体』を与える。

4:「どこへ逃げても無駄だ!」敵の脚を無慈悲に粉砕!:
『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『カラテダメージ1』と『脚力ダメージ2』と『●部位損傷:脚部』を与える。

5:「これで手も足も出まい!」敵の両腕をダブルチョップ切断! 傷口から鮮血がスプリンクラーめいて噴き出す!:
『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『カラテダメージ2』と『ワザマエダメージ2』と『●部位損傷:腕部』を与える。

6:「さらばだ! イイイヤアアアアーーーーッ!」ヤリめいたチョップが敵の胸を貫通! さらに心臓を掴み取り、握りつぶした! ゴウランガ!:
『即死!』。敵が『即死耐性』を持つ場合、この効果は『痛打+2D6』に置き換えられる。

痛打

『痛打』は本来のダメージに対する追加ダメージであり、『痛打+1』などと記される。1つのダメージに対して適用できる『痛打』はどれか1個のみで、累積しない。例えば「戦闘用バイオサイバネ」を装備したキャラは基本ダメージが2なので、『痛打+1』を得た場合、合計3ダメージとなる。

プレイ例:カタナを装備したボブのニンジャは、『痛打+1』を得られる『●戦闘スタイル:強攻撃』で『攻撃判定』を行い、成功した。またこの判定の出目には【6,6】が含まれており、その出目は2だった。『サツバツ!』出目2の効果は「痛打+1、ニューロンダメージ2、ワザマエダメージ1」だが、既に『痛打+1』を得ているため累積せず、最終的に敵に与えるのはダメージ2(1+痛打1)、ニューロンダメージ2、ワザマエダメージ1となる(ダメージ3にはならない)。

弾き飛ばし

この効果を生み出したのが【カラテ】や【脚力】を用いた判定だった場合、敵は攻撃者の【カラテ】値に等しいマス数だけ、真後ろに向かって一直線に強制移動する(他のあらゆるキャラを無視する)。それ以外の能力値(【ワザマエ】など)を用いた判定だった場合、軽減が行われる前の最終ダメージ値を強制移動のマス数とする。

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弾き飛ばし方向は、敵との位置関係によってはナナメ方向もありうる。壁や障害物に接触したならば、強制移動はそこで終了し、敵は激突による1ダメージを直ちに受ける(『回避難易度:NORMAL』)。壁などとの激突時に他のキャラと重なってしまう場合、弾き飛ばされた敵は、なるべく壁沿いになるよう好きな方向に最低限の移動を行い、重なりを解消する。

即死!

即死は即死。この攻撃を回避できなかった場合、残り【体力】や【精神力】や『ダメージ軽減』値に関係なく、敵はカラテやカタナで首を刎ねられたり、カラテチョップ突きの心臓貫通などを受けて即死する。敵が『即死耐性』を持つ場合、『即死!』の効果は『痛打+2D6』に置き換えられる。敵が『即死耐性』と『ダメージ軽減』を両方持つ場合、最終ダメージに対する『ダメージ軽減』を通常どおり行える。

シナリオルールなどで規定がある場合、もしくはニンジャマスターが会話イベントなどを起こさせたい場合、敵は即死ではなく【体力】0、【精神力】0で『気絶状態』となる。

ナムアミダブツ!

『近接攻撃判定』の出目に「6が3個以上」含まれていた場合、『ナムアミダブツ!』と呼ばれる特殊な『サツバツ!』が発生する。その内容は『サツバツ!』と同じだが、回避難易度が+1される。『サツバツ!』が発生しない条件下では『ナムアミダブツ!』も発生しない

【6,6,6】や【6,5】や【5,5】で『サツバツ!』が発生する能力を使用している場合でも、『ナムアミダブツ!』のための出目目標変化が明記されていないならば、通常どおり攻撃判定に6の出目が3個以上(【6,6,6】)あった時のみ『ナムアミダブツ!』となる。

『サツバツ!』自体を他の効果に置き換える能力(ヒサツ・ワザなど)を使用した場合は例外であり、回避難易度+1ではなく、その能力が持つ個別の回避難易度をそのまま使う。

能力値ダメージと部位損傷

『サツバツ!』などによって発生する【カラテ】【ニューロン】【ワザマエ】【脚力】の減少は、一時的な能力値ダメージとみなされる。「戦闘終了時に回復」などの例外がない限り、能力値ダメージはシナリオ終了時に自動的に回復する。繰り返すが、それがモブ敵である場合、マスターは能力値ダメージを無視し、敵を即死させても構わない(面倒なので)。

