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【デッド! デダー・ザン・デッド!】#14

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 全き闇を照らすのは、ヤモトの頭上数十インチ地点を回転する数枚のオリガミの桜色の光だった。後は各々のニンジャ三人の暗視力だ。特に目が効くのはブルーブラッドだ。カルーセル殺戮空間の直上はアリの巣じみた迷宮通路になっていた。通路のあちこちに、いつの時代に作られたものともわからぬ錆びた鎖と、そこに繋がれて力尽きたと思しき、しなびた骸骨の残骸がへたり込んでいた。

 既にシナミバラ・ダンジョンの相当内部にまで侵入している。デッドムーンはネズミハヤイDIIIで待機しているが、既にIRC通信が可能な領域ではなくなっていた。

「フジサンの中がこんな事になっていたなんて」ヤモトは呟いた。「皆が遠くから眺める山が、実際こんな風に……」

「奴らがこの巨大施設をイチから作ったわけではない」ブルーブラッドは説明した。「奴らはINWを襲撃して技術を奪い、暗黒メガコーポの投資下でメガトリイの遺産を利用した」

「メガトリイ?」

「旧時代の絶対的テック企業だよ。旧時代においてフジサンのトリイはメガトリイ社によって利用され、それ自体が巨大なアンテナの役目を果たしていた。観測施設がもともとこのフジサンに存在していたのだ。奴らはそれを利用して陰謀のアジトたらしめた」

「奴らの目的は?」

「畢竟、世界征服だ!」ブルーブラッドは言った。「ゾンビーで地球を埋め尽くし、その頂点に支配階級として君臨しようというわけだな。まったくくだらないと思わないかね。価値のないものを征服することに、いったい何の意味が? メガトリイの居抜き物件に居座り、INWの研究の表層をさらい、借り物のジェノサイドのゼツメツ因子を用い、その大目的すらも、かつてありしアマクダリ・セクトの歪なエピゴーネンだ。何より許せないのはセンセイと名乗っていることだ! 嗚呼! リー先生!」

「とっとと歩けェー」

 立ち止まって天を仰いだブルーブラッドを、エルドリッチが忌々しげに振り返った。

「そういうよくわからねェ話は面倒くせェー……だいたいテメェはそのクソ野郎にしてやられたクソ野郎以下のクソ野郎ッて話だァー」

「何たるシツレイ」ブルーブラッドは青ざめた。「本来存在することそのものが間違いである筈の残りカスに、このぼくが、そのような侮辱を受ける謂れは……」

「待って」

 ヤモトが立ち止まった。熱い風が下から噴き上がり、彼らの髪や衣類をはためかせた。崖だ。ぼんやりと赤い光源が遥か下で脈打っている。マグマである。そして心もとない吊り橋が数十メートル先の対岸とこちら側とを繋いでいた。

「フジサンは休火山だ」製鉄所じみた熱の中、ブルーブラッドが顔をしかめて言った。「あれはマグマだ。なんと不快なことか。先へ進むとしよう!」

「……うん」

 ヤモトは頷いた。ブルーブラッドは訝しんだ。

「どうした? 何らかの罠を感じるのか?」

「……大丈夫」

 ヤモトは汗を拭った。彼女は闇と、眼下のマグマを見渡した。ブルーブラッドとエルドリッチを振り返った。彼らの姿が、どこか朧だ。そしてこの地そのものが……。何らかのジツにかけられているのだろうか。彼女は意識を強く保とうと努める。

 ……ドクン。

 ドクン。

 心臓が強く打った。音が弾けた。シ・ニンジャは宙に浮かぶオブシディアン・カナメイシに立ち、己がクランのアーチニンジャたちを見下ろしていた。彼らもまたそれぞれの浮遊オブシディアン・カナメイシの上に立っていた。フジサンの底にはヨミの者らが数多くドゲザしている。フジサンの空洞の闇を照らすのは桜色の妖しき蝶の群れだ。シ・ニンジャの眼差しに、フジミ・ニンジャとゼツメツ・ニンジャが応えた。彼らはカタナと鎖鎌を掲げ……。

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