【プラグ・ザ・デモンズ・ハート】#3
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鬼瓦パンケーキからゆっくりと降下してきたニンジャは超然とオジギしてみせた。クロームの装甲装束で身を固め、壮麗なアトモスフィアを纏ったニンジャには、容易く崩せる隙はなかった。仰々しく、ニンジャの頭上に社章がホロ投影された。
「ヤナマンチ」
イグナイトは顔をしかめ、呟いた。
オーストラリア大陸はオムラ・エンパイアが一大勢力を築いているが、それを切り崩そうと複数の暗黒メガコーポが活動している。ヤナマンチ・インターナショナルはそのうちのひとつだ。
ヤナマンチはリバースエンジニアリング技術に長けており、他の暗黒メガコーポの一世代前のプロダクトを模倣・量産。開発コストを抑え、生産力とプロダクト最適化に注力し、数の利で制圧する生存戦術を採用している。
だがヤナマンチのニンジャは大量生産品ではない。しかも見たところ傭兵ではない。正社員エリートだ。
「ドーモ皆さん。ヤナマンチのスカラーです」
オジギから顔を上げたヤナマンチのニンジャは尊大にアイサツした。アイサツされれば応えねばならない。
「ドーモ。スレイプニルのイグナイトです」「同じく。ヒュージシュリケンです」「ドーモ。ジェット・ゾクのタイラシンです」
「この座礁トレーラーの所有権は弊社ヤナマンチが主張させてもらう」スカラーは言った。「残念だが、貴様らの今日のアガリは無しだ。高度な企業間戦争のステージにおいて、ゴミ漁りのハイエナの出る幕なし。このオムラ座礁トレーラーは我々の好きにさせてもらう」
「な、なんだと……? 勝手な事言いやがっ」「ハイエナ上等だよ!」
逃げ腰になりながら呻くタイラシンに、ヒュージシュリケンの怒声がかぶさった。
「何がヤナマンチだ。偉そうにしたって、やってる事は要は泥棒だろうがよ。アタシらと同じだ! そンなら荒野の掟に従え。最初に見つけたトレーラーだから、アタシらのものだ!」
「そういうこッた」
イグナイトは両手にカトンをみなぎらせ、ヒュージシュリケンの言葉を受けた。
「だけどアンタはとっとと得物を回収しろッての」「アイ、アイ!」
ヒュージシュリケンは弾かれたダイシュリケンをめがけ走り出した。イグナイトはそれを庇うように身構えた。スカラーの目が嘲笑と敵意に細まった。タイラシンが慌てた。
「オイ、なに勝手にイクサやる事に決めて……」
BOOOM! BOOOOM! BOOOOOOM!
「グワーッ!」
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