『サツバツ!』などによる部位損傷を受けた場合、対応する部位の『●部位損傷』を直ちにキャラクターシートにチェックしておくこと。例えば『●頭部損傷』『●胴体損傷』などだ。同じ箇所に複数回受けた場合、それをx2やx3などしてメモしておく。シナリオ終了時にこれらのx数は全て消すが、『●部位損傷』自体は治療を行うまで残ってしまう。

1人のキャラは、1ターン中に何回でも能力値ダメージを受ける可能性がある。ただし能力値ダメージをどれだけ受けたとしても、シナリオ内での【カラテ】【ニューロン】【ワザマエ】【脚力】の下限値はそれぞれ1である。

部位損傷とサイバネの関係

破壊された部位に戦闘用サイバネ/バイオサイバネが埋め込まれていたとしても、通常どおり能力値ダメージと『●部位損傷』を受けるだけでよく、対象部位のサイバネ効果まで使用できなくなるわけではない。ただし、それらの部位の治療費(修理費)が高くなってしまったり、サイバネ部位の破壊時に追加ダメージを与えるような特殊スキルの対象となることはありうる。

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能力値ダメージや部位損傷の回復

シナリオ終了時点で、所属組織による最新テックの応急手当て(もしくは自身のニンジャ耐久力などの恩恵)を受けたとみなされ、そのキャラが受けている全ての能力値ダメージは自動的に回復する。

ただし、この時点ではまだ『●部位損傷』を取り除くことはできない。例えば『●部位損傷:頭部』を得たキャラは「片眼を眼帯で覆っている」などの描写となる(外見変化がなくともよい)。各『●部位損傷』は、対応部位のサイバネ化や特殊な再生能力の使用、もしくは余暇での治療によってのみ取り除くことができる(余暇ルールを参照)。

『●部位損傷』が1箇所でも残ったまま次のシナリオを開始した場合、あらゆる判定に難易度+1ペナルティを受けてしまう。2箇所以上残っている場合は、難易度+2ペナルティを受けてしまう。

プレイ例:ボブのニンジャは戦闘中にニンジャスレイヤーから『サツバツ!:両腕破壊』を受けた。【カラテ】と【ワザマエ】に2ダメージを受け、『●部位損傷:腕部』をメモする。次のターンにボブのニンジャはまた『サツバツ!:両腕破壊』を受けた。【カラテ】と【ワザマエ】にさらに2ダメージを受ける。『●部位損傷:腕部』x2のようにメモを増やす。

これらのダメージにより、ボブのニンジャは『攻撃判定』や『射撃判定』のダイスが-4されているはずだ。【カラテ】や【ワザマエ】が最も高い能力値だったならば、各ターンに得る回避ダイスも減っているだろう。

シナリオ終了時、ボブのニンジャが生きていれば、減少していた能力値は自動回復する。ただし、治療を行うまでは『●部位損傷:腕部』は残り続ける。もう細かい数字を記録しておく必要はないので、『●部位損傷:腕部』x2ではなく、『●部位損傷:腕部』とだけ書いておけばよい。


これでニンジャも死と隣り合わせであることがわかっただろう。もちろんニンジャは無力ではない。あらゆる手を尽くして生き残ろうとする。死の危険が目前に迫った時、あるいは何としても敵に一撃を叩き込みたい時などに、ニンジャはニンジャアドレナリンと呼ばれる脳内物質を瞬時に過剰分泌し、超人的な集中力を得る。

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2-14:精神力の使用:ニンジャアドレナリン

全てのニンジャは『●アドレナリン・ブースト』のルールを使用できる。これは自分の行動時だけでなく、敵からの攻撃の回避にも利用できる。

アドレナリン・ブースト(戦闘中1回のみ)

ニンジャは「ニンジャアドレナリン」と呼ばれるエンドルフィンやアドレナリンなどの脳内物質カクテルを瞬時に過剰分泌することにより、周囲の動きをスローモーションとして認識できる。高速で迫り来る弾丸やスリケンも、透明なゼラチンの中を進んでいるかのように緩慢に見えるのだ。

