【プラグ・ザ・デモンズ・ハート】#12(完結)
◇総合目次
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「ドーモ。クエスター・ナルです」
「ドーモ。シージバスターです」
アイサツするニンジャの異形の姿は炎熱の陽炎に歪んでいた。照りつける太陽は凄まじい光の塊だった。ヒュージシュリケンは息を呑んだ。まるでその光景は、ニンジャとしての彼女の視界に、神話光景の一側面を切り取った絵画じみて映ったのだ。
シージバスターはモータータケシをゼンメツ・アクション・タケシして鋼鉄の巨体にカラテを漲らせ……一方、クエスター・ナルは身体の紋様を青く明滅させながら、測るように、文明の産物を凝視していた。
「……AAAARGH……!」
叫び声が空の上から降ってくる。リー先生は装甲バギーの窓から外へ身を乗り出し、降ってきたものをキャッチした。
「トリダ君ではないか! 諸々でかしたぞ! あとはクエスター・ナル=サンの戦闘能力に期待しようねェ……!」
それはクエスター・ナルが高く投げ上げたブルーブラッドの生首であった。
「先生……ご無事で何よりです。ところで太陽光が」
「ジャッキー。彼を、そこにあるタオルで包んでくれないかねェ」
「頭がしゃべってる!」
「そういうものなのだよ」
ジャッキーは驚きながらブルーブラッドの生首をタオルで包み、足元に投げた。彼女は窓に頭をつけ、超越者の黒い背中を心配そうに見た。
「ナル=サンは、アイツやっつけられるかな?」
「うむ、我々全員の生死が、その首尾如何にかかっているだろうねェ。実際のところ彼に関する詳細なデータは未取得だ。それゆえ軽々しい期待をかける事は出来ないのだが……」
「あのオムラのロボット野郎、めちゃめちゃ攻撃がスゴイよ!」
「その通り! 絶体絶命といって差し支えないが、作戦プロセス自体は当初の想定に沿っており、概ねうまく行っている。過程において過剰にストレスを感じる必要はないとは思うねェ。それは結局ニューロンの無駄であって……」
「ダメならダメっていう事ね?」
「ア、アイエエエ」コンノは頭を抱えた。「オ、オムラの最新兵器……こんな事になるだなんて……自分はただ、気楽にカンオケ・トレーラーを運転していただけで……」
「コンノ=サン、シャキッとしなよ!」ジャッキーが喝を入れた。「クヨクヨしててもしょうがないよ! 今まで頑張ってきたじゃない!」
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