【プラグ・ザ・デモンズ・ハート】#9

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 オーストラリア、オムラ・エンパイア操車基地「メガクルマ02」! これは実際、大陸を南北に貫くスチュアート・ハイウェイを行き交う弾丸カンオケ・トレーラーのニューク燃料補給とメンテナンスを行うハイ・テック拠点であり、広大な荒野の中に、ナンバー01からナンバー06までが存在。昼夜を問わず稼働している。

 上空にオムラ雷神紋ホロを巨大投影して圧倒的テリトリーを主張する武装設備は、複数の高射砲、対地レーザーヤグラ、Wi-Fiタワー等を擁しており、住み込みで勇ましく働くアシガル社員達の居住地でもあった。つまり、自給自足のアルコロジーでもあるのだ。

「インダストリ!」「オムラヨロシク!」「オムラスゴサ!」

 炎天下、オムラ・チャントを唱和しながら、黒光りするパワード武者鎧姿のアシガル社員たちは、帰投・発進するカンオケ・トレーラーの間をキビキビと動き回り、赤灯を構え、着陸してくるマグロツェッペリンをガイドする為にオムラ・フラッグを打ち振る。彼らの胸元は液晶パネルの年収表示が誇らしい。

 巨大ロータリーをグルグルと旋回しながら駐車位置につくカンオケ・トレーラーの中に、ひときわ大きく、ものものしく、一種異様なアトモスフィアを帯びた車両があった。メデューサの髪じみてランダムに伸びた排熱機構の凶悪さは、機体にエメツ反転炉が二基搭載されている事を示す。実際それは物資輸送用としてはあまりにもオーバースペックの代物である。

「インダストリ!」「オムラハゲミナサイヨ!」「オムラスゴサ!」

 見よ、ベース建物の専用ゲートが開き、直径2メートルのエネルギー・ケーブルをミコシめいて両側で支えるアシガル社員が、キビキビと走り出てきた。特殊巨大トレーラーの専用ハッチが開き、専用ケーブル端子が露出した。端子間にはバチバチと青白いパルスが閃いており、空気を陽炎じみて歪めていた。

「イッセーノ!」「オムラ!」「スゴサ!」

 ガゴーン……。ケーブルが専用端子にガッチリと接合した。プロコココ……プロココココ……。UNIX駆動音が車外に響いた。呻くような低周波を発生させながら、特殊トレーラーは重々しく震え、車体下部から白い蒸気を吐き出した。

「オツカレサマデス!」「オツカレサマヨロシク!」「ハゲミナサイヨ!」

 作業アシガルは互いにオジギし、再び整列してベース建物へ向かってゆく。小走り移動を行いながら、彼らは囁き交わした。

「いやあ、初めて見ましたよ。重設備車両モーターエビ」

「私もです。実際目にすると、重マグロツェッペリンともまた違う、誇らしいアトモスフィアを身にまとっているものですね」

「全くです。あれ一台で、相当な電力の発電と遠心分離やMRI、固定設備を遥かに上回るスペックのUNIX計算機能を備えているといいます。強固な装甲の内側にあるもの全てがシャナイ級の機密ですからね! 相当な年収額がなければ、その空気を呼吸する権利すらないわけですから」

「ははは、仰る通りですよね。いつかはシャナイ級機密にアクセス可能なくらいの役職を持ちたいものです。今の私の心には好奇心とともに向上心が満ちてきて、愛社精神が調和しました!」

「私もそうですよ!」

「これは負けていられませんね! オムラ・ダカラ!」

「負けませんよ! オムラ・イチバン!」

 彼らが屋内に吸い込まれ、ゲートが閉じると、影から染み出すように一人のニンジャが現れた。

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