ニンジャは戦闘中1回のみ、自分が判定を行う直前に【精神力】を1消費して『アドレナリン・ブースト』を使用してもよい。使用すると、直ちに以下のいずれかの効果を得られる:

・これが自分以外の手番ならば、そのフェイズ中に自分が行うあらゆる『回避判定』の難易度を−1する。この効果はフェイズ終了まで持続する。

・これが自分の攻撃フェイズならば、
直ちに『集中状態』に入る。この効果はフェイズ終了まで持続する。


プレイ例:エミリーのニンジャに対して、敵ニンジャが近接攻撃を繰り出した。敵ニンジャの【カラテ】は4なので、ニンジャマスターはダイス4個を一気に振る。出目は「1,4,6,6」。出目が4以上だったダイスは3個。しかも、そのうち2個は6であるため『サツバツ!』が発生する。アブナイ! これを回避しないと、エミリーのPCはクリティカルヒットを受けてしまう! 

エミリーのニンジャの回避ダイスは残り6個。『難易度:NORMAL』の回避判定』に成功すれば、ダメージは0。だが回避判定に失敗すれば、ダメージは『サツバツ!』である。エミリーは【精神力】を1消費して『アドレナリン・ブースト』を宣言。回避難易度をEASYまで引き下げた。ダイスを振った結果、出目は「1,2,3,6,6,6」。成功数4であり、これは敵ニンジャの攻撃判定成功数3を上回っている。エミリーのニンジャは敵ニンジャの『近接攻撃』を回避しただけでなく、『カウンターカラテ』による1ダメージを与えた! 『アドレナリン・ブースト』を使っていなければ成功数は3だったので、『カウンターカラテ』は発生しなかっただろう。


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人々は知らぬ。この街が邪悪なニンジャ組織によって支配されていることを。そしてニンジャを殺す者……ニンジャスレイヤーがいることを……!

2-15:DKKとWasshoi!判定

ニンジャスレイヤーは常に邪悪なニンジャを探し回っており、君のニンジャと面識があるかどうかに関係なく、邪悪行為を行なっていれば問答無用で殺しにくる。これをシステム上で再現するのが【DKK】だ。


DKKポイント

シナリオや余暇で邪悪な行動を取るたびに、君のニンジャの【DKK】値は上昇してゆく(上限12)。【DKK】が溜まるとニンジャスレイヤーの出現確率が高まるが、カルマロンダリングによる成長を加速できる。多くのシナリオにおいて【DKK】の獲得はオプション的位置付けであり、プレイヤーがリスクを承知で行う行動となる。

【DKK】は「邪悪なニンジャ」のロールプレイと、それによって引き起こされる「ニンジャスレイヤーによるスレイ」という一連の流れを、きわめてゲーム的に再現するためのルールでもある。君のニンジャが人間性と邪悪さの間で葛藤するような深いドラマをロールプレイしたい時は、このルールに縛られなくてよい。

また【DKK】ルールを使用するのは、君のニンジャがソウカイヤなどの邪悪なニンジャ組織に所属している場合のみだ。【カルマ:善】ルートに進み、人間性と奥ゆかしさを取り戻したニンジャは、【DKK】ルールを使用しないし、そのような行動を取ろうとはしない(ゲームに慣れて、あえて邪悪なストリートニンジャをプレイしたい場合などは当然例外だ)。

DKKの獲得目安

◆一般的な【DKK】獲得の目安(あくまで一例)

【カルマ:善】のNPCを殺害/拷問/金品強奪:【DKK】+1/1人につき
【カルマ:善】のNPCを『サツバツ!』で殺害:【DKK】+D3/1人につき
【カルマ:善】の重要NPCを拷問/部位損傷させる:【DKK】+D3/1回につき
【カルマ:善】の重要NPCを殺害/気絶させる:【DKK】+2D3/1人につき
【カルマ:善】の重要NPCを『即死!』させる:【DKK】+2D6/1人につき

※キャンペイグンごとに尺度は自由に変更してよい。またビールを飲みながらなどのカジュアルな単発ゲームの場合、気分で【DKK】を与えてよい。

Wasshoi!判定

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」

「シナリオで規定された各種タイミング」、「1ターン中に合計3以上の【DKK】が発生したタイミング」、および「ニンジャマスターが適切と考えるあらゆるタイミング」で、ニンジャマスターは『Wasshoi!判定』を行ってもよい。これは特殊な判定で、常に2D6を振り、その出目を合計する。

