「ハーン:ザ・ラスト・ハンター、およびその他の物語」プレビュー(1)
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「アイエエエエエエエエエエエエエエエエ! 出た! 出たアアアアアッ!」トミキチは狂ったように喚き散らし、死に物狂いで松林の中を駆けていた。ワラジ・サンダルを履いた足がもつれ、転がり、枯れ枝とシロツメクサの茂みの中に頭から突っ込んだ。「グワーッ!」
目の前には幸運の象徴たる四つ葉のクローバーがあったが、今のトミキチにとっての幸運など、精々、提灯の灯りが持ちこたえた事くらいのものであった。誰も彼の叫びを聞きつけてくれる者などいなかった。逃げろ。追