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ニンジャかわら版 vol.6 2019年エピソード投票特別編

◇総合目次


1月になったぞ

ドーモ! 愛と宇宙と平和の戦士、ザ・ヴァーティゴだ。俺は因果律と戦うニンジャであり、強い力を持っている。さて、1月が半分経った。みんなはどう? 

今回、ニンジャスレイヤーの2019年度に発表されたエピソード投票の結果発表をしていくぞ。ニンジャヘッズの皆がツイッターで投票してくれた内容をダイハードテイルズで集計し、まとめたんだ。

これを機に、未読のエピソードは是非チェックしてほしいな! 

それじゃ、早速見ていこう!


10位:【デス・フロム・アバブ・UCA

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あらすじ:バンクーバーに迫るネザーキョウのカイト(凧)部隊、ノブスマ・ストームボーン。彼らはタイクーンの寵愛を受けた生え抜きのニンジャ、マイトイカラスを隊に組み入れ、文明を火の海に変えるべくロッキー山脈を越えたのだ。一方ザイバツ・シャドーギルドのヌケニン、ヘラルドは、一方的に執着し追跡していたニンジャスレイヤーを、ついに見つけ出した……!

原作者コメント:AoMでは神話世界とサイバーパンクのテクノロジーの融合、あるいは対立が描かれるが、今回のシーズン3で強く意識しているのは、マス・コンバット側面におけるニンジャの戦術だ。我々の知る近代兵器は鋼鉄の塊で戦ったり、ニュークで武装するわけだが、ニンジャは彼ら自身の身体能力そのもので戦闘し、ジツを用いる。基本的にニンジャスレイヤーは都市の闇で殺し合う姿を描いているため、一対一であったり、複数人が絡む戦闘であったりするが、よりエピックなイクサの形というのも平安時代等には当然あった。シーズン3の舞台は、覇王アケチ・ニンジャが支配する地域とUCAの戦争だ。このエピソードにおいて、それは凧(ニンジャカイト)だった。凧を背負って空を飛ぶニンジャは当然ジェット戦闘機並に強いわけだから、編隊飛行すれば恐るべき航空戦力となるよね。どう驚異的なのかを想像し、僕は興奮して夜も眠れない思いだった。過去に僕が観たニンジャの映画ではカイトは専ら偵察用途だった。群れを為し強襲するカイト部隊は寡聞にして今まで知らない。新しく、刺激があると思った。ノブスマ・ストームボーンは今後のネザーキョウのイクサで引き続き出てくるだろう。


9位:【プラグ・ザ・デモンズ・ハート

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あらすじ:オーストラリアを南北に貫くスチュアート・ハイウェイを荒らし回るモーターサイクル馬賊「スレイプニル」。その一員であるイグナイトとヒュージシュリケンは、オムラ・エンパイアとの小競り合いのなか、謎めいたニンジャ「クエスター・ナル」と遭遇する。折しも彼女らのアジトには、ヒュージシュリケンとの面会を希望するINWの天才科学者リー先生と助手のブルーブラッドが来訪していた。暗黒メガコーポと自由馬賊、ふたつの暴力が激しくぶつかりあう!

原作者コメント:クエスター・ナルの、超然として、少し間抜けでもあるパーソナリティは、実にリアルニンジャ的なものだといえる。ナルはずっと昔に考えたニンジャだが、トリロジーにおいては話に関わりようがないので、登場させる機会を待っていた。さほど敵対的ではないが慈愛をもってもいない高次の存在というのを出してみたいと思っていたんだね。新たなヒュージシュリケンのアイデアもずっと前からあった。同じ名前で全くパーソナリティの異なるニンジャが再び現れる事があればクールだろうと考え、加えて、死んだニンジャのソウルが再度ディセンションする可能性にも興味があった。それはキンカク・テンプルの仕組みをより深く考えるきっかけにもなるだろうから。今回の舞台、オーストラリアはどこまでも地平線が広がる土地だ。ネオサイタマでは表現できない暗黒メガコーポとの戦闘がやれると考えていた。クーバー・ペディは実在する地下都市で、おそらくニンジャ的な謎も隠されているはずだ。