『Wasshoi!判定』の2D6の判定目標値は、その場で最も高い【DKK】値を持つニンジャの【DKK】値である(『◉ニンジャソウルの闇』などを持つ場合、この値に修正が加わる)。通常の判定とは異なり、2D6の出目合計が目標値以下であれば、この判定は成功となる。

判定が成功だった場合、続けて「死神のエントリー判定表」で出現方法を決定する。それが戦闘シーケンス中だった場合、『Wasshoi!判定』は基本的にターン終了フェイズの最後に発生する。

◆死神のエントリー判定表

1 : 高所からの回転着地!タタミ四枚の距離で睨み合った!:
標的ニンジャから3または4マス離れた任意のマスに、【殺】コマを置くこと。

2:ドアを蹴破って出現!:
標的ニンジャがいる部屋の任意のドアの隣に【殺】コマを置くこと。なお、ドアにあらかじめ鍵をかけるなどの行為は全て無駄である。

3:KRAAAAASH! 窓を突き破り出現!:標的ニンジャがいる部屋の任意の窓の隣に【殺】コマを置くこと。【殺】コマが隣接している間、その窓は脱出用として使用できなくなる。

4:天井破壊や床破砕または垂直リフト射出により出現!:標的ニンジャから2マス離れた任意の場所に【殺】コマを置くこと。激しい恐怖や動揺により、次のターンの終了時まで、その場にいる【DKK】1以上のニンジャ全員は『連続側転難易度』が+1される。

5:冷蔵庫や金庫から突如出現!:そのマップ上に存在するトレジャーボックス内に、ニンジャスレイヤーが潜んでいた。標的ニンジャから最も近いトレジャーボックス1個(もしくは適切な障害物や爆発物)の隣に【殺】コマを置くこと。激しい恐怖や動揺により、次のターンの終了時まで、その場にいる【DKK】1以上のニンジャ全員は『連続側転難易度』が+1される。

6:「行き先はジゴクですよ」:マップ上にいるNPC1人(標的ニンジャから最も近くにいる者)が、実はニンジャスレイヤーの変装であった。そのNPCのコマを【殺】に変更せよ(本物のNPCがどこにいったのかはニンジャマスターが後で考える)。激しい恐怖や動揺により、次のターンの終了時まで、その場にいる【DKK】1以上のニンジャ全員は『連続側転難易度』が+2される。

※窓、ドア、家具、NPCなど「どう読み替えてもマップ上に適切なものが存在しない」オブジェクトから死神が出現することになった場合、ダイスを1回だけ振り直すこと。2回目も同様だった場合、もう振り直しは行わず、ニンジャマスターが任意の出目を決めること。

『Wasshoi!判定』で出現したニンジャスレイヤーが最初の攻撃の標的にするのは、最も高い【DKK】値を持つニンジャである(「標的ニンジャ」と呼ぶ)。以降はニンジャマスターがその都度自由に標的を設定するが、シナリオによっては何か手順などが明記されていることもある。

シナリオによっては、ニンジャスレイヤーの出現パターンや動かし方に特殊なルールが追加されたり、強化されることもある。これらはサンプルシナリオで実例とともに解説される。


ニンジャスレイヤーの能力値

◆ニンジャスレイヤー (種別:ニンジャ)
カラテ    13  体力   13
ニューロン  7  精神力  9
ワザマエ   10  脚力   7/N
ジツ     0  万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  13/10/7/7
回避/精密/側転/発動  14/10/10/-

回避難易度修正: 対近接攻撃(難易度−1/ジュージツ)、対スリケン射撃(難易度−1/見切り)
ダメージ修正: 出目【6】を含んで成功した『近接攻撃』は、『痛打+1』を得る。

◇装備や特記事項
 家族の写真、パーソナルメンポ、伝統的ニンジャ装束(能力値反映済み)、
 『●連続攻撃3』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、
 『◉ランスキック』、『◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇』、
 『◉ヘルタツマキ』、『◉ツヨイ・スリケン』、『◉ナラク・ウィズイン』、『◉即死耐性』