8位:【ザ・ホーリイ・ブラッド

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あらすじ:文明消失者が徘徊するLAの荒野に「ホーリイ・ブラッド」という宿がある。インダルジというニンジャが所有するこの宿に、出自も立場もさまざまなニンジャ達が集まった。そこには49マグナムを携えたアズール、ザイバツ・シャドーギルドのニンジャ、ニーズヘグの姿もあった。互いに疑心をあらわにする剣呑なニンジャ達。だが何より恐るべきは、死者がなお蘇る無限のジゴク。闇に灯る無数の青い火が、彼らを修羅の狂気にいざなう……。

原作者コメント:このエピソードにはさまざまなシンボルを配置し、作品理解の次元を多層的にしている。話そのものは「山荘の一夜」であったり西部劇であったりするが、別のレイヤーでは、土地の力、歴史、神話の創造などをテーマとしている。神話というのは決して過去にしまわれたものではなく、堆積したミームの土壌であり、血肉を備え、徐々に更新され、新たに作られ、生き続け、人のアイデンティティや思考の拠り所となる。世界観がAoMになったからこそ書けたエピソードだ。


7位:【アイアン・アトラス・バトルロイヤル!

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あらすじ:ネオサイタマの最大歓楽街にして支配空白地帯レイド・チョウに嵐の兆しあり。復讐に燃えるユーチャリスが、刑務所から出所してきたニンジャ、アスタロスを迎え入れ、フーディーギャング達を相手に暗躍を開始したのだ。我らがアイアンアトラスはレイド・チョウ最大のギャング抗争にいかように関わるのか……?

原作者コメント:サークル・シマナガシのアナイアレイターとルイナーの出自をかつて考えた時、「ニンジャのギャングチーム」というアイデアを実際のエピソードにおいていつか実行に移したいと思っていた。アイアンアトラスは規格外のニンジャだから、彼を台風の目に、様々な曲者達を争わせることで、レイド・チョウの活気を描きたいと考えた。癖の強いフィーディーギャングをひとつひとつ考えていくのはとてもエキサイティングで楽しかった! 今後、アイアンアトラスをソウカイヤの幹部が認識したとして、彼はより混み入った問題に巻き込まれていくようになるのだろうか? 先のことはなんとも言えないが、おそらくその可能性は低いと思う。彼は強く、何者にも従わず、権力闘争に興味を持たず、構いもしない存在だ。手を出せば手を出した側が火傷する……そういう奴だ。


6位:【ナクソス・アンダー・ファイア

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あらすじ:地中海。ドクター・ドーモの謎のオーバーテクノロジーを得たボーファー・ウルベイン卿が覇権獲得に動き出す。ドーモ軍団の侵攻に晒されたナクソス島には、しかし、引退を決め込み穏やかに暮らしていたレッドハッグが居た。魔剣オブツダンは彼女の怒りに応え、死の歌を歌う!

原作者コメント:エメツ・テックやオヒガンの秘密については、様々なエピソードを通し、違った角度から光をあてて、ぼんやりとそのマンデルブロを浮かび上がらせようとしている。ドクタードーモのドーモテックもそうした試みのひとつだ。ずっと設定を温めてきたノブザメEもようやく登場させる事ができたし、レッドハッグには……少なくともこのエピソードの始まるその時までは……彼女らしからぬ休暇を与える事ができた。


5位:【アジェンダ・ディセント

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あらすじ:オカキ工場に偽装されたプラントに配属されたヨロシサン製薬の研究員フォレスト・サワタリは、日々のルーチン労働の中で摩耗し、未来を見通すことのできない暮らしに押し潰されようとしていた。やがて課されるバイオニンジャ処理業務は、彼の内なる狂気を呼び覚ます……。サヴァイヴァー・ドージョーそしてサワタリ・カンパニーを率いる伝説的ニンジャ、フォレスト・サワタリのニンジャ・オリジン・ストーリー!