ニンジャスレイヤーの共通専用スキル

◉ヘルタツマキ:精神力を1消費し、『ワザマエ:HARD』で判定。2ターン連続使用不可。自身を中心とした5x5マス以内の全員に対し、スリケンによる1ダメージ(『回避:NORMAL』)。これは射撃ではなく特殊な範囲攻撃とみなす。【6,6】:ダメージ2、『回避:HARD』となる。

◉ツヨイ・スリケン:非移動時のみ使用可能。2ターン連続使用不可。精神力を1消費し、『ワザマエ:U-HARD』で判定。見えている敵1体に対し、スリケン射撃によるD6ダメージ(『回避:U-HARD』)。

◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇:『ニンジャソウルの闇』を持つ敵1体だけを攻撃/射撃の対象とする場合のみ、『攻撃判定ダイス+X』/『射撃判定ダイス+X』のボーナスを得る。Xは“対象が持つ各『ニンジャソウルの闇』およびそれを前提とする各スキルの◉数合計”の2倍に等しい。例えば『◉ニンジャソウルの闇』3個と『◉ダークカラテ・エンハンスメント』を持つ敵に対しては、8個の判定ダイスボーナスを得られる。

◉ナラク・ウィズイン:【体力】が0以下になっても直ちには爆発四散せず、そのフェイズ終了時に特殊な『行動不能』状態となる。この状態のニンジャスレイヤーは異様なアトモスフィアを漂わせており、「カイシャク」できない。『行動不能』状態からD3ターン経過後のターン終了フェイズに、ナラク・ニンジャとして復活する。『行動不能』状態のニンジャスレイヤーに対して攻撃した場合、直ちにナラク・ニンジャ化する。『行動不能』状態のニンジャスレイヤーから【万札】を回収することは可能である。

プレイ例:ボブたちはニンジャスレイヤーに襲撃されてしまった。ボブのニンジャとエミリーのニンジャは、どちらもニンジャスレイヤーと隣接状態にある。ニンジャスレイヤーは【カラテ】13かつ『●連続攻撃3』を持つため、マスターは攻撃ダイスを4個、4個、5個に分割して3回攻撃を行うことにした。そして最初の1発をエミリーに、残り2発をボブに振り分ける。その出目は「6,4,1,1」「5,3,1,1」「6,6,6,2,1」だった。1つずつ順番に見ていくと、まずエミリーへの1発は命中。しかも【6】が含まれているのでダメージ2(1+痛打1)だ。エミリーは4個の回避ダイスを振り、うち2個のダイスが『回避判定』に成功。成功数は同じなので、カウンターカラテは発生しないが、2ダメージを受けるという事態は回避できた。エミリーはほっと息をつく。続いてボブだ(残り回避ダイス6個)。連続攻撃はまとめて回避できないので、1つ1つ回避を行わねばならない。ニンジャスレイヤーによるボブへの1発目は成功数1、普通に命中で、回避しなければボブは1ダメージだ。カウンターカラテの好機なので、ボブはここで4個ほどダイスを振ろうかとも一瞬考えたが……次に回避しなければならない2発目が『ナムアミダブツ!』であることに気づいた。悩んだ末、ボブはこの1ダメージを敢えて受けることにし、6個の回避ダイス全てで続く『ナムアミダブツ!』の回避を試みることにした。果たしてこの決断は正解だったのか……? それはこの後の出目次第だ。


2-16:自動獲得スキル(連射や連続攻撃の処理)

🔰最初の数回のゲームではこのセクションを読み飛ばしてかまいません。初めのうち、これらのルールはニンジャスレイヤーなど『連射』や『連続攻撃』を持つ強力な敵が現れた場合のみ使用します。

●マークを持つスキルは「自動獲得スキル」と呼ばれる。これらはキャラの能力値が成長によって増加し、各種前提条件を満たすたびに、自動的に獲得されてゆき、いかなるスキルスロットも圧迫しない。つまり前提条件さえ満たせば、1人のキャラは●スキルを何個でも持つことができる。

これらの前提条件は、そのキャラの素の能力値で満たしている必要があり、各種能力やアイテム(例えば『☆ヘンゲヨーカイ・ジツ』など)の効果によって一時的に能力値が増えたとしても、これらの●スキルまで一時的に獲得できるわけではない。同様に、能力値ダメージによる能力値減少も、●スキルの使用前提には影響を与えない。何らかの理由で恒久的に能力値が減少した場合(基本的には余暇で自主的に能力値を下げた場合のみ)、これらの●スキルも失われてしまう。