原作者コメント:サワタリのオリジンは、ある時期にしっかり決めてあった。今回、それをもとに脚色していくことで、アメリカン・ニューシネマ的な作品になると思った。反復する日常、摩耗、社会の圧力、疎外、そうした中で人間が壊れていく。その行き着く果てにニンジャが待っているんだ。オカキ工場プラントはミステリアスで、迷宮的で、テクノロジーとバンブーが渾然一体となったビジュアルが好みだ。


4位:【ア・デッカーガン・イズ・マイ・パスポート

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あらすじ:ある日ピザ・タキを訪れたのは、伝説的人物ノボセ・ゲンソンの孫であり自らも容赦なきキモン・デッカーとしてデッカーガンを携えるノボセ・ムギコ。失踪したノボセ・ゲンソンを助け出してソウカイヤとキモンの全面戦争を止めるべく奔走する2人の戦いは、やがて油断なきフリーランスのコンビ、シンゴとタバタの足取りと交差する。

原作者コメント:トコシマ・デッカーの2人がAoMでどうなっているかは設定ができており、開示する機会を待っていた。タキも第2・第3シーズンではなかなか物理肉体を登場させる機会がないから、暴れさせておきたかった。彼らを軸に、ト・キコ、キモン等のAoMネオサイタマの設定を投入し、物語を作っていった。そこにはとてもオーセンティックなサイバーパンクの猥雑な世界が広がり、心地が良かった。AoMの舞台は世界全体だが、ネオサイタマは台風の目として今後も混沌をドライヴしていく事になる。実際ネオサイタマはシーズン4の主要舞台のひとつとなる……いや、先の事はあまり言及しないようにしよう。全く変わるかもしれないからね! ちなみにタイトルは、日本の古いノワール・ヤクザ・ムービー「ア・コルト・イズ・マイ・パスポート」から取った。内容は全然関係ないんだけど、ラストシーンがとてもかっこいいから、機会があったらぜひ見てみてほしい。


3位:【ザ・リデンプション

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あらすじ:カンゼンタイを滅ぼし、スガモ重犯罪刑務所から飛び立ったヤクザ天狗とヤマヒロは、ニチョーム上空で猛烈な磁気嵐に飲み込まれた。二人が吐き出された先は……? ヤクザ天狗とヤマヒロの新たな贖罪の聖戦が幕を開けた。

原作者コメント:ヤクザ天狗の正体と生い立ち、そしてこれまでのエピソードの各シーンでなぜ彼がそのような不可解な(または意味深な)行動をとっていたのかについては、全て決めてあったが、語るチャンスがなかった。AoMの時代になったことで、心置きなく彼とヤマヒロのサブストーリーを開始できるようになったということだ。これにはきっかけがある。いつだったかのニンジャソンかウキヨエコンで、江戸時代のウキヨエ風のヤクザ天狗を見た。それを見た僕は面白いと思い、ヤクザ天狗とヤマヒロを軽率に過去に飛ばす機会をうかがっていたんだ。そうすれば今までにない読み味で描ける。もちろん過去とはいっても、数百年前や数千年前ではなく、二千年代のネオサイタマだけどね。かつてフジキドも西暦4643年に飛んでいたことがあるし、ザイバツも3部からAoMまでの時間を歪みの中で一瞬で過ごしたから、この作品におけるタイムリープ自体は特段新たなコンセプトではなかったことも幸いした。コトダマ空間は時間軸が斜めに交差している。とはいえ、彼らに起こっていることは、トリロジー時代の作品ルールの定義を大きく覆すほど衝撃的なものだ。この物語が終わる時、彼らがいかなる存在となるのか。ヤマヒロの旅の続きを楽しみに待っていてほしい。


2位:【ヨロシサン・エクスプレス

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あらすじ:北米大陸を横断するヨロシンカンセンの車内で殺人事件が発生した! 集められるニンジャ容疑者達。ニンジャスレイヤーはギンカクへの旅を継続するために、自らの潔白を証明しなければならない。これは貴方の推理力への挑戦だ!