プレイ例:エミリーのニンジャは【カラテ】10で、『●連続攻撃2』(前提【カラテ】7以上)を持っている。彼女は戦闘で『☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV3』を使用し、一時的に【カラテ】13となった。これはあくまでも一時的な修正なので『●連続攻撃3』(前提【カラテ】13以上)を得られるわけではない。このジツの効果が切れた後、エミリーは腕に『サツバツ!』を複数回受け、【カラテ】を6にまで減少させてしまった。能力値ダメージでは●スキルは失われないため、彼女はこの状態でも『●連続攻撃2』を使用できる。

なお能力やアイテムの中には、それを使用/装備している間だけ、一時的に●系スキルと同名の効果をもたらすものがある(例えば『◉滅多打ち』による『連続攻撃2』や、『▷マルチロックオン照準』がもたらす『●マルチターゲット』など)。これらの効果は、そのキャラが同名の●スキルの前提を満たしていなくとも問題なく使用できる。

●連続攻撃2        【カラテ】7
●連続攻撃3        【カラテ】13
●連射2           【ワザマエ】7
●連射3           【ワザマエ】13
●マルチターゲット   【ニューロン】7
●時間差          【ニューロン】7
●回避予知        【ニューロン】13

●連続攻撃

前提:連続攻撃2【カラテ】7、連続攻撃3は【カラテ】13で自動取得。

『近接攻撃ダイス』の個数を自由に分割し、最大X回までの『近接攻撃』を、最大でX体までのターゲットに対して割り振れるようになる。最初に全てのターゲットとそれぞれの分割数を宣言し、判定を行うこと。1体のターゲットに対し、『連続攻撃』によって2回以上の『近接攻撃』を行った場合、それは『時間差』とみなされ「まとめて回避」ができない。

『連続攻撃+X』の扱い:このルールを持つ能力は、そのキャラの『連続攻撃』の回数をXだけ増加される。『連続攻撃』を持たない場合は『連続攻撃1』とみなしてXだけ増加させる。同時に複数の『連続攻撃+X』が有効となる場合、その中で最も高い値のみを使い、他は無視する。また『●連続攻撃2(固定)』などと書かれた特殊な戦闘スタイルを使用する場合、その連続攻撃回数は固定であり、+Xなどの効果を得られない。

プレイ例:ケビンのニンジャは【カラテ】13であり、『連続攻撃3』を持ち、さらに『◉ニンジャソウルの闇』による『攻撃ダイス+1』を得ている。彼は敵のクローンヤクザ1体(体力1)およびスモトリヤクザ1体(体力2)と隣接することになった。この手番で全てを片付けたいと思ったケビンは、最大3回まで行える近接攻撃を、クローンヤクザに1回、スモトリヤクザに2回割り振ることにした。また攻撃ダイスは全部で14個(13+1)あるので、これをクローンヤクザに4個、スモトリヤクザに5個+5個で割り振ることにした。この『近接攻撃判定』は全て成功し、ケビンのニンジャはクローンヤクザに1ダメージを、スモトリヤクザに2ダメージを与えた。

●連射

前提:連射2は【ワザマエ】7、連射3は【ワザマエ】13で自動取得。

自分が投擲するクナイやスリケンの『射撃判定』時に、『連射X』のルールを使用できる。『射撃ダイス』の個数を自由に分割し、最大X回までの『射撃判定』を行えるようになる。キャラの装備している銃器がもともと『連射』値を持つ場合、その銃器を使う時はその銃器の持つ『連射』値を、クナイやスリケンなどを使う時は自分自身の持つ『連射』値を使う。

『連射+X』の扱い:このルールを持つ能力は、そのキャラの『連射』の回数をXだけ増加される。『連射』を持たない場合は『連射1』とみなしてXだけ増加させる。同時に複数の『連射+X』が有効となる場合、その中で最も高い値のみを使い、他は無視する。

『連続攻撃』値の代わりに『連射』値を使用:【ワザマエ】で『近接攻撃』を判定できるような戦闘スタイルを使用した場合、「不可」などの但し書きがない限り、現在の『連射』値を『連続攻撃』値に読み替えられる。ただし『連射+X』の効果は使用できない。

🆙プレイ例:ボブのニンジャ(【ワザマエ】7、【ニューロン】5)の前に、2体のクローンヤクザが立ちはだかった。片方はショットガンを、片方はチャカガンを装備している。ボブは一気にこれを始末したいと思ったので、手番「攻撃フェイズ」の開始時に『●連射2』による通常射撃を宣言。スリケンは標準で『マルチターゲット』を持つため、この射撃は2体のターゲットに分割できる。ショットガン持ちを確実に始末したかったボブは、射撃ダイスの分割を4個と3個にすることにした。判定の出目は「4,4,2,1」と「6,3.1」。どちらも難易度はNORMALなので成功! 「「アバーッ!」」クローンヤクザ2体は額にスリケンを食らって即死した!

●マルチターゲット 🆙

前提:【ニューロン】7で自動取得

『マルチ可』のルールを持つ射撃武器で『連射』を行う際、2体以上のターゲットに対して『射撃』を割り振れるようになる。

最初からルール内に『マルチターゲット』を持つ射撃武器や射撃系のジツ、例えばスリケンやカラテミサイルなどは、使用者が『●マルチターゲット』を持っているかどうかに関わらず、2体以上のターゲットを選べる。

●時間差

前提:【ニューロン】7で自動取得

1体のターゲットに対し、自らの『連射』によって2回以上の射撃を行った場合、そのターゲットは「まとめて回避」ができなくなる。

『時間差可』の扱い:『時間差可』と書かれたルールを持つ武器や能力は、そのキャラ本人が『●時間差』を持っている場合のみ、『時間差』の効果を使用できる。スリケンは当然ながら『時間差可』である。

●ニンジャ第六感 🆙

このニンジャのニューロンは超自然の領域と結びついており、しばしば一瞬先の光景を幻視したり、敵の動きや危険を第六感によって察知できる。

前提:【ニューロン】13で自動取得

シナリオ中1回限り。自分が行った判定いずれか1個を、直ちに振り直すことができる(D6や2D6などで行う決定表や値の決定は判定とみなさない)。

これはあらゆる判定を対象にでき、失敗した判定だけでなく、成功している判定を敢えて振り直すこともできる。それが『連続攻撃』や『連射』などだった場合、全体ではなく、そのうちの1発分だけが対象となる。敵が既に1回でも『回避判定』を行っている場合、以降の『連続攻撃』や『連射』を振り直すことはできない。

振り直しを宣言した場合、同じダイス数と同じ難易度で、直ちに一度だけその判定をやり直すこと。振り直し前の結果の方が良かったとしても、振り直し後の結果が採用され、元の出目に戻すことはできない。また、振り直しの振り直しもできない。

改訂により『●回避予知』から変更されました


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2-17:アトモスフィアとハードモード

ニンジャのイクサは劇的だ。一進一退の攻防、回避に次ぐ回避によって大気中のカラテが高まり、やがて不可避の劇的クライマックスを迎える。ゲームでもこれは同様であり、双方ノーダメージの戦闘が何時間も続いてしまってはスリルどころか退屈でしかない。このようなダレを回避するためのルールが「ハードモード・アトモスフィア」である。

『ボス級の敵』を含む重要な戦闘シーケンスが始まったら、ニンジャマスターはその経過ターン数をカウントしておくこと。この戦闘が3ターン以上経過した場合、次の4ターン目の「ターン開始フェイズ」にアトモスフィアはハードモードに切り替わる。ハードモード時は、PCやボス級の敵によって与えられる近接攻撃ダメージの回避難易度が+1される。つまり通常は出目4以上だったものが、5以上での成功となる。

それでも戦闘が決着しない場合、さらに3ターン経過後(計6ターン経過後)にウルトラハードモードとなる。ウルトラハードモード時は、近接攻撃ダメージの回避難易度が+2され、スリケンやジツについても+1される。一度上昇したアトモスフィアは、その戦闘が終了するまで下がることはない。またモブ敵によるダメージや、環境効果によるダメージは、影響を受けない。

◆アトモスフィア上昇の影響

        通常時   / ハードモード  /  Uハードモード

近接攻撃      +0  / +1  / +2
スリケン      +0  / +0  / +1
ジツ        +0  / +0  / +1
ハッキング     +0  / +0  / +1
銃器        +0  / +0  / +0
モブ敵によるもの    +0  / +0  / +0