原作者コメント:だいぶ実験的な作品になった。とても楽しんで書けたし、しかも本当に内容が面白いんだ。列車で起こった出来事については、実際に読んで、感じてもらえばよい。これは相当な手応えを感じた自信作だ。力強いネザーキョウのシテンノ、クワドリガは、実際とてもネザーキョウらしい存在であり、ネザーキョウを文明の物差しのもとで測ればその真価を見誤るという事を端的に示してもいる。彼らには彼らの価値観があり、そしてそれは実際とても強い!


1位:【スズメバチの黄色

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あらすじ:渾崎地区の覇権をめぐって一触即発の状態にある中華系ヤクザ組織《老頭》と暗殺サイバネ教団《デッドスカル》。さらに宿敵関係にある巨大ヤクザ組織《武田》が虎視眈眈と龍256を狙う。長きに渡る膠着状態を破ったのは、刺客に追われながらネオンスラム街を南へ疾走する一台の車であった。車内に居たのは、かつて日本を支配した伝説的暗黒組織の御曹司、老元千葉(ラオモト・チバ)。彼を手にした者が、日本裏社会の次なる支配者となる。

原作者コメント:昨年発表された中で最も実験的な作品が「スズメバチの黄色」だった。その面白さには絶対の自信を持っていたから、日本のニンジャヘッズの皆さんに受け入れてもらえて、とても嬉しく思っているし、ほっとしているよ。ありがとう。最初にこの出版オファーを受けたのは3部作の連載が終わって少ししてから、つまり完成までに3年近くかかっているわけだ(最終的なプロットができてからの実作業時間は3ヶ月くらいだけど、そこまでは長かったね。ずっと待っていてもらったよ)。「スズメバチの黄色」が現在の形になるまでに自主的に2回プロットを書き直しているけれど、一番最初に考えていたプロットでは、火蛇や大熊猫は登場せず、代わりにネヴァーモアたちがいて、AoMのシックスゲイツ以前が描かれるような、もう少しハードボイルド味の強いダーティでアダルトなものだった。たぶんこれでも清書すれば十分出版はできていたけど、それではトリロジーの時代とあまり読み味が変わらないのでボツにした。そしていっそのこと、ネヴァーモアさえも登場させず、主要人物全員をティーンネイジャーにしてみることにした。ネオサイタマの解像度をより上げたいと考えた時に、これまでとは全く違う視点からの物語が必要だとわかっていたからだ。加えて、これまでのティーンものよりも、一つの物語の中で得られるカタルシスと成長を単純明快にした(通常、ニンジャスレイヤーに登場するティーンは長いシリーズの中で徐々に何かを達成したり成長していく)。また「スズメバチの黄色」の文体は、暴力や友情に対して耽美的だ。醜いものも描くが、基本的には対比のためであり、チャカガンの火花で浮かび上がる美しい部分にスポットライトを当て、讃えている。これはヤクザものやジュブナイルの文脈をリスペクトしているからだ。今の時代にこうしたプリミティブな価値観をストレートに押し出すのは、とても注意を払わなくてはいけないことだ。でも今の時代だから、細部の精神をアップデートし、恐れずあえてやった。それがうまくいったんだと思う。続編を発表するまでには、またかなり時間がかかるだろうけれど、既にアイディアはたくさんある。お楽しみに!


やったぜ!

投票ありがとう! 実際とても興味深い内容になった! さあ皆、2019年作品群の振り返りは済ませることができたかな? ニンジャスレイヤーPLUSのエピソードも多くランクインしたね。PLUSを購読して、どれを読もうか迷ったとき、今だったらこのランキングに入っているエピソードを片っ端から読んでいってみるのもいいと思う。そしてこの2020年はどんなエピソードが飛び込んでくるのか……今からワクワクが止まらないぜ! ステイ・ニンジャ!



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