・その射撃が「スリケン」か「銃器」かは、種別を参照。

・『回避難易度』が設定されているジツやハッキングのみ対象。『抵抗判定』や『対抗判定』はアトモスフィア上昇の影響を受けない。

・以下のダメージは、アトモスフィア効果を調べる上で『近接攻撃』扱いとする(それがモブ敵によるものでない限り):「移動を伴う攻撃(轢殺攻撃など)」「カウンター」「弾き飛ばしによる激突」

アトモスフィアルールは、シナリオが適切に機能することを助けるためのツールだ。シナリオによっては、特殊な条件によるアトモスフィア上昇タイミングや経過ターン数などが定められていることもある。また、最終的なアトモスフィアの上昇タイミング、および経過ターン数の仕切り直しなどの決定権は、常にニンジャマスターにある。

ただし、アトモスフィアの変更宣言は必ずターンの終了時に行うこと。

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おつかれさまでした。コアルールは以上です。ここまで読んだら、あなたはいつでもサンプルキャンペイグンをプレイできます。3章ではキャラクターの装備やスキル、4章から5章では成長や余暇などについての詳細なルールがまとめられています。

>>>装備ルールへ進む  >>>サンプルキャンペイグンへ進む


補足:様々なプレイスタイルとオプション

ニンジャスレイヤーRPGはゼンめいたミニマルさを目指している。つまりこれは、ロールプレイ要素を最小限におさえ、ボードゲーム的な感覚で気軽にプレイが行えるようなシステムを意味する。

しかし中には、ロールプレイやストーリーテリング要素を重視したいと考えたり、できるだけダイスロール回数を減らしたいと考えるグループもあるだろうから、そのためのオプションを選択肢として後ほど収録することにした。また、IRCなどを用いたオンラインセッションなのか、古き良きフェイストゥフェイス形式のセッションなのかによっても、ダイスロールの頻度やロールプレイの余地などに選択肢を設けておいたほうがよいとも我々は考えた。

これはあくまでもプレイスタイルの違いであり、どれが公式推奨であるとか、どれが上級ルールであるとか、そういう区別は無い。また「このオプションは採用し、これはしない」など、君のグループ内のレギュレーションを決めるのもいいことだ。どれを選ぶにせよ、最も大切なことは、全員が目指すゲームの方向性をある程度共有し、奥ゆかしい姿勢でセッションに臨むことである。ラブ、リスペクト、そしてラブの精神を忘れずにね。

また、もし君のグループにこれまでアナログゲームの経験がほとんどない場合は、今ここで書かれたことを気にしすぎず、とりあえずルール通りに一度プレイしてみて、何が起こるのかを確かめてみるのがいいだろう。

 - メインデザイナー フィリップ・N・モーゼズ


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補足:初版ルールとの大きな違い

ここでは初版ルールでプレイしていた人のために、最も大きな(そして前の版のクセで間違えやすい)変更点だけをまとめています。その他、細かな数値の変更などはここには書かれていないので注意してください。

・武器スロットのルールが大きく変わったため、武器切替によるペナルティは発生しなくなりました。3章の装備ルールもあわせて読んでください。

・各種武器の戦闘スタイルが整理されました。カタナは4種類ではなく2種類の戦闘スタイルを持ちます。

・「素手&スリケン」以外を装備している時のスリケン射撃ペナルティは、装備にかかわらず、「咄嗟のスリケン投擲」として一律で難易度+1となりました。『連続側転』などによる難易度上昇と累積します。

・🆙スリケンは標準でマルチターゲットルールを持ちます。【ニューロン】6以下の状態で先にスリケンの2連射を獲得しても、あなたのニンジャはもう悲しくありません。

・『連続側転』による回避ダイスは、次のターンではなく、それを行った直後に獲得できます。

・『連続側転』に失敗した場合でも、続く「攻撃フェイズ」で行動難易度に+1ペナルティを受けます。

・【精神力】による自動成功は得られなくなり、「●アドレナリン・ブースト」に置き換わります。

・【体力】がマイナス値になることを、【精神力】の消費によって堪え、気絶状態のままでいることができます。これまでであれば死亡や爆発四散が起こっていた状況でも、PCが脱落しにくくなります。

・『サツバツ!』などによる残虐万札ボーナスは、基本発生しません。特殊な設定のシナリオでのみ発生します。

・ダメージボーナスの一部は『痛打』に置き換えられました。『痛打』同士は累積しません